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番外編 ローズの新婚生活3

  あれから、一週間が過ぎた。


  ようやくジークとウェンディ先生から寝室から出て良いと許可をもらえた。と言っても廊下を歩いたり居間でお食事をしたりする程度だが。まだ、家事や外出はさせてもらえそうにない。お庭に出て花壇を眺めるのが精々だ。さすがにジーク一人だけだと心配だという事で五日前に故郷の村から私の母さんと妹が来てくれた。母さんと妹を連れて来てくれたのはクォーツさんとジュリアナさん夫妻だ。クォーツさんは現在、神殿を出て文官として皇宮に勤めていたる。何でも神官が使える転移魔法で連れてきたとの事だったが。

  というわけで身の回りの世話は母さんと妹が分担してやってくれている。ジークも休暇申請はしていたのだが。母さんに怒られて渋々、皇宮に行ったのだった。


「……ローズ。ジーク君が作り置きしてくれたお料理のおかげで助かっているけど。なんでもっと早めに連絡をくれなかったの。おかげでジーク君、やつれていたじゃない」


「……うう。ごめんなさい」


「あんたねえ。こういう時は遠慮せずにあたしやメリーに言ってくれたら来るから。それは約束だよ?」


「わかった。今後は気をつける」


「わかったんならいいよ。さあ、痛み止めを飲んでおいてね」


  渡された錠剤を受け取って飲んだ。コップに入れてある水を含む。こくんと嚥下するとじわっと苦味が口内に広がった。それでも我慢する。母さんに空になったコップを渡した。その後、眠気が来て気がついたら寝てしまっていたのだった。


  夕方になりジークが帰ってきた。母さんと妹でマッシュポテトや野菜スープを作ってくれていた。私はまだ少し痛む右足を引きずりながらも居間に行く。廊下でジークが待ち構えている。これには驚いて危うく大声を上げそうになった。


「……ジーク。どうしたの?」


「……どうしたのじゃない。お前、まだ足が痛いんだろう。仕方ないから抱えて運ぶ」


「え。いいよ。ちょっとは自力で歩かないと。でなかったら体がなまっちゃうよ」


  私がムキになっていうとジークはため息をついた。そして黙って近づいてくるといきなり膝や太ももの辺りに両腕を回す。ぐいっと気がついたら抱えられていた。いわゆる小さな子にするような縦抱きだ。その状態で居間まで運ばれたのだった。


「……おやおや。ジーク君。やるわねえ」


「……ジーク兄。お姉ちゃん、嫌がってるよ」


  母さんと妹のメリーが淡々と言った。ジークはそれには返事をしない。スタスタと歩いてソファに腰かけた。メリーが気を使ってソファの近くにあるテーブルまで夕食が盛り付けられたお皿などを持ってきてくれる。母さんもスプーンやフォークなどを持ってきてくれてテーブルの上に並べてくれた。


「ジーク君。あたしとメリーは向こうで食べるから。ローズをよろしくね」


「……わかった。色々とありがとう。サラさん」


「あらあ。名前呼びじゃなくて。義母さんでいいわよ」


「……ありがとう。義母さん」


「ふふっ。じゃあ、行くね。ローズ。ジーク君に今日は甘えたらいいよ」


  そう言って母さんは妹と一緒に向こうの部屋に行ってしまった。私はジークの膝の上で途方に暮れた。なんでこんな恥ずかしい体勢になっているのよ。


「……ローズ。このマッシュポテト。うまいぞ」


  ジークは言うとフォークでマッシュポテトを突き刺して私の口の前に持ってきた。も、もしや。これが噂に聞くバカップルがやる「はい。あーん」っていうのかしら。私は仕方ないのでおとなしく口を開けた。そうしたらマッシュポテトが入れられた。口を閉じるとフォークは出て行く。モゴモゴとポテトを食べた。うん。やっぱり美味しい。


「もう一口どうだ?」


  頷くとさっきと同じようにされる。何度かされたらマッシュポテトは無くなっていた。ジークは一口大に切ってある鷄のステーキも突き刺して食べさせてくれた。スープも同様だ。こうして膝の上でのお食事は終わったのだった。


  夜になりメリーと一緒にお風呂に入った。幼い頃みたいに湯船に浸かってとりとめもない話に花を咲かせた。メリーは髪の毛や背中を丁寧に洗ってくれる。一人でもできるけど。メリーが心配してやってくれたのだ。おかげですごくすっきりした。上がると着替えも手伝ってくれた。


「……ありがとう。メリー」


「……どういたしまして。ジーク兄でもさすがに着替えとか頼みにくいでしょ」


「うん。最初は大変だったよ」


  そっかと言うとメリーは自分も手早く着替えた。脱衣場から出ると髪を整えるのもやると言ってきた。頷くと鏡台に一緒に行く。メリーは香油を手に取ると中身を出して私の髪に塗り込んでいった。ふわっと柑橘系の香りが鼻腔に届いた。そうした後でブラシで梳る。何度もされた後、緩く髪紐で束ねた。


「できたよ。お姉ちゃん」


「本当にメリーも上手になったよね。小さな頃は私がやってたのにね」


「ふふっ。あたしも友達の髪を整えたりするのやった事があったから」


  へえと言うとメリーはにっこりと笑う。交代で私もやろうとしたら止められた。


「……いいよ。お姉ちゃん、まだ足が治っていないでしょ。湯冷めしてもいけないから。もう寝ちゃいなよ」


「……わかった。ごめんね」


「謝らなくていいの。さ、もう寝て」


  頷いてベッドに行く。メリーは自分で髪を整えた後、同じように入ってきた。私はおやすみと言って眠りについたのだった。

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