4/5
07 セクシー路線に変更します 08 ドア越しの声
【セクシー路線に変更します】……2017年6月9日執筆
【ドア越しの声】……2017年6月10日執筆
【セクシー路線に変更します】
「私、セクシー路線に変更します」
和服姿で売り出していた芸能人が、突如として宣言した。なんのことはない、写真集を出すのだ。
鎖骨、腕や腰回り、太ももなど瑞々しく健康的に焼けた肢体が眼福だ。
しかも下着はなんとふんどし。
いまどきの日本男児にしては珍しい、 素晴らしい好漢である。
【ドア越しの声】
ここはトイレ。
用を済ませ、出入口に向かおうとした。
しかし突然、個室のひとつから「ううう……」と声がした。
ドア越しの声があまりにも悲痛に聞こえる。
「大丈夫ですか?」
一瞬沈黙が挟まった。
「うるせえ、終電を逃して寝てるんだ! 駅員に文句を言え!」
俺は恐くなって逃げ出した。