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第3章 帝国の外交 序

帝国はもともとは小国だった。

資源が乏しく、土地もそこまで肥えた場所ではなかった。


帝国が帝国となる前の資料はほとんど残っておらず、定かでないことも多いが、確実なことはそこまで大きな国ではなかったということだ。



ある年、帝国となる小国は近くの国と戦争になった。

近くだった国は、その小国よりも国力・軍事力があり、すぐに決着がつくと考えていたようだ。

当時の世界も、小国が勝つことなど予想もしていなかった。


たしかに決着は早々についた。小国の完全勝利で。

当時の記録にはこう書いてある。


「陸地に戦艦がいる」

「発砲音が聞こえると戦車が燃えていた」

「敵陸上要塞への砲撃に効果がない」


隣国は1ヶ月で落ちた。

隣国からの侵攻軍は小国国境線付近での戦闘で6割の損害を出し撤退。迎撃に出た小国軍はそのまま隣国に侵攻、隣国国境に配備されていた守備隊を蹴散らし国境付近を占領した。

ここまでで1週間であった。


小国軍は前線に向けて戦力の追加投入をし、一気に隣国首都まで迫った。

速すぎる侵攻に対応できなかった隣国は、各地の駐屯している部隊が各個に応戦し敗走。小国軍が首都についた時には、首都防衛のできる戦力はほぼ皆無だった。

隣国は首都での市街戦を断念し、降伏した。

ここまでで開戦から3週間。


小国は、ゲリラ対策と称して非占領地域にも部隊を派遣し、隣国を実効支配する姿勢を見せた。

それを看過できなかった世界各国は、小国本国へ向けて連合軍を派遣し、制圧を試みた。これは、隣国へ大量に部隊派遣しているため小国本国は手薄とみたからであった。

結果は3割の裏切りと5割の損害を出し失敗。この時、世界は軍事力で小国に敵わないことを知った。たった1週間で連合軍が瓦解したのだから。3割の裏切りは現地の部隊が勝手に味方を攻撃しただけであるが、連合軍内での不和を発生させるには十分だった。

本国のドタバタを無視して、隣国駐屯の小国軍は実効支配策を継続し、講和条約によって隣国を併合した。

開戦から1ヶ月であった。



この戦争が終結後、帝国の外交は戦争外交になる。

内容はいたって簡単で、「服従か死か」であった。

覚えるのが大変なのは、「いつどこの国が落ちたのか」というところだろう。


戦争終結後、小国は隣接する国家に対して宣戦を布告し侵攻した。近隣国家は1つまた1つと降伏し、大陸にあった国家の6割を消しとばした。

隣国の併合から2年がたったころであった。

大陸に残った4割の国々は、北方にあった軍事力・科学力ともにそれなりだった国々のみとなった。


3年目に入ろうとする頃、当時の王は

「国を帝国、統治者を皇帝とする」

という法律を決め、小国は帝国となり、王は初代皇帝として即位した。この年が帝国歴1年となる。


世界各国は帝国に向けて非難声明を出しつつ、外交接触を試みた。軍事同盟、貿易、金融、技術支援など様々な方面でアプローチがなされた。

しかし、帝国からの返答はいつも同じだった。

「服従か死か」である。

そのようなやりとりが5年ほど続いた。


5年間、世界の時はそこまで進まなかった。衝撃的な帝国誕生劇から5年もだったが、1大陸分の国が消し飛ぼうとも、海を隔てた国々の反応は鈍かった。いわゆる対岸の火事である。あの大陸は陸続きだから滅ぼされたが、流石に海を越えては攻められまい、と。

これは認識が甘すぎたと判断せざるを得ないだろう。


帝国歴6年、帝国は陸で繋がっていた南の大陸に向けて侵攻を開始した。それと同時に、西の大陸に向けて海軍と陸戦隊を派遣した。


陸続きだった南の大陸の国々は、対帝国戦に備え防備を固めていたため、ジリジリと前線を押されるにとどまった。


が、西の大陸はそうはいかなかった。

帝国はもともと海を持たない国で海軍はなかったが、5年の月日をかけて海軍を創設した。

西の大陸の国々は、海戦で追い返せると考えていたが、派遣された艦隊はことごとくが海の藻屑と消えた。瞬く間に上陸され、西の大陸でも帝国の戦争外交が始まるのだった。


これを150年繰り返し、世界の半分を手中に収める巨大な帝国が作り上げられる。




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