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私の彼氏は超肉食系  作者: 蜘條ユリイ
第1章 
15/66

エピローグ

お読み頂きましてありがとうございます。


この章のエピローグとなります。


良識のある読者様は順序良くお読み頂いていると思いますが、文章の構成上、

プロローグ及びエピローグは本文エピソードとは全く違う描写方法となっておりますので、

エピローグを拾い読みされている方はお戻りくださいますようお願い致します。

 机の上に帯のついた札束が、ひとつ・・ふたーつ・・・みっつー・・・と置かれていく。


 これで2度目だ。思わず目で追ってしまうのが悔しい。普段、こんなにお金を見るような生活をしていないのだから仕方無いよね。


 ここは、芸能事務所が用意してくれたマンションだ。家賃は要らないらしい。オートロックどころか住み込みの管理人が居る高級賃貸マンションである。


 マンションに入るには、ICタグ付きのキーを持って自動ドアに近付くだけという最新設備が売りだという。


「このお金は?」


「やはり、慰謝料も受け取ってもらおうと思って持ってきたの。手切れ金が1500万円なのに慰謝料が無いなんておかしいでしょ。」


 意外と律儀なんだな。この人は。


「今、用意できるのはこれだけ。遠慮しなくていいのよ。これには今後芸能界で生きていくための軍資金も含まれているから・・・。」


 目の前には、前回と同様、札束が15個・・・・・1500万円が積み上げられていた。


 そういえば、バラエティー番組に出演した際に用意してあった服に付いていた値札を見た瞬間、その金額に頭がクラクラしたのだった。


 エステ代にボイストレーニング代は芸能事務所が払ってくれるらしいが、マナー教室にワイン講座、スポーツクラブ代にダンス教室、全て夜に予定を入れて貰っているが寝る暇も無いんじゃないのだろうかと思った。さらに教室代は全て自分持ちだ。


 さらに服にアクセサリーに靴にバッグ、全て女優として一流のものを身に付けろと言われてしまった。庶民派ではダメらしい。


「ゴメンね。騙しちゃったよね。本当にごめんなさい。」


 芸能事務所の社長の言葉を丸々鵜呑みにしてしまうなんて、私がバカだったのだ。


「本当ですよー。何が5日間ですか! それも7月までに全て身に付けろですって!」


 突然決まったバラエティー番組でさえ、たっぷりとエステを受け、目の飛び出るような値段の服を着たのだ。そこで気付くのが普通だろう・・・なんて私はバカだったんだ。


「ひー。ごめんなさい・・ごめんなさい・ごめんなさい。」


 裕也の母親・・・いや女優『一条ゆり』が頭を抱えている。


 フフフ。アハハハ。


「言ってみただけですよ。これ以上は入りませんからね。」


「それが・・・そのう・・・。」


「まさか!」


「そのまさかなのよ。噺家の『お菓子屋十万石』さんの引きで、バラエティーのレギュラーが1本。」


 あっちゃー。それって、自分のせいじゃん。


「マジですか? もう無いですよね。」


「それが月9の単発の1時間ドラマが1本入っちゃったのよ。」


「何故?」


「あの番組を見たプロデューサーが女医の役をねじ込んでこられて。つい。」


「受けちゃったんですか? 何の相談も無く。」


 これは早々と女優『一条ゆり』を破滅させたほうがいいかも。


「うん。事務所の社長が・・・。」


     *


「それで、ここへ逃げて来たのか? 意味が無いだろう。」


「いいじゃない。お客さんだよ。私。」


 どうせタレントも女優も本業じゃないんだし、気楽にと思ったのだが思いのほか大変だった。敗因は適当なところで止められない自分だ。


 しかも、大学のオリエンテーリングの際に芸能人であることがバレて、どこに行くにも金魚のフンのように寄ってくる男たちに敵意バレバレの眼差しの女たち。


 大学生活の中に潤いを求めた私がバカだったのだろう。医大だから医者になることが最優先と思ったのだが、そういうわけでは無いらしい。コネで知り合った他の医大の学長が言うには、ここで優秀な旦那を見つけ、夫婦で開業するのが彼女たちの夢なんだとか。


「誰が客だよ。お前が辞めてから、本当に大変だったんだからな。」


「何が大変なのよ。私が居なくても大丈夫なんでしょ。」


 確かそんなことを前に言われた覚えがある。


「裕也目当ての女性客が居なくなっただけなら、まだしも女性客が居なくなったからって二丁目のお姉さまがウエイターに告りやがってよ。大半のウエイターが辞めていったよ。だから、お前が働け!」


「それ全然、私、関係ないじゃない。」


「関係あるさ。お前目当ての男性客も居たんだ。裕也に寄ってくる女性客とお前目当ての男性客の相乗効果で二丁目のお姉さまを牽制できていたんだ。」


「何それ初めて聞くよ。私目当て? 女優業をやっている今ならまだしも、あんな無表情女に近寄ってくる男なんて・・・。」


「それが居たんだよ。四隅が彼らの特等席だったよ。ぼやーっとしたフリでしっかりとお前を視線で追っていたよ。キモかったー。でも金払いは良かったからなヤツら。」


 それってストカーとかなんじゃあ。やっぱり最低な人格だよ店長。従業員をダシどころかエサにするとは、何てヤツだ。


「特にお前が良く話し掛けていた。なんとかという医者は、周囲を同僚に固めさせていたから、初めは俺でも分からなかったぞ。」


「それって遠藤先生のこと?」


 そういえば、いつも隅に座っているなぁ。と思っていたのだ。夜勤明けで来てくれたときも、寝たフリをしながら、薄目を開けて覗いていたのか?


 じゃあ、あの一目惚れという話は真っ赤な嘘?


 それってヤバイじゃない。あの人とは、これからも付き合っていかなくてはいけないのに、聞きたくなかったー。


 私はストーカーにあの誓約書を持たせたというのか? なんてバカなんだ。まあ、誓約書で脅されたら、女優『一条ゆり』に犠牲になってもらおう。


 女優業がダメになっても、私には医者という目標がある。そう思って心を落ち着かせる。なんか、最近コレばっかりだな。


 なんで私の周りってイケメンダメ男ばかりなんだ。遠藤先生も! 裕也も!! 店長も!!!

次章も引き続きご愛読のほど、よろしくお願い致します。

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「帰還勇者のための休日の過ごし方」志保が探偵物のヒロイン役です。よろしくお願いします。
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