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05 弱点なら目の前に居る 06 もしかして誘ってる?
【弱点なら目の前に居る】……2017年6月2日執筆
【もしかして誘ってる?】……2017年6月4日執筆
【弱点なら目の前に居る】
「ねえ、君って弱点あるの?」
弱点なら目の前に居る。というよりも塀から現れた。
金縛りにあったかのごとく動けない。
先を歩いていた彼女が振り返った。
「嫌な顔なんかしてどうしたの」
嫌な顔にもなる。でも、カッコ悪すぎて言えやしない。
「もしかして猫が――」
「んなわけにゃいだろ」
【もしかして誘ってる?】
早朝の公園のベンチに座りボーっとしてたら、
お年寄りがやって来てラジオ体操が始まった。
間もなくじいちゃんのひとりが周りと違う動きを始めた。
様々な体操を混ぜたような動きだ。
時折私を見据え、招いてるようにも見える。もしかして誘ってる?
……ごめんね。私幽霊だから混ざれないんだ。