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ユーレンス大陸史  作者: 新参猫
第一章 種間戦争
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第九項 猫の如く狼の如く

どうも新参猫です。近頃寒くなってきたと思ったら風邪をひきました。皆様はどうかお体を大事にしてください。

会議室にたどり着く頃にはアンセルが呼びに来てから5分ほど経っていた。

隣にいるテヨンは歯をガチガチならして立っている。

そんなに頭領ってのは怖いのか?

だとしたら五分待たせた俺の命も

危ないんじゃ・・・。

だとしたらこれ以上待たせるわけにはいかない。勇気を出して俺は扉を開けた。


「お待たせして申し訳ない。団長のシュドム・アクリエスです」


中で待っていたのはフードを被った白銀の髪色で目の赤い少年と昨日会ったばかりのルナだった。


愛想よく手をヒラヒラと振るルナに対して少年は目をギョロリと動かして無表情のまま此方を見据えた。

成る程、頭領と言われるだけあって雰囲気が違う。

しかし何だろう?見つめられるだけで

ひしひしと感じるこの感覚は。


「あら?お久しぶりね。シュドムさん」


「何でルナがここにいるんだ?」


「そう言えば言ってなかったかしら?

王都防衛部隊副隊長ルナ・ハルムローグよ。

以後お見知りおきを。そしてこちらが」


「リューク・カルデナ。隊長だ」


「リュークか。宜しく頼むな」


「ふむ」


と、その時リュークの目が再びギョロリと動いた。

視線の先には青い顔をして座り込んでいるテヨンがいる。

眉ひとつ動かさずリュークはテヨンを見つめた。成る程確かに怖い。口数が少ない上に表情が無いのが余計に怖さを引き立てている。

さらにその状態でテヨンに一言。


「言うことはあるか?」


テヨンはすぐさま地面に額を擦り付けて謝罪する。

そうするのも納得の怖さがあるな。

俺には到底こんな雰囲気出せそうもない。


「ごめんなさい。頭領」


「ふん、まあいい。今回の事は不問とする」


「感謝する。頭領」


タイミングよく会議室の扉がノックされた。


「シュドムさん入っていいかな?」


「おう、ユルナスか。入ってくれ」


ユルナスが部屋に入ってくるとリュークはフードを取って礼をした。

フードを被っていた時には見えなかったが、

リュークにも狼の耳があるのが分かった。

ちなみにルナも同じように礼をしている。

ユルナス愛されてるな。


「ユルナス様。ご無事で何より」


リュークが恭しく言うと慌ててテヨンが耳打ちした。


「頭領。ユルナスはユルナス様とか女神様って呼ばれたくないらしい。次言ったらお仕置きになるぞ!あと敬語も禁止だ」


「む、そうか。何故?」


「分からない。理由は教えてくれなかった」


コソコソ話している二人に近づいて、ユルナスは涙目+上目遣いという最強コンボをかます。

その上この一言。


「私の個人的なお願いなんだけど・・・。ダメ、かな?」


これだけやられて断れる奴はいるのか?

効果は抜群だったようで、テヨンはおろか

リュークまでも動揺を隠せていない。

慌ててテヨンとリュークはブンブンと首を横に振ってユルナスの言葉を必死に否定した。

お前らユルナスのこと好き過ぎだろ。

テヨンはそうだと思っていたがまさかリュークもだったとは。


一方ルナは俺に向かって手招きしている。

こちらも聞きたいことがあるので丁度よかった。すぐにルナの正面の席に座ると、真面目な目付きで質問してきた。


「どこまで貴方は知っているのかしら?」


抽象的過ぎて困るんだが。質問のしかたを考えてくれ。


「どこまでって言われても困るんだが」


首を傾げながら少し考え込む。

少しすると的確な質問が思い付いたのか尾を揺らしながら微笑んだ。


「ならジャルジュについて何を知っているのかしら?」


「派閥が二つあって、そのうちの一つは北を攻め落としたこと。あとはその派閥のリーダーがメルフィって奴だってことくらいだな」


「それは誰から聞いたのかしら?」


「テヨンだ」


背もたれに体を預けてルナはヘニャリと笑いかけてきた。何をやっても様になるな。

昨日は暗くて分からなかったがルナは耳を立てたまま被れる帽子をつけている。


「なら、ユルナスから話を聞いてみなさい。あの人はもっと色々な情報を持っているわよ」


「そうか、ありがとな」


「礼には及ばないわよ。ただ、ユルナスから話を聞くときは人払いをしなさいな。特にジャルジュをね」


「何故だ?」


「あの人はねジャルジュの始まりを知る数少ない人間なのよ」


これで納得がいった。

何故ユルナスが女神として崇められているのか。だが本人が認めるかどうかは別だが。

後で鎌をかけてみるとしよう。


「やっぱり訳有りだったか。まあいいさ。それで?他に用はないのか?」


「ええ、貴方達がもう少し知るべき事を知ってからまたお邪魔するわね」


こちらの知識不足というわけか。

まだフェアに交渉するには無理があったらしい。だが、はいそうですかとスゴスゴ引き下がるのも性に合わない。

何かしら情報をかすめとってやる。


「・・・一つだけ聞かせてくれ」


「何かしら?」


「そちらの望みは何だ?」


「北の鉱山を占拠して採掘を止めさせることよ」


髪を弄りながらルナはさらりと言った。

聞いても意味がない上に謎が増えた。

しかも全く予想が立てられない答えだぞ?

やっぱりユルナスから話を聞いてからじゃないと無理か。


「何故鉱山なんだ?武器の生産でも止めるのか?」


ダメ元で聞いてみたが、ルナは可笑しそうに笑って立ち上がった。

どうやら間違いらしい。そりゃ間違うだろ、

基礎知識が足りなすぎる。


「ハズレよ。詳しくはユルナスに聞いて頂戴。あまり長居はできないし今日はもう帰るわね。また会いましょう?」


そう言うと窓を開けて縁に座った。

リュークはそれに気付くと名残惜しそうに

ユルナスから離れた。そ

して再びフードを被ってこちらに向き合う。


「皆息災でな。テヨン、頼んだぞ」


「確かに承知した。頭領」


フッと僅かに笑ったあと、リュークは両手を広げて目を閉じる。

その直後部屋の中に突風が吹き荒れ、その場にいた全員が目を開けられなくなった。

数秒後風が止んだので目を開けるとリュークはいない。

代わりに影でできた怪人が立っている。

格式張った燕尾服。真っ赤な目。

耳まで裂けた口。異様に長い手足。

長く鋭い鉤爪。

目と口以外の全てが真っ黒な影でできていた。


「それではごきげんよう」


ルナが怪人に掴まると彼はそのまま窓から飛び降りた。

慌てて窓に駆け寄る。

たが心配は杞憂に終わったようで窓から見えたのは彼が背中から生えた翼で飛び去るところだ。


「あれも魔術か」


「そうだ。頭領とルナだけは魔術が使える」


「あとメルフィもね」


「そいつも使えんのか。厄介だな・・・。

っと忘れるところだった。テヨンはザックの見舞いに行ってやれ。ユルナスは少し話したい事があるから此処に残ってくれ。」


「うん、分かった」


「分かった。なにか伝えるか?」


「足元確認して歩けって伝えとけ」


コクリと頷くとテヨンは会議室から走り去った。素直でよろしい。

変に勘ぐる奴とか、盗み聞きする奴とかいるからな。止めてくれねぇかな?止めないなあいつは。


「それでお話しって何?」


「あぁ長くなるだろうからお茶を入れてからにしよう。おいアンセル!お茶の用意を頼む」


今度は床板の一部がずれてアンセルが這い上がってきた。

やっぱり居たよ。

いつの間に隠れたんだ?こいつ。


「何で分かるのさ?あと何で毎回僕なの?」


「勘で当ててるんだよ。文句言ってないで取ってこい」


アンセルはトボトボと歩いて会議室を

出ていった。

ざまみろ!

如何でしたか?またお会い出来ることを楽しみにしております。それではごきげんよう。zzz

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