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初代 ー勇者とかくれんぼ③ー

はい、完全にフラグでした・・・

「どうして君たちはこんなところにいるんだい?」

現在、勇者様による取り調べを受けております。

「いや、あのー・・・」

「まさか!攫われてこんなところに!?」

「そ、そんなところですかねー・・・はは・・・・・・」

「(魔王様?どうしてそんな嘘をつくんですか?)」

ティアが小声で聞いてくる。

そりゃもちろん魔王です!なんて名乗り出たら2秒で八つ裂きですからね・・・


遡ること10分前・・・・・・

勇者とその一行が魔王城の中、俺とティアの隠れている場所(誰も気づかないような階段の下に布を被せただけ)に目の前まで来ていた。

ティアからもはっきりと心臓の高鳴る音がおれの胸に響いてくる。

俺はただただ勇者達が通り過ぎているのを願って待っていた。

そして、勇者達の足音はだんだんと近くなりそしてだんだんと遠くに・・・なりはしなかった。

勢いよく被せていた布が勇者によってめくられ

「誰だ!!」

と、剣を勢いよく突き立てられ俺とティアは為す術もなく隠れていた場所から引きずり出された。


そして、今に至る。

最初は、すぐに殺されると思っていたのだが勇者様はなにやらこちらを魔王だと認識していないようで・・・

先程から俺たちに質問ばかりしてくる。

ん?俺?俺はというと・・・マジで漏らしたかと思った、だって怖いじゃん!?死んだと思うじゃん?てか、なんだよ魔王として認識されない魔王って!?

確かにね!?こんな見た目の魔王なんてどこの世界探してもいないですもんね!?

だが、この見た目が項を制して(かどうかは知らないが)魔王だとは気づかれず、他の従者は見つかっていないし、どうせ逃げられないので話を合わせることにした。

この10分間、俺は「あー」とか「んー」とかしか言ってないのに勝手に話が進んでいく。

さらには、勇者の話題になったりもした。

どうやら、俺達が全員で隠れたせいで魔王城に誰一人もおらず、何かあるのでは?と不安だったらしい。

まぁ、そんなことはどうでもいい、今は逃げることの方が先だ。

「・・・・・・・・・ということではないか?」

「なるほど、それでここまで来てしまったのかい?」

「え?あぁ、はい・・・」

ほら、あちらは剣士みたいな人が適当に勇者に俺達がここにいる理由を説明している。

これに乗っかれば簡単に逃げることができる!

俺は本来の計画とは違えどもう勝った気でいた、このかくれんぼに。

しかし!

「・・・・・・」

隣でティアが何事か呟いている。

あ、あの?ティアさん・・・?

「ここは危ないから一緒に行こう!」

勇者がそう言ってこちらに手を伸ばしてくる。

やはり、レディーファーストなのか、その手はティアに向けられている。

あれ?これ、俺が嫌われてるわけじゃないよね?このまま俺だけ放っとかれるとかではないよね?

そして、ティアはその手を・・・

振り払った。

「へ?」

俺から間抜けな声がでる。

「さっきから我慢して聞いていれば・・・!!」

おーい、ティアさーん?

俺が止めようとするより先に

「この方を誰だと思っていらっしゃるのですか!」

ま、待て!それだけは・・・

「やがてこの世界を支配するであろうお方、魔王様ですよ!!ひれ伏せ人間共!!!!」

言ったぁぁぁぁぁぁあああ!!!!

この人言いおったよ!!?なんで言っちゃうの?ねえ!?死ぬよ?俺、死ぬよ?しかも、ティアさんそんなキャラでしたっけ?

「なっ!?」

それを聞いた勇者とその一行は一斉に剣を抜き今更ながらに俺を警戒し始めた。

「そして、私は魔王様の従者、天坂ティアと申します」

なぜか、自分も名乗りどことなくドヤ顔しているティアに俺は

「なんで言っちまうんだよ!?」

という文句を放った。

「それはもちろん魔王様がご立派だからです」

ほぉ、哲学かな?

「で、出たな!魔王!」

勇者も1拍おいて俺に叫んでくる。

いや、出たな!って今更すぎるんですが?

しかし、これはピンチだ。

どうしよう、いやマジでどうしよう。

俺が焦る中、今戦いの火蓋が(勝手に)切って落とされたのだった!!

え?失踪?・・・すいませんでした

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― 新着の感想 ―
[良い点] ティアさんのまっすぐな愛がとてもよかったです! これから勇者との対峙が始まるなんてムネアツ展開ですね! [一言] 頑張ってください!
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