6/7
●ホノオとカゲロウ
長い月日が過ぎ、カゲロウのことを少しずつ皆が忘れだしたころ。
コクテンがホノオの隣に座り言いました。
「カゲロウが地底に行き随分過ぎたな」
「えぇ…」
「俺はカゲロウの瞳が怖かった。
まるで何もかも見透かしているような、
あの瞳がな」
「…」
「水差しを割ったといって殴った。
あれは…
俺が自分で割ったものだったんだ」
「……」
「ホノオは…。
何故…。
何故一度もカゲロウを
庇ってやらなかったんだ?」
コクテンの言葉に
ホノオは驚き、
そして叫びだしたくなりました。
しかし、内心の荒れ狂う嵐を押さえつけ平静を装い、冷ややかに言ったのでした。
「過ちを犯したならば、
それに見合う罰を受けるのは
当たり前のことでありませんか?」