エピローグ
その後、ジークは3日間寝込んだ。
看病はローズと皇宮の女官とで行った。高熱が下がり元気に起き上がれるようになったのはさらに一週間後だった。ジークが元気になって2日後に結界の修復のため、ローズ一行は再び旅に出た。約半年をかけて国中を周り結界の修復にローズとジークは勤しんだ。
「……ローズ。結界の修復が終わったら一度村に戻ろうか?」
「うん。そうしよう」
2人は旅路の途中でそう約束しあった。こうしてナスカ皇国に平和は訪れたのだった--。
半年後にジークとローズは久しぶりに故郷の村に戻った。互いの両親に挨拶してジークは改めてローズに求婚する。正式に婚約者となった2人はしばらく村に滞在した。しばらく経って村の近くにある神殿にてささやかな結婚式を挙げた。晴れて夫婦となったジークとローズは皇都に戻ったのだった。
神殿で巫女の務めは果たさなかったローズだが。ジークと2人で皇都にいるだけでも良いからと皇帝に頼まれて住まいは皇都に決めた。2人は時々皇宮に行きつつも穏やかな暮らしをしていた。
あれから、ローズとジークには5人もの子が生まれ、賑やかな家庭になったという。コンラッドやフィルディンも意中の相手と結婚して子にも恵まれた。フィルディンはイライアと夫婦になる。
歴史書には史上最短で月の巫女をやめたとあるローズだが。ジークと末長く幸せに暮らし、長生きしたらしい。
後にジークとローズの娘がフィルディンとイライアの息子に嫁いだというが。確かではない。
ナスカ皇国にある月玉の原料である月涙石はとある国に分けられた。カルーシェという国にて新たな月玉が生み出され、太陽剣も生み出される。が、これはまた別の話になるが。
ナスカ皇国ではジークとローズの冒険譚は長い間、語り継がれる事になった。2人は今でも人々の心の中で生きているだろう。多くの人々を惹きつけてやまないのはいつの時代も変わらないのだった--。
--完--
この回にて終わりです。お読みいただきありがとうございました。




