表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未題の恋愛小説  作者: 山田の子
2/6

2

「いや、暑ない?」


夏に差し掛かろうとしていたある日、僕達は川沿いの道をだらだらと歩いていた。


その昔、日本の首都があった街の中心を流れる川の上の方、要は上賀茂あたり、駅にして市営地下鉄北山駅近くにあるのが僕の高校、私立上賀茂高校だ。


さて僕たちはどこにいるのか、駅に向かって歩いているのかと言うとそういう訳ではない。

鴨川を無意味にぐだぐだと下っているのだ、今は出町柳近くのデルタにいるのだが、それにしたって


「暑いわ!今日は暑いわ!!帰ろう!!」


「うっさいねん!ぼけ!!ぼけ生駒!!この時間に家帰ったら授業サボったってオカンにバレるやんけ!」


「本当に、だから生駒は馬鹿って言われるんやで」


僕含め3人の男女が怒鳴り合っていた。

暑いのだから大きな声で喋らなければ良いのに暑すぎるために大きな声でも出さなければやってられないのだ


「じゃあ、どうすんねん。このまま鴨川下るんけ?」


「・・・俺でもそれはイヤやな」


「・・・うん、イヤ」


「せやろ、とりあえずお前ら金出せや。今何円もってんねん。」


お金があるならどっかでかき氷でも食べれば良いだろうと提案してみる

と同時に後の二人も同じ事を考えてたのか特に反論することなくゴソゴソとポケットをいじり出した。


「いや、待って?なあ、筒井、狛田、なんでお前ら財布じゃなくてポケットから直接手のひらを前に出してくんの?おかしない?」


「「財布にいれるほど金がないから」」


「ええ・・・嘘やろ、財布ぐらい持っとけよ。

ほんで何円やねん」


「21円やな」


「36円」


「カスやんけ」


「シバくぞボケ」


「まあまあ、狛田そう怒らんと。で生駒は何円やったん?」


まあまあと筒井が狛田をなだめようと動いたとき、後ろにくくった髪が少し太陽に反射して光って見えた


僕はそれに少し感嘆をし、それを誤魔化す様にため息をつきながら仕方がなく財布を出す。


「え?うそやん。13円やった」


「お前がイチバン雑魚やんけ!!」


「うそやろ?高校生三人会わせて100円もいかないって何なん?」


暑いは金は無いはでみんなが項垂れ、そしていつもの流れで話が進む。


「はあ、下鴨神社行くか」


「せやな金ないし」


「涼しいしね」


「へー下鴨神社に行くのかー」


「まあ、ここからならそこが安牌やろ」


「悲しいくらい金ないしな」


「そうなんかー、涼しいとこ連れてったろか」


「マジで!・・・あ、」


「よお、交番は涼しいで、不良高校生達」


何かおかしいと疑問があったけど、何て事はない声が一つ増えていたのだ、涼しい場所という甘い言葉に釣られ後ろを向くと、警察の制服を着たおっさんが建っていた


「うわ千葉やんけ!」


「うわ、マジやん!!」


脱兎の如く走り出す僕、生駒信治に狛田和也


「ちょっと待って!走れない!」

出遅れた筒井智香


これが僕たちの生活だ。

授業たまにサボって、金の無さに嘆いて、よく走る、こんなもんだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ