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四章7

  コンラッドとフィルディンは地下牢に続くであろう木製の階段を降りていた。


  中は薄暗くフィルディンが魔法の幻の炎で照らしながら進む。こういう時は魔法を扱える者がいると助かると思った。階段を降りきると地面がむき出しの床の上に立つ。


「……コンラッド。イライアの霊力の気配はこっちだ」


「そうですか。他に気配はありませんか?」


「ううむ。ちょっと余計な奴がいるな」


  フィルディンが困ったような表情になる。余計な奴とはと言おうとするが。コンラッドは殺気を感じて鞘に収めていた剣を再び抜いた。フィルディンも同じようにした。ちょっとずつそれは近づいてくる。少し暗がりに慣れてきた目が捉えたのは異形の姿だった。3つの首を持つ巨大な牛の姿の妖魔だ。二本足で立っているが。両手には矛のような武器を持ち、ふうふうと鼻を鳴らしながらこちらにやってきた。


「……ちっ。こいつ、妖魔のルンビーじゃねえか。かなり厄介な相手だな」


「ええ。俺が妖魔を引きつけます。叔父上はその隙に魔法で攻撃をお願いします」


「わかった。こいつは直接攻撃は効かないしな。魔法で倒すしかない」


  フィルディンはコンラッドの言う事に頷いた。ルンビーに早速、コンラッドは近づいた。ルンビーは矛を振るい、攻撃を仕掛けてきた。ぶんっと音が鳴るそれを素早く避けながらコンラッドは隙を伺う。ちなみに天井は高くて大の男2人でも十分に身動きできる広さもここはある。コンラッドはフィルディンに目で合図をした。フィルディンの方が頷いて無詠唱で氷の魔法を放つ。青白い光がきらきらと輝いてルンビーに降り注ぐ。すると足元が凍りつき、ルンビーは身動きが取れなくなった。


「……コンラッド。こいつは土属性だ。風の魔法を出すから脇にどいていろ!」


「わかりました!」


  コンラッドはルンビーの攻撃を避けながら壁際にまで近づいた。フィルディンが風の魔法--ウィンディカッターを繰り出した。ルンビーの肩や腕、足を切り裂いた。ざしゅっと嫌な音が響く。ボタボタと黒い血が土床に落ちる。最後にルンビーの額と胸の辺りに雷の魔法であるサンダーソードをお見舞いした。これにより妖魔はゆっくりと倒れた。きらきらと白い光を放ちながらルンビーは消え去った。


「何とか倒せたな。イライアはこっちにいる」


  コンラッドはフィルディンの案内に従って廊下を進んだ。しばらく歩くと鉄格子が見えてくる。炎で照らすと中には白いワンピースを着た若い女性が粗末な椅子に座っていた。フィルディンはすぐに駆け寄ると声をかけた。


「……なあ。そこにいるのはイライアだろ。助けに来たぞ!」


  するとゆるゆると女性はこちらを振り向いた。イライアと呼ばれた女性は目元にクマができていて頬も少し痩せこけていたが。健康状態は良いようだ。


「……もしかしてフィルディンなの?」


「ああ。そうだ。隣にいるのはコンラッドだよ」


  コンラッドの名を聞いてイライアの虚ろだった目に生気が宿った。


「な。コンラッドさん。あなた、騎士団長の役目があるのに。わざわざ、あたしを探しに来たの?!」


「ええ。よくぞ無事で。イライア様。探すのが遅れてすみません」


「……謝らなくていいのよ。あたしがやすやすと捕まったのがいけないの」


  イライアは苦笑しながら言った。フィルディンはズボンのポケットから鍵束を取り出すと地下牢の南京錠に鍵を差し込む。かちゃりと音が鳴る。扉が開き、フィルディンは牢屋の中に入った。イライアは椅子から立ち上がろうとした。けどうまくできずにへたり込んでしまう。フィルディンは仕方ないと息をつく。


「イライア。横抱きは階段を上がるのができないから。背負ってやるよ。肩に腕を回してくれ」


  フィルディンは膝を曲げて屈むとイライアにそう言った。イライアも言われた通りに彼の肩に腕を回した。

  その腕をぐいっと引っ張って背負う。両腕でイライアの膝の辺りを支えた。


「んじゃ。コンラッド、行くか」


「……ええ。行きましょう」


  2人して頷くと地下牢から出る。イライアを背負ったフィルディンの代わりにコンラッドは明かり用の魔石を懐から取り出した。これで照らしながら入り口を目指したのだった。

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