表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で賢者になる  作者: キノッポ
第二章
42/89

第42話

 上級迷宮の迷宮主を倒した。

 何の材質か分からなかった迷宮主ゴーレムだけど、ナルルが近くで見たところ、これはアダマンタイトではないかとのことだった。

 ミスリルと同じくとても貴重な金属だ。

 ありがたく鍵の空間の中に収容しておいた。


 迷宮主を倒した最奥部でそのまま探索を続ける。

 ハイエルフのミラさんからもらった精霊石に一杯の精霊力を溜めるのに、不自然でない日数はどのくらいなのか。

 以前の精霊石はオーディン王国でエルミアさんからもらったものなので、そこから考えるとかなりの日数があったため、一杯で淡く輝いていてもおかしくなかったと思う。

 あれよりもさらに精霊力が多く溜まるこの精霊石……まぁ、考えても分からないので、適当に行くしかないんだけどね。


 俺の基礎魔力は1000をすでに超えている。

 100を目指していた頃が懐かしい。

 どこまで基礎魔力を上げるか。

 俺の基礎魔力を上げるためには等級魔石から魔力を吸収することになる。

 つまり王家に貯蓄する魔石がそれだけ減るわけだ。

 オーディン王国に戻ったら、多くの騎士を抱えることになるけど、1日で全員に魔力を与える必要はない。

 最上級迷宮を攻略できたら、そこで基礎魔力を上げるのを止めて、後は王家に貯蓄する魔石に回した方がいいかな。


 食料と水、お湯の貯蓄を見ながら、結局迷宮主を倒した後に最奥部で30日ほど探索した。

 宿にはフレイヤ王国の王都以外の街にも行くかもしれないと伝えてあるから、どれだけ宿を空けても問題ない。

 料金はかかっているけど。

 ギルドに売却する魔石から費用として引かれるだけだから問題ない。

 ギルドにもおかしいと思われない程度の魔石を売らないとだな。





 最奥部での30日間の本気モード探索。

 それは凄まじい成果となった。

 二人の属性付与進化騎士によって。


 アーネス様も聖属性を得た。

 剣と同じ白銀の光りがアーネス様の剣と鎧に流れている。

 美しい。

 アーネス様だからより絵になる。

 神話に登場する戦乙女ヴァルキリーそのものだ。

 モニカはこれでもうアーネス様に勝てないとか愚痴っていたけど。



アーネス様

42500/1200:修復

42500/600000:解放『ブリュンヒルド』


モニカ

150000/1000:修復

150000/500000:解放『トール』



 属性を得た後に新たな情報は追加されなかった。

 これで残るは解放だけだ。

 解放された戦具はどうなのか。


 解放に関しても消費型なのか永続型なのかが最大の問題となる。

 これもモニカに先に魔力を溜めて、試してみることに。

 試さなくても、魔力が溜まればモニカの勘で当ててもらおう。


 解放を試すために、迷宮の探索を終えて久しぶりに宿に戻ったら、しばらく宿でゆっくりすることにした。

 いまの基礎魔力は1200ぐらい。

 ちゃんと休息を取れば1日に3000ぐらいは使えるはずだ。

 休息を取れれば……。

 あれ? ティアの再生で回復してもらえれば、ちゃんと休息取るの問題なくね?

 むしろより魔力の回復が早くなるのでは?

 これは早速試してみよう!


 宿でゆっくりする間に、ギルドにミラさんと連絡を取ってもらった。

 以前もらった精霊石に精霊力を一杯にしたと。

 返事がくるまでゆっくりしよう。

 ティアの再生の効果を検証しながら。


「ティアお願いがあるんだ」

「はい」

「ティアの再生なんだけど……ティアの時以外で、僕が休む前にかけてもらっていいかな? 魔力を回復するのにティアの再生が効果あるんじゃないかと思って」

「はい! 喜んで!」

「ただ、みんなに見られないようにしようね。見られたら、どうして休む前に再生をかけているのかって話から、鋭いアーネス様やモニカが気づいちゃうかもしれないから」

「わかりました!」


 ナルルはスヴァルト区域に戻っている。

 ナルルはオーディン王国には行かないため、今後もフレイヤ王国に来た時だけ会うことになるだろう。

 スヴァルトを救い続ける約束を果たすためにも、定期的にフレイヤ王国には訪れることになる。

 親睦はその時に温めればいい。

 さて、再生の検証だ。






「どういうことでしょうか?」


 めっちゃばれました。

 すぐにばれました。

 いや、さすがにおかしかったか。

 でも俺が休んでいる時に乱入してくるアーネス様達もどうかと思うんだけど。


 俺が休んでいる時に乱入してきたり、お風呂当番や夜の当番の後に、俺は必ずトイレに行くようになった。

 このトイレとティアの部屋を繋いだのだ。

 俺はこっそりティアの部屋と行き、再生をかけてもらう。

 そしてベッドに戻り休む。

 効果は抜群だった。

 疲れが取れた状態での休息となり、魔力の回復率も上がった。

 問題は俺の体力と精力が回復してしまうことだ。


 事が終わると必ずトイレにいく。

 トイレから戻ってきたら回復している。

 結果、また出来てしまう。

 でもさすがにおかしいとアーネス様達も思い始める。

 以前と変わったことはトイレに行くことだ。

 トイレに行って何があるのか?

 いつの間にか俺のトイレは勝手に開けられないように鍵付きとなっていた。

 あきらかに怪しい。

 というわけで、尋問を受けています。


「どうしてアルマ様のトイレは開けられないようになっているのですか?」

「その……見られたら恥ずかしいので」

「確かにトイレに入ったことはあります。ですがタイミングはきちんと測っていましたし、ちょっとした非日常を楽しむためのものでした。アルマ様にも喜んで頂けたと思っていたのですが」

「それはその……楽しかったです」

「それにです。トイレへの乱入を防ぐのであれば、中から鍵をかけられるようにすれば、事足ります。どうしてアルマ様が外にいるこの状態でも、中に入れないように鍵がかかっているのですか?」

「それはですね……」


 アーネス様の追及は厳しい。

 マリアナ様とモニカは完全にアーネス様側だ。

 ディアは無関心を装いながら、すっごい聞き耳を立てている。

 そしてティアは……明らかな挙動不審者となってしまっている。

 目が泳いでいるぞ。


「ティア」

「はい!」

「私達はティアを仲間に迎え入れることが出来て本当に嬉しく思っています。ティアは私達にとって妹も当然……」

「アーネス様」

「ティア。これから私のことはお姉様と呼んでいいのよ。ティアのような可愛い妹が出来ればマリアナも嬉しいわよね」

「はい! ティアは私達の妹です!」

「アーネスお姉様、マリアナお姉様」

「モニカのことはこれからも師匠と呼ぶっしょ」

「合点承知でございます」


 最後おかしいぞ。

 ディアいいのか?

 お前の双子の姉が洗脳されていくぞ。

 なにその自分も見たいな目をしているんだ。

 ディアは口は悪いけど、実は常識派だろ。


「もちろんディアも。私達の妹よ」

「お、俺も?」

「さぁ、おいで」

「お、おぅ」

「ディア! 私達はアーネスお姉様とマリアナお姉様の妹になれたよ!」

「ま、まぁ、悪い気はしねぇな。仕方ないから妹になってやるよ」

「モニカのことは師匠と呼ぶっしょ」

「それは断る」


 その嬉しそうな目で言っても、言葉と合ってないぞ。

 くそっ! 完全に孤立させられた。


「ところでティアとディア。私達の可愛い妹に質問だけど、最近のアルマ様のおかしな行動で何か知っていないかしら?」

「俺は知らないぞ」

「ティアは……あの……その……」


 ティアは俺を見てあわあわしている。

 もう完全にティアに何かあるとばればれです。


「いいのよティア。何も言わなくて。きっとアルマ様との約束があるのね。アルマ様との約束を破る必要なんてないわ」

「あ、ありがとうございます!」

「……というわけでアルマ様」

「はい」

「ご説明頂けますでしょうか? 可愛いティアに言わせるなんてないですよね?」

「えっとですね……」


 こうしてティアの再生の効果がみなに知れ渡ることになった。

 幸いなのは再生を使うには精霊力が必要になる。

 精霊力を無駄には出来ない。

 しかし効果を知ったアーネス様達は再生の効果を細かく研究し始めた。


 再生を使うための最少の精霊力消費はいくらなのか。

 それにより得られる体力と精力の回復はいかほどか。

 より多く精霊力を込めた再生ではどうか。


 様々な研究により、アーネス様達の間で何らかの約束が成されたようだ。

 また俺に対してティアへ10日に1度、精霊力を100お願いされた。

 10倍に増幅できるから実質精霊力10である。

 そのぐらいなら問題ないので了承した。


「オーディン王国も精霊力を確保する理由が出来ましたね」

「戻ったら早速王に報告をしなければ。精霊王国との約定があるので、簡単にはいきませんが」

「そもそも精霊石が必要っしょ」

「確かに精霊石をどうにか確保したいな」

「当分の間は私達だけで集めるしかなさそうですね」


 いや、そこまで精霊力集めなくても……。


「アルマ様。これが新たな当番表となります」

「は、はい……」


 渡された当番表。

 それは今まで『乱入』という名のもとに俺の寝室に入ってきていたことが、合法化されたものであった。

 朝起きた時。

 朝のシャワーの時。

 昼休みの時。

 夜のお風呂の時。

 夜寝る時。


 以前よりもはるかに増えた項目。

 そこにアーネス様達の名前が割り当てられている。


「こうして出来るのはティアのおかげなので、ティアには特別に一人での当番の日が1回多くなっています」

「えへへ、ティア主張しちゃいました!」

「さすがティアちゃん。やるときはやるっしょ」

「羨ましいですわ」

「俺は別に……」


 新たな当番表を見て俺は言った。


「あの……僕の休息日は?」

『再生があるので大丈夫です!』


 俺に休息日なんて無かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ