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自意識過剰の自作自演

無人の教室に、カタッという小さな音が響いた。


俺は、あわてて振り向いた。


教室の中は、やはり無人だ。


人の気配など、まったくない。


さっきの音は、気のせいだろうか?


それとも、誰かが隠れているとでも?


そのとき、また携帯が振動して、メッセージを知らせる着信音が鳴った。


「アト 8フンデス」


やはり、このメッセージは、時間を告げているらしい。


はやく、体育館に向かおう。


誰かが教室に隠れているなんて、妄想もいいところだ。


そう思って、俺は教室を出ようとした。


が、そのとき、ふと頭にある考えが浮かんだ。


もしも、誰かが隠れているのならば…


そいつを、騙してやれば、姿を現すかもしれない。


バカバカしい気がしたけれども、やるなら、いまがちょうどいい…


俺は、教室の扉のすぐ手前で立ち止まった。


そして、その場で足踏みをした。


わざと大きな音を立てて。


教室の床に上履きがあたる乾いた足音が、無人の室内に響いた。


もしも、この教室に誰かがいたら、そいつは、俺が出て行ったと思うだろう。


さらに、念のため、俺は教室の中に残ったまま、手で扉をしめた。


ガラガラ、ピシャッ!


こんども、わざと派手な音を立てて、俺は扉を閉めた。


そうしておいて、俺は息をひそめて、しばらくじっと、教室内の気配を探ってみた。


10秒くらい、そうしていただろうか。


なにも起きない。


教室は、静まりかえっている。


なにやってんだ、俺…


自分の行動の自作自演ぶりが、かなり自意識過剰な気がして、俺は一人で苦笑してしまった。


そして、いま閉めた扉を開こうとした、その瞬間だった。


カタタ…


また、かすかな音が、教室に響いたのだ。


俺の心臓が、ふたたび激しく鳴った。


やはり、誰かいる!


この教室には、誰かが隠れている…

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