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五章6

この回は残酷な描写があります。苦手な方はご注意ください。

  地下迷宮の再奥まで後少しとなった。


  ローズとジークはこれで魔王にまた近づいたと思った。フィルディンやコンラッド、ケビン、クォーツ、ジュリアナもこれで魔王と戦い、ナスカ皇国を救わなければと決意をより一層固めている。魔族もちらほらと出てきて戦闘に何回かなった。そのたびにジークはフィルディンと協力し合い、腕を上げていた。

  サトレアとの戦いで皆、薬や他の道具類を消費している。それでも先に進むしかない。ローズは月玉が熱くなるのを感じた。そして頭の中に直接声が響いた。


『……我が巫女。この先に魔王がいる』


  凛とした女性の声だった。もしや、自分に加護を与えてくれているルーシア神だろうか。そんな気がした。


「……ローズ。どうかしたか?」


「……うん。さっき、不思議な声がして。この先に魔王がいるって」


「本当か?」


  ジークが聞けば、ローズはどうだろうと首を傾げた。が、フィルディンとクォーツは気付いたらしい。


「……確かに禍々しい気配がするな」


「ええ。気を引き締めていかないとダメですね」


  2人して頷くと再び歩き出す。ローズ達も続いたのだった。


  迷宮の再奥にまでたどり着いたらしい。ピクレア--クレイはピクピクと耳を澄まして何かを聞き取ったようだ。


「……ぴゅう。ぴゅう」


  クレイが鳴くとフィルディンは足を止めた。顔をしかめて前を見据えた。


「クレイが鳴いているとは。珍しい事もあるもんだ」


「……フィルディン様?」


  ローズが問うもフィルディンは答えない。どうしたのだろうと思っていたら剣を鞘から抜く。その表情は厳しいものだった。


「ローズちゃん。危ないからジーク君の後ろにいろよ」


「……わかりました」


  ローズがジークの後ろに移動する。不意に黒い影が現れてフィルディンに飛びかかった。ギインッと剣のかち合う音が高く迷宮内に響いた。少し離れた場所ですたっと降り立ったのは真っ黒なフード付きの外套を着た人らしきものだった。が、纏う気が人ではない。


「……残念。もうちょっとで仕留められたのに」


  にたりと笑いながら人らしきものはこちらに視線を向けた。真っ赤な瞳に銀色の髪の美しい少年がそこに佇んでいた。顔形はこの世のものとは思えない美形だが。向ける視線と表情は冷ややかだ。


「お前が魔王か」


「そうだよ。光の神子さん。いや、元というべきかな」


「……ほう。お前とこうして相見えるのは20年ぶりだな」


「さすがに長年神子をやってきただけはあるね。けど僕は強大な力を手に入れた。これで僕の両親を殺した皇帝と月の巫女に復讐できる」


「お前。イライアを殺すつもりか?」


  フィルディンが問いかけると魔王はにっと笑った。その表情は憎しみと恨みに満ちて歪んでいる。


「あの女は目障りだからね。消させてもらうよ。ついでにフィル。君もね」


「……アレクセイ。お前、先代の魔王を取り込んだな?」


「……ふふっ。そうだよ。僕は元は人だけど。先代の魔王にこの体と魂を捧げた。それと引き換えに強大な魔力と不死の力を手に入れた。これで君達をいたぶってやるよ」


  アレクセイと呼ばれた魔王は剣を鞘から抜いて構えた。フィルディンとジーク、コンラッド、ジュリアナも剣を構える。ローズも月玉を胸元から出して身構えた。クォーツとケビンも杖を持って応戦する。


「さあ。来なよ。僕を楽しませておくれ」


  アレクセイはそう言って高く跳躍した。手に持つ剣をジークめがけて振り下ろす。ガキィンッと甲高い音が響く。


「……くっ」


「……あはは。君が当代の神子か。だったら今すぐにでも消してあげるよ!」


  ジークは白光剣を使ってアレクセイの斬撃を流した。そのまま、後ろに飛び退く。アレクセイも後ろに跳躍して距離を取った。ローズはジークの身体強化を素早くかけた。


「ジーク。魔王の剣は毒が塗り込んであるわ。気をつけて!」


「わかった。ローズも気をつけろよ!!」


  ジークは大声でいうと自分から攻撃を仕掛けた。アレクセイとの間合いを詰める。剣を斜めに構えて斬りつけた。ざしゅっと音がしてアレクセイの外套の肩の部分が破れた。


「……くっ。なかなかやるね。だが詰めが甘い」


  アレクセイは剣を突きの姿勢で繰り出した。ジークは避けきれずに頬を掠ってしまう。ポタリと血が流れて地面に滴り落ちる。毒が塗り込んであると言われたのを思い出したが。それでもジークは剣をお返しとばかりに振り上げる。ギインッと再び音が鳴ったのだった。

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