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私の彼氏は超肉食系  作者: 蜘條ユリイ
第1章 
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第2話 医者を目指すために出来ること

 彼は母親から受け継いだ容姿もあって昔からモテたらしい。だが昔は厳格な祖母に育てられ、今ほど欲望にまみれた生活をしていなかった。しかし、その祖母が亡くなり、母親に引き取られると彼の周囲は華やかに彩られることになった。


 初めての女性がいけなかった。お相手は暇を持て余した有閑マダムでまだ童貞だった彼に女性のエスコートの仕方から、女性を悦ばす行為の仕方まで色事に関することを手取り足取り教え込んだ。約半年間、毎日のように行われた行為で彼の性は華開いた。いや開きすぎたのである。


 彼は当時のことを振り返ると、その女性は母親の友人で睦み事を教えるように頼まれたのではないかということだった。最低な母親も居たものである。


 欲望に対する欲求が強かったせいもあって、以後も女性に対して毎日のように行為を要求し、それが原因で振られてしまうサイクルを繰り返すと自然と複数の女性たちと関係を持つことになったようである。


 カウンセリングで導き出した結果、ある種の病気であると踏んだ私は、日々の彼の要求に全面的に応えることにしたのだ。彼と同棲し、あの喫茶店を除き、高額バイトを全て諦める代わりに彼が母親から貰った小遣いを生活費として家に入れて貰った。


 当然、彼の子供を産むつもりも無かったが万が一、妊娠して彼の欲望に応えられなくなることを恐れ、経口避妊薬を口にした。その甲斐あって1日に何度もあった要求も目に見えて減りだし、真面目男になったかのようにみえた。


 だが、そこからが地獄の日々だった。実際には完全に欲望を満たせてなかったようで彼の浮気癖は治らず、気に入った女性がいるとつまみ食い。同棲を始めて3ヶ月後、彼が母親のコネで俳優業を始めるとそこで知り合った女性にも手を出す始末だった。


 まあ、一般女性と違い、彼クラスのイケメンも二世俳優も溢れている芸能界の女性たちだから、必ず成功するわけでもなかったようだが。


 そこで私は浮気癖の解消と医者を目指すという一挙両得をするために考えついたのが、泌尿器科医が行う前立腺肥大を確認するための触診である。


 泌尿器科医は、前立腺ガンの増加と共に今最も必要とされている分野のひとつである。だが生殖器を扱うことから日本では成り手が居ない。開業医だと性病を扱う皮膚泌尿器科という兼業医が多いようである。


 本当に必要な前立腺の専門家は不足している状況だ。将来性が高く給与の面でも優遇されている医者の分野なのだが、成り手が居ない。特に女性は『泌尿器が好き』と思われてしまうという風評被害もあってか皆無である。


 泌尿器科を持つ医大付属病院で、女医は特別待遇のエリートコースに無条件に乗れるくらい優遇されている。私は、そのことを知り、その分野のある医大へ進学するつもりである。


 彼の身体を使い、泌尿器科医の触診の練習をしつつ、彼の欲望にも応えようと言うわけだ。前立腺の周囲には快感中枢が多くあり、風俗でもそれを目的とした店もあるほどなのである。


 そして彼は夢中になった。


 毎夜の行為が半分になり、代わりに前立腺の触診の要求が増えだした。触診が行えない普通の女性では物足りなくなったのか浮気癖は成りを潜めた。私はさらに次の一手を打つ。彼を知り合いの精神科医に連れて行き、欲望を抑える効果がある女性ホルモンの注射を定期的に受けさせることにした。


 彼は常々、自分の強い欲望に嫌悪感を持っており、そのことがある種の病気と結びついたのである。知り合いの精神科医は断言を避けていたが、おそらくそうである感触を得ていたのだろう女性ホルモンの注射に同意してくれたのだった。


 受けさせるようになって2ヶ月ほど。さらに夜の相手の回数が減り、そこそこ効果があがってきたところへの、この別れ話である。


 某国営放送の大河ドラマは約3ヶ月程は拘束されるらしい。それだけの期間があれば、女性ホルモンの効果も切れる。さらに私の触診も無しにうまく乗り越えられるのか・・・うまく乗り越えたとしても、必ず私の元へ舞い戻ってくるに違いないと踏んだ私は、彼の母親が求めた誓約書にサインしたのだった。

【注意】泌尿器科医が行う触診は医療行為です。

決して真似を為さらないようにお願いします。


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「帰還勇者のための休日の過ごし方」志保が探偵物のヒロイン役です。よろしくお願いします。
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