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異世界で賢者になる  作者: キノッポ
第一章
29/89

第29話

 空に光り輝く天使は、その手に持つ白銀の剣を振る。

 金色の鎧と斧を持つ戦士は、その身で迷宮主の攻撃を受け止めている。

 そして……横からミスリル鞭でばしばしと狂ったように鞭を打つマリアナ様がいた。

 いや、そこは無理しなくても。


 王家の迷宮探索4回目。

 現在、王家の迷宮の迷宮主と戦闘中です。

 たった4人で。

 俺は戦力にならないから実質3人だけど。

 いやマリアナ様も戦力になっていないから、実質2人か。


 王家の迷宮の迷宮主は『ガーディアン』と呼ばれる魔物だ。

 4メートルはある巨大な全身鎧の騎士のような形をしている。

 その鎧の素材はミスリルで、通常なら簡単にダメージを与えることはできない。

 覚醒した戦具でもない限り。


 常時覚醒しています。

 アーネス様の攻撃はガーディアンに確かなダメージを与えている。

 そしてガーディアンが持つ巨大な槍を、モニカは真正面から斧と鎧で受け止めている。

 横からミスリルの鞭で叩いているマリアナ様の攻撃は、たぶん意味を成していないと思う。


 さすがは上級迷宮の迷宮主で、すでに戦闘が始まってから30分以上経過している。

 でもそろそろ決着の時だ。

 見るからにダメージが蓄積されたガーディアンの動きは鈍り、今にも崩れ倒れそうだ。

 と思っていたら倒れた。


「はぁはぁ……」

「やったっしょ……もうやったっしょ?」

「やりましたわ! 大丈夫です! 動きません!」


 一番元気なのはマリアナ様だな。

 ガーディアンもマリアナ様は放っておいていいと判断したのか、完全無視だったし。


「みんなお疲れ様。やったね」

「はぁはぁ……アルマ様、これはいけそうですか?」

「やってみるよ」


 迷宮の魔物は倒れた後にしばらくすると迷宮が吸収してしまう。

 なので素材として欲しい場合は早めに取る必要があるのだが……こんな巨大な鎧を運ぶことは不可能に近い。

 帰りも魔物と戦いながら帰らないといけないんだから。


「入るかな……おっ! 入った!」


 鍵の空間のドアを大きくすることが出来ることが判明した。

 それでこの空間にガーディアンのミスリル鎧を収納できないかと考えた。

 結果、無事に回収。

 これでこのミスリルの塊を王家に卸すことが出来るぞ。


「はぁはぁ……これだけの純度100%ミスリルがあれば、王家は大助かりです」


 このために増やした大きな倉庫部屋に納まった巨大なミスリル鎧と槍を見て、アーネス様も嬉しそうだ。

 王家の力が高まることは、僕も嬉しい。


「これが5等級の魔石っしょ」

「すごい魔力の濃度だね。吸収しなくても分かるぐらいだ」

「最上級迷宮を探索するなど普通の騎士ならあり得ませんからね。現状、人が手にすることができる最高の魔石と言われています」

「なるほど……普通なら行かないわけだ」

「はい。普通なら」

「それじゃ~帰ろうか?」

「アルマ様。何のために迷宮主を倒したのでしたっけ?」

「……最上級迷宮に行くためですね」

「大丈夫です。奥まで行くつもりはありません。ちょっと覗くだけです」


 本当かな~ものすごく怪しんですけど。

 王家の迷宮の特殊で、この迷宮主のガーディアンを倒すと最上級迷宮に繋がる黒い渦が発生する。

 現に目の前にその黒い渦は発生しているのだ。

 この中に俺達が入ると、俺達がいる間はこの黒い渦が消えることはない。


「本当に覗くだけだからね? 特にマリアナ様。マリアナ様は戦具がまだないのですから、絶対に無理は禁物ですよ」

「分かっていますわ」

「ご主人様はモニカが守るっしょ」


 一番危ないのは俺なんだけどね。

 まぁモニカが守ってくれるなら大丈夫かな。


 …………。


「やばかったっしょ」

「危ないところでしたね」

「びっくりですわ!」

「し、死ぬかと思った……」


 全然大丈夫じゃありませんでした。

 最上級迷宮舐めてた……つもりはまったくなかったんだけど、覚醒戦士二人いれば入口付近はどうにかなるだろうとか思っていたけど、違った。

 難易度上がりすぎです。

 本当に危なかった。

 最初の戦闘で魔物の強さに驚き、次の戦闘でちょっとピンチになり、3回目の戦闘で逃げることにした。

 いや~魔物の耐久力とか上級迷宮の魔物の比じゃないよ。

 まず死なない。

 魔物が全然死なないの。

 明らかにアーネス様達の攻撃力が不足している。

 なかなか倒せないから、さらに魔物が増えてくるという悪循環だ。

 1時間も滞在しないで逃げました。


 4回目の王家の迷宮探索を無事? に終えて帰還した。

 俺の基礎魔力は700を超えている。

 鈴の宿にモニカと泊まっていたころは年内に100を目標にしていたけど、年内に1000まで増えそうです。

 まぁ、今回で探索はしばらく打ち切りだけど。


 今回の探索が終わったらフレイヤ王国に行くことにした。

 マリアナ様の戦具の卵の状況はこんな感じです。



マリアナ様

9990/10000:戦具

4230/10000:神獣



 王家の迷宮には霊物もそれなりに出現してくれるので、精霊力を4230まで溜めることが出来た。

 それでもまだ6000近く必要だ。

 精霊力を溜めるならやはり精霊王国の迷宮に行くのがいいし、精霊獣に関する情報も集めたい。

 アーネス様が王家を通じていろいろ調べてくれて、新たに判明したこともある。

 結果として精霊獣は存在すると俺達は確信している。

 鍵となるのは精霊王国の王族達だ。

 フレイヤ王国の女王フレイヤ様から話を聞けると一番いいんだけど、さすがにそれは無理だろうから、接触できそうな王族を何人か調査してある。

 エルフ族の王族は『ハイエルフ』とも呼ばれて、普通のエルフよりも上位の存在として位置づけられているそうだ。


「おかえりなさいませ」

「ただいまです」


 俺を出迎えるのは王城のメイドさん達。

 いま俺は王城に住んでいる。

 そして王ともすでに会っている。


「婿殿無事で何よりじゃ」


 アーネス様との婚約はまだ発表していないけど、王の中では決定事項です。

 マリアナ様ともね。

 フレイヤ王国から帰ってくるまで、俺の存在はまだ秘匿することになっている。

 そのため俺が暮らしているのは、なんとアーネス様やマリアナ様が暮らしている王女の生活区域なのだ。

 マリアナ様もお父様である王と再会している。

 いなくなったことを謝ったら、逆に王から感謝されたと言っていた。

 俺とマリアナ様の存在は、王城の中でも限られた人達しか知らない。

 情報が外に漏れないようにするためだ。


「アルマ様。選抜が済みました」

「あ、はい」

「いまアーネス様が面会しております。終わり次第アルマ様もお会いして頂ければ」

「わかりました」


 メイド長のマリアさんが部屋にやってきた。

 選抜とは……俺が卵を孵化させる騎士候補生のことである。

 つまり俺の戦士……将来的には騎士となる子達だ。

 王家支持派の中から、特に忠誠心が高く能力も申し分ないと思われる女の子達を選んだそうだ。

 本人達には王家に属する賢者の騎士となると伝えているそうだ。

 そんなわけで、しばらくすると俺の部屋に女性達が入ってきた。


「アルマ様の騎士となる者達を紹介させて頂きます」

「アンナと申します。アルマ様の騎士となる名誉を授かりました。命ある限りアルマ様のためにこの身を捧げます」

「よ、よろしくお願いします。アンナさん」

「どうかアンナとお呼びくださいませ」


 すごく重い言葉で挨拶してきたアンナさんは、アーネス様より1つ年上の女性だった。

 美人ですごく胸が大きい。

 そして戦具の卵も大きい。


「リーズと申します。アルマ様の騎士として……」


 同じく重い言葉で挨拶してきたリーズさんはアーネス様よりさらに3つ年上の女性だ。

 可愛くて胸が大きい。

 戦具の卵も大きい。

 リーズさんの隣に並ぶ女性達もちらっと見る。

 みんな胸が大きくて、戦具の卵が大きい。

 なるほどね。


 5人の騎士となる女性を紹介された。

 アンナ、リーズ、カヤ、エルゼ、ルシアの5人。

 カヤとエルゼは俺の2つ年上。

 ルシアだけ年下で、1つ下だった。

 王家支持派の貴族か、王家支持派の家の女の子だそうだ。

 みんな見目麗しいけど、戦具の卵が大きくて賢者に選ばれなかった騎士候補生か戦士だ。


「それではみんなの戦具の卵に魔力を与えるね」

「いま頂けるのですか!?」

「うん。あれ? だめだった?」


 アーネス様を見るとにっこりとほほ笑んで。


「いえ、大丈夫です。アルマ様の御心のままに」


 というわけで、まずは鍵で情報を見てみる。


アンナ 0/800

リーズ 0/750

カヤ 0/770

エルゼ 0/700

ルシア 0/720


 700から800の間か。

 今日は王家の迷宮から帰還してきただけで、魔力はかなり残っている。

 400ぐらいはあるだろう。

 え~っと10倍だから……うん、いけるね。


「うん、いけそうだ」

「さすがです」


 アーネスは意味を理解して笑顔だ。


「では孵化させるね」

『え?』


 アンナから始まって次々と戦具の卵を孵化させていく。

 5個の戦具の卵が連続で光り輝いていくなんて、なかなか見れる光景ではない。

 自分で見ていて爽快だった。


「わ、私の戦具……あ、ありがとうございますアルマ様! こ、こんなことが」

「5個も一度に……お、おお……アルマ様!」


 5人は自分の戦具を抱きしめて泣いて喜んでいる。

 大きな戦具の卵を授かったことで賢者に相手にされず、声をかけられたとしても身体目的とかで嫌な思いをたくさんしてきたのだろう。


「フレイヤ王国に出発する前に、みんなの戦具をとりあえず一度覚醒できる状態にしておこうと思うんだけど」

「はい。そうして頂けると王家も助かります」

『か、覚醒!?』


 可愛い女性が純粋に驚いて喜ぶ様は何度見てもいいな~。

 これからもっとたくさん、この笑顔が見れるように頑張ろうっと。


「アルマ様! 私でよければいつでも、ご、ご、ご奉仕させて頂きたいです!」

「わ、私も!」

「私もです! アルマ様にご奉仕を!」

「私も身も心もアルマ様に捧げます!」

「ご奉仕させてください」

「だめだ」

『え?』


 アンナ達の声を遮ったのはアーネス様だった。


「アルマ様に今日抱いて頂けるのは私だからだ。よってみんなの申し出は却下する」

『アーネス様ずるい!!!!』


 え? あれ? もしかして……アンナ達5人の相手もしていくことになるとかないよね?


次回からフレイヤ王国編となります。

ちょっと一区切りです。

更新再開までしばらくお待ちください。


感想を頂き、レビューを頂き、日間ランキングにも載り、ただただ驚いています。

ありがとうございます。


イチャラブに関してご指摘を頂くことが多いので、今後は表現に気を付けていきたいと思います。

物語のテンポだけではなく、今後は描写も増やしていけるように頑張りたいと思います。

ド素人が書く小説ですので、何卒温かい目で見て頂けると助かります。

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