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第3章 帝国の外交 終

帝国歴240年、ここからが不気味な帝国外交の始まりである。


帝国にはただひたすらに金も酒も宝石もあったわけだが,帝国式のそれらがいたるところの国々の元首の資産から見つかりしたのがこの年からだった。王政の国ではそれほど問題にならなかったが、共和制の国では賄賂だなんだと元首は大いに叩かれたようだ。口では帝国の悪口を言いながら帝国から賄賂を受け取っていたとなれば叩かれるも無理はない。元首たちは当然身に覚えがないと主張したが、あろうことか帝国側が配ったと言い始めたのだ。これをきっかけに反帝国の政権が次々に成立していくのだが、これは不自然だろう。帝国はわざわざ自分が犯人ですと名乗り出て敵を増やすようなことをしたのだ。それに、東西南北すべての地域で次々に政権が変わったのはでき過ぎているように見える。実際、いくつかの国では帝国の工作員が反帝国政権樹立の手助けをした証拠のデータを回収することができた。


242年には、帝国の外交官が軍人上がりのものが多くなり、目に見えて外交上のトラブルが増えている。特に軍関連の視察や会議では必ずと言っていいほど帝国の外交官と現地軍人との間で諍いが起こっており、帝国に対して戦争を煽っているのかとの苦言が来ている資料が発見できた。


表立って見えていたのはこの2つで、英雄たちの衝突が始まる直前まで続いている。

あえて敵対心を煽るような外交はこれまでの帝国外交ではなかったことであり、戦争へ布石のように思える。



だが、奇妙なのは表立って見えなかった裏の活動だ。


243~245年にかけて多くの国では軍の編成や幹部の入れ替えがなぜか行われている。

そのとき、軍幹部に元帝国人や帝国出身の元傭兵などがこっそりと組み込まれていたことが分かった。半数以上が工作員であったことが調査でわかっており、おそらくほとんどが工作員だったのだと思われる。多くの国の軍権は帝国の手中にあったといっても過言ではない状態をどうやって作りだしたのかは全く分からなかったが、少なくとも帝国は帝国の手によって攻められたという事実が見えてきた。


私は最近,重大な記録を発見したのだと思われる.少し歯切れが悪くなるし,自分が望んでいた資料ではあるが,ここまで推測が当たっていると気持ちが悪くなってくる.これはまだ表には出していないし,この本が世に出たときに公開することにしているため,私しか知らない情報である.真偽の程度だが,これは確実に真と言っていいだろう.帝国外交部の秘密施設の隠し部屋にあったものだ.ある国の駐在員から帝国本国に送られた暗号電文が復号された状態で保存してあった.


内容としてはこうだ.

『この国はもうだめだ.我々帝国から甘い蜜を吸って楽することしか考えていない.自国での技術開発が全く行われていない.我々は施しすぎたのだ.』

『---国は表では帝国製品の流通を禁止しているが政府高官や軍幹部は自宅にたんまり帝国製品を置いている.裏では帝国製品の闇取引をして私腹を肥やしている.これが我々の望んだことだったのか?』

『国民全員が帝国製品に頼り切っている.帝国製品が切れるとうわさが流れると買い占めに走ろうとする.何も考えてない.』

同時期に送られてきているこの電文とほかの資料を組み合わせると,やはり帝国は自ら滅びを選び,ほかの国々によって滅ぼされたと偽装しようとしたのではないかと私は考える.周りの国々が衰えていくことがなぜ許容できなかったのか,周りの国々の国民がおろかになっていくのがなぜ許せなかったのか,それをはかり知ることはもはやできないが,今我々がこうして物事を自分たちで考えられるのは,帝国が滅びたからではないだろうか.






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