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黒板消しの整理は日直のお仕事

………………


………………


……………あれ?


うっすらと、目をあけた。


一瞬、記憶がはっきりせずに、混乱した。


俺は教室の中にいた。


自分の席にすわったまま、机につっぷして寝ていたようだ。


教室には、俺のほかに誰の姿もなかった。


徐々に、記憶がもどってくる。


英語のテストの直前に、教室中でいっせいに携帯が鳴ったのだ…


俺の携帯には、


「10プン メヲ トジテクダサイ」


というメッセージが入っていた。


そして、その直後、俺はいきなり気を失った…。


あれは、いったいなんだったのだろう?


みんながいないことと、なにか関係があるのか?


まさか、あれは緊急地震速報で、みんな俺だけ残して、どこかに避難したとか?


もしそうなら、急いで俺も、ここを出なくては…


いや、落ち着け、俺。


俺は一度、深呼吸して、教室の時計を見た。


13時55分。


さっきのテスト開始から10分が経っている。


あれが緊急地震速報なら、もうとっくに揺れはきているはずだ。


教室の後ろの棚を見ても、なにかが落ちたり、倒れたりした形跡はない。


どうも、地震ではないようだ。


そもそも、俺の携帯に入っていた、あの不気味なメッセージ…


みんなにも、あれと同じメッセージがきていたのだろうか…?


俺は、あらためて教室を見まわした。


みんなの机の上には、さっき配ったばかりの英語のミニテストの用紙が、そのまま残されている。


筆箱や、シャープペンシルも、そのままだ。


カバンも、すべての机の横にかかったまま。


すべてが、いつもどおりだった。


だが…いつもとは違うところもあった。


教室のあちこちで、椅子が倒れていた。


机も、妙な角度に曲がったものが、たくさんあった。


黒板の手前には、黒板消しとチョークが何本か、落ちていた。


中野先生の授業のときに、黒板消しがこんなふうに落ちていたら、確実に日直は怒鳴られる。


やっぱり、地震か?


まるで、みんなが大慌てで、この教室から逃げ出した跡のようだ。


念のため、窓から校庭を見てみた。


誰もいない…。


みんな、いったいどこへ?


そのとき、ふたたび携帯が鳴った。


俺の心臓が、ドキンと、大きく打った。


その携帯の着信音は、俺の「平凡な日常」に、ひび割れを入れたような気がした。


震える手で、画面を見ると、こうあった。


「アト 9フン」

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