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異世界で賢者になる  作者: キノッポ
第一章
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第16話

 事件です。

 アマゾネスには発情期がありました。

 いや、モニカを見ていたら普通に年がら年中発情しているように見えたけど、そうではなかったようだ。

 発情期に入ったモニカは抑えがきかなくなった獣のように俺を……って事件はこれじゃない。

 これはどうでもいい。

 モニカと激しく楽しく過ごしただけなんだから。

 発情期も数日で治まったし。


 冒険者ギルドから召集がかかった。

 緊急招集だ。

 とは言っても、ギルドに顔を出すだけなんだけどね。

 みんなが一斉に集まって何かをするわけじゃない。


 今回緊急招集がかかった理由は、オーディン王国内に強力な魔獣が現れたからだった。

 魔獣も心臓部に魔石を持つ獣だ。

 その生息地は迷宮内ではなく、自然の森の中とかである。

 そのため遭遇すると一般人も襲われて危険だ。

 森の中などで薬草採取をする冒険者や街を行き交って交易している商人などが特に危ない。

 そのため冒険者ギルドで注意喚起するために召集がかかったわけだ。


 討伐はどうするのか。

 もちろんこんな時こそオーディン王国が誇る10傑の大賢者様とその騎士達が活躍する時なのである!

 ここで活躍しないでいつ活躍するというのか!


「それで揉めていると?」

「はい。まったく嘆かわしい限りですじゃ」


 俺はギルドマスターのジェラルド様と今回の件で話し合っていた。

 こういう時にこそ出番の10傑の大賢者様達なのだが、魔力を使うのが嫌でなかなか動こうとしない。


「魔獣は巨大な狼らしいですね」

「はい。目撃情報からして間違いなく上級迷宮の最奥部に生息する魔物と同程度の強さでしょう」

「フェンリル級の可能性もありますね」

「はい」


 フェンリル級とは巨大な狼の魔獣の中でも知能が高く獰猛なものを指す。


「他国に流れてくれるのを期待しているのでしょう」

「でも目撃された地点ってオーディン王国のかなり内部でしたよね?」

「はい。北部中央付近ですな」

「そこから他国に流れるまでに、被害が出ますよね」

「間違いなく。そもそも我が国で討伐出来ずに他国に魔獣が流れたら、被害にあった国から批判を浴びることになります。速やかに討伐して欲しいのですが……」


 騎士がもっぱら狩りを行うのは中級迷宮の最奥部が多い。

 上級迷宮に行く場合は、大人数でかなりの準備をしてから、それでも中頃付近での狩りが中心となる。

 上級迷宮の最奥部に行くなら、戦具が覚醒できるだけの魔力を与えてもらっていないと、危険が大きすぎて無理なのだ。

 このことからも、俺の鍵の空間がどれだけ優秀か分かるな。


 今回目撃された強力で巨大な狼の魔獣を討伐するためには、騎士の戦具を覚醒状態にする必要がある。

 問題はその分の魔石魔力を誰が使うかだ。

 誰も使いたがらない。


「確か似たような災害級の魔獣が現れたのって10年前ぐらいでしたっけ?」

「はい。その時も結局は最後にフィリップ様が騎士に魔力を与えて討伐なさいました」


 フィリップ・オーディン。

 10傑の大賢者の中にいる唯一の王族賢者である。


 もっと王族の賢者を増やせばいいのでは? と安易に俺も考えたことがあったっけ。

 しかしそうは出来ない。

 そもそも魔力の才能を持つ男の数は絶対的に少ない。

 さらに魔力の才能は血や遺伝によるものではないのだ。

 王族だから魔力の才能に目覚めやすいとか、王族だから戦具の才能に目覚めやすいとか無いのである。

 こればかりは王族も貴族も平民も、みんな同じ確率で与えられる。

 絶対数の少ない王族の中に賢者や騎士が生まれることは当然少ないのだ。


「このまま北上するとエルフ族のフレイ王国に行ってしまいますな」

「エルフ族と揉めると厄介と学院で聞きました」

「はい。正確にはエルフ族ではなくフレイ王国と揉めると厄介なのですが。エルフ族の中でも好戦的な者が多く、また王も野心家なのです」

「なるほど」

「今回もまたフィリップ様が騎士に魔力を与えて討伐となってしまいましょう。王家の魔力がまた失われてしまいますな」

「う~ん」


 アーネス様とマリアナ様のことを考えると、俺は王家支持派だ。

 事が王家に被害が及ぶなら力になってあげたいけど、現状の俺では何が出来るやら。

 モニカの戦具を覚醒状態にしても、一人でフェンリル級を倒すなんて無理だしね。


「……アルマ殿が討伐して頂けたら冒険者ギルドとしても嬉しい限りですな」

「ご冗談を。僕何かじゃ無理ですよ」

「そうですか……そういうことにしておきましょう」


 俺に何かあるとジェラルド様はやっぱり思っているようだ。

 怖い怖い。

 鍵の魔具のことがばれないように気を付けないと。





「やるっしょ」

「いやいや、無理だよ。フェンリル級だよ? 上級迷宮の最奥部にいる魔物だよ?」

「ご主人様に与えてもらったこの斧があれば余裕っしょ!!」

「いや無理だから」


 スライム迷宮から戻ってきたモニカにジェラルド様との話を聞かせた。

 ちょっとモニカは戦具の斧の能力を過信しているところがある。

 俺から与えられたから、その斧でどんな魔物にも勝てるわけじゃないからね。


 実際モニカは強い。

 でもモニカより強い人はたくさんいる。

 戦具無しでの強さで考えたら、たぶん贔屓目で見て中の上ぐらいだろう。

 モニカは細かい技術よりも圧倒的なパワーで押すタイプだ。

 戦具も斧だしね。

 正面からぶつかってくる相手にはパワーで優ればたいてい勝てる。


「予定通り明日からまたゾンビ迷宮に行くよ」

「了解っしょ」


 今回で3回目のゾンビ迷宮。

 計画は順調だ。

 基礎魔力も上がってきている。


 そして鍵の特殊能力がもう1つ分かった。

 もう1つと言っていいのか分からないけど。

 戦具の卵の時には、その卵があとどのくらいの魔力で孵化するのかが見えた。

 なら戦具には何が見えるのか?


 ゾンビ系魔物を倒して性能が落ちたモニカの戦具に魔力を与えようとした時だ。

 鍵が何かに挿し込まれたあの感触が伝わってきた。

 魔力を流して鍵を開けてみたところ、こんな情報が見えるようになった。


10/100:修復

10/5000:覚醒『金剛』

10/50000:進化『金剛』



 3つの情報が見えた。

 修復は戦具の性能維持。

 そして覚醒、もう1つは進化の情報だ。

 この進化というものは聞いたことがない。

 でも見えているってことはあるんだろう。

 つまり戦具は魔力によって進化させることができる。

 覚醒と進化の後についている名は『真名』だな。

 戦具には真名という名前がある。

 初めて覚醒する時にその真名を知ることが出来るそうだ。

 モニカはまだ覚醒したことないから分からなかったんだけど、金剛というのがモニカの戦具の真名で間違いないだろう。


 覚醒の10倍の魔力が必要となる進化も金剛とついている。

 やってみないと分からないけど、進化させたら常時覚醒状態になれるのではないか?

 もしそうなら進化させた方がお得だ。

 覚醒状態は一定時間が経過して魔力が尽きると終わってしまう。

 進化で戦具が常時覚醒状態になれたら、めちゃめちゃ強くなるな。


 ちなみに戦具に魔力を与える時も魔力1で魔力10を与えることができた。

 10倍です。


 鍵の空間も拡張されて、ベッドも運び込んだ。

 時間停止空間もたいぶ増えてきたので、今回はついにお風呂を試してみる。

 お湯は王都にある最高級宿屋の温泉の源泉から頂いてきた。

 高かったけど1泊だけして、夜中に忍び込んで空間の中に温泉を溜めさせてもらった。

 どんどん湧いてくるんだからいいよね?


 最初は2日かかった場所まで、前回は1日で到達できた。

 前回はそこで4日間狩りをして戻ってきたんだけど、今回は2日かけてさらに奥に行く予定だ。

 状況を見ながらどこまで進むかは決めるけど、出来るだけ奥に行って狩りをする。

 より質の高い魔石を求めて。


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