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一章2

ローズはジークにも誰にも内緒で旅の支度をしていた。


王都に行くためだ。両親も気付いていない。置いて行かれてなるものかという思いから支度をしていたのだった。

そうして五日が経ち、ジークが王都に行く日が決まる。ローズは本人を前にして言う。

「ジーク。あたしも王都に行くわ。だから同行者として認めてほしいの」

「んな事言われても。お前、王都までどれくらい遠いかわかってんのか」

「……わかってないかも。それでもジーク一人で行くよりはマシでしょ」

ローズがそう言うとはあと長いため息をジークはつく。

「ローズマリー。お前は置いて行くつもりだった。女連れだと色々と大変だし。はっきり言ってお前を守りながら旅をするのは面倒だし骨が折れる」

「な。面倒って。それはひどくない?!」

「ひどくてもいいんだ。お前、自分の身を守ることができんのか。剣とか弓矢とかできんのか。それができたら連れて行ってもいいんだが」

ローズはそれを聞いて押し黙った。それは考えてもいなかったからだ。

それでもここで頷いてしまったらもう二度とジークとは会えないような気がした。

「……わかった。あのジーク。あたし、攻撃魔法は使えるよ。旅の間に短剣でも使えるようにはするから」

「はあ。好きにしろ。その代わり、短剣の扱い方とか弓矢は俺が教える。厳しくしてもいいんだったら旅の同行者として認めてやるよ」

「ありがとう。あたし、頑張るよ」

ローズが言うとジークは頭を撫でてきた。

「ローズ。王都に行く日は二月後だ。その間に短剣の扱い方を教える。覚悟しておけよ?」

「わかった。よろしくお願いします。先生」

ローズが礼儀正しく言うとジークはにかっと笑う。

また、がしがしと乱暴に頭を撫でられた。ローズは久しぶりだと思いながらされるがままになっていた。



翌日から森での鍛錬にローズも加わった。短剣の扱い方や体術の基礎を教わるためだ。

朝早くにジークに起こされて身支度もそこそこに森に連れてこられた。

ジークは自分の普段から護身用に持っている短剣を貸してくれる。ローズ用の短剣は基礎ができてからくれると約束してくれた。

「……じゃあ、まずは体術からな。男用のよりは女の子用の護身術もあるからお前にはそっちを教えるよ。いいか、まずは人の急所を言う。頭から足まであるが。俺の師匠のおっさんが言っていた。眉間から喉、胸にみぞおち、腹。その中で一番確実なのが喉か顎だ」

「はい。顎か喉だとどうしたらのす事ができそうですか?」

「そうだな。顎だったら頭突きか拳だな。喉元に短剣を突きつけてもよし。頭突きをする場合は膝を曲げてその反動で相手の顎にぶつける」

「痛そうですね」

「まあな。けど、痛いのより相手に悪さされる方が嫌だろう」

それにはローズも頷いた。ジークは彼女に近寄るとおもむろに抱きすくめてくる。

「じゃあ、早速練習だ。ローズ、遠慮なく俺の顎に頭突きをしてみろ」

ローズは言われた通りに膝を曲げてその勢いで頭突きをかました。ガツンとぶつかる音がしてジークの拘束が緩んだ。その隙を見て腕から抜け出した。

少し離れた所で頭をさする。じんじんとぶつけた前頭部が痛い。見てみるとジークも顎をさすっていた。

「……つう。いてて。初めてにしちゃなかなかだな。まあ合格だ」

「ありがとうございます。先生、次は何をするんですか?」

「そうだな。次は……」

ジークは頷くとローズに次の護身術の基礎を教える。そうする内に時間は過ぎていったーー。

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