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劣等のシュヴァルツ  作者: ファンタスティックペロペロ
6/18

第五章


今回はピスティアさんの話を

書きました。難しかった...。


歩くこと、約10分。

城下町が見えてきた。前見た時同様

多くの店が騒がしく開店の準備を

している。アントリエでは、だいたい

午前中には開店するぐらい

だったため、いつ見てもこの光景には

首をかしげずにはいられなかった。


「どうかされましたか?」


考えごとをしている事に気づいたのか

ピスティアさんは尋ねた。


「アントリエでは、昼までには

開店するぐらいのんびり

してたんですよ。まぁ、それでも

十分賑やかでしたから特に

気になることはなかったんですが、

こっちに来てから、やけに

開店の時間が早いんだなと

思いまして。」


これを聞いたピスティアさんは

納得といった表情だった。


「それはですね、アーデルハイトの

王国が作った催し物による理由と

言った方がよろしいですかね。」

「催し?どんな内容なんですか?」


それから、ピスティアさんは

その催し物について説明を

してくれた。


「アーデルハイトでも、リヒト様の

御国アントリエ同様に昔は、

昼までに開店する店がほとんどの

割合を占めていました。

それこそ、朝方に開店する店など

酪農の方や、農業を営んでいる民、

仕込みが大変な溶接業の民と

いった特殊な職業をしている片

だけてした。

そんな時にですね、我が国王

エルピス陛下がおっしゃられた

んですよ。なんだと思いますか?」


エルピスがいいそうなこと...ね。

ん?なんか目線を感じるのだが...

気のせいかな?それより、

うーん、突拍子もないことを

言ったのはほぼ間違いないだろう。

それに、朝から夜まで町の様子を

探るような国王陛下だからな。


「静かすぎてつまらない!とか

でしょうか?」


どこからか声が聞こえた。と、思う。


「雑な女で悪かったわね。」


な、なんだ!?何の声なの?

そんな俺を気にすることなく

ピスティアさんが続けた。


「あら、よくお分かりに

なられましたね。もうそんなに

陛下のお考えがご理解できるとは。

いいことです。」


ピスティアさんはそう言うと

微笑んだ。冷たくない暖かい笑顔で。


「そうなんですよ、つまらない!

とおっしゃられて。でも、だから

と言って民の生活を無理矢理

変えるなんてことは流石に

王国と言っても無茶な命令は

しませんし、そんな命令を発令

してしまった日には、信頼が

ガタ落ちになってしまいます。」


それはそうだよな、でもそれを

より信頼を得る方へと

向かわせたのが例の

催し物となる訳だ。


「そこで発案されたのがこの

催し物という訳です。

何も難しいことはありません。

一言でいうとですね。

一ヶ月、半年、一年間毎で

それぞれ一番売り上げが良かった

店に褒美を与えます。ってだけ

なんです。」

「なるほど、そうすることによって

なるべく早い段階から店の準備を

して、いち早く売り物を売らせる

ように、仕向けたと。それで

褒美はなんなのですか?」

「ご明察です。でも狙いはそれだけ

ではありません。褒美は

売上の10倍の賞金を与えたり

しておりますね。」


ほう、民の意識を良い方向へ

導くだけではないのか。

10倍か、そりゃ頑張るわな...。

ピスティアさんは続けた。


「これによって、前より売り上げが

上がるのは確かです。でも、より

多くの売り上げを上げるためには

それだけでは足りないのです。

そこで、民の方達は、どうすれば

もっと売り上げを高める事が

出来るかを思考します。そうすると

より良い物を作ろうとされるため

質が昔より遥かに良くなっています

質に限ることではな様々な店で

工夫が施されているんですよ。」


「そうそう、私の案のおかげ。」


なんとなく、どこぞやの国王陛下

が見ていることには気付いていたが

流すことにしよう。

そう言われて、試しに店の一つ一つ

を注意深くみて見た。

俺は賑やかである部分にしか注目

していなかったため、そこまで

見ることが出来てなかった。

見てみると、確かに店によって

様々な工夫がある。


例えば、一番始めに目に入った

ものだと


「前回、売り上げ1位!

ワイバーンの串焼き!」


だ。あぁ、確かにあれは美味かった。

しつこ過ぎない脂が程よくて味付けも塩コショウとシンプルだった。

他にも

「5個まとめて買うと、今なら

おまけで2個ついてくる!」


「今なら、3割カットのお値段で

お売りします!」


などなど、様々だった。

ほう、なるほど。褒美を得るために

質が向上し、商業も発達すると

いうことか。俺は考えれそうで

今まで考えれなかったので

とても感心した。


「どうですか?我が城下町は。」

「その、なんというか、ただ

すごいの一言に尽きます。

果たして、エルピスにそこまで

知恵が回って言ったのかは

別として案としては驚かされます」

「あのバカ、後でこらしめて

やるんだから!」


反応しないこと、反応しないこと。

正直な感想だった。


「あら、そう言ってもらえると

嬉しいですわ。

民を代表して、代わりに私が

お礼を申し上げます。

まぁ、確かに陛下にはそこまで

考えが至ってはいないと

思いますが...陛下なりに考えた

ことですから。あまり変な方向へ

進むことはないと

確信していました」


ピスティアさん、エルピスの存在に

確実に気付いてるよな?

ま、まぁいいや。

へぇ、信頼されてるんだな。

そりゃ国王が信頼されてなかったら

こんなに繁栄はしないだろうな。

でもな...所詮人間は人間だ。

欲望が強くなればなるほど

汚い悪い心が生まれてしまう。


「ただ、あくまで個人的には

疑問があります。」

「疑問ですか、何でしょうか?」

「その、褒美がどういった物かは

分かりませんが、これだけ

試行錯誤がなされてるのを見ると

民の方にも相当な価値が

あるものなんだと思います。

こんな事を来たばかりのよそ者

が言うのもなんですが、褒美を

得るために姑息な手段を使ったり

することはないのでしょうか?」


ピスティアさんは渋った顔をした。

それはそうだ、褒めたと思ったら

失礼なことを言ったからな。

と思ったら違っていた。


「そうなんですね...。一応こうして

リヒト様のように騎士団の方にも

いわゆる見回りの仕事があったり

して、目を光らせてるので滅多に

そんなことはないのですが...。

完璧になくなることは

無いですね...。」


やはりか、内乱とか最悪なケースまで

進んでいない分、まだ改善の

余地があるはずだ。


「ピスティアさん。」

「はい?なんですか?」

「一応、多少の改善ができそうな案は

あります。」


俺の言葉を聞いて、ものすごい

速さで顔を上げた。は、速い。

軽く風が起こったんたが?


「ほ、本当ですか!?」


ものすごい剣幕で寄られる。


「確証はありませんけど、ね。」

「構いません!教えて下さい!」

「私も気になるっ」


よしっ、乗ってきた!

ここで俺は秘策を餌にピスティア

さんを釣ることにした。


「教えてもいいんですけどー」

「早く教えて下さい!」

「いや、でもな〜。」


冷たい物が首にあてられた。

そう、つい最近アイギスさんが

部屋に来た時に持ってたような物だ。

そう、短剣だ。

え?いつ抜いたの!?というか

どこから出したの、ピスティアさん。


「早く、教えないと冷水

ぶっかけるじゃ済まさないですよ」


短剣に笑顔。もう泣きそうだ。


「その代わり、俺も教えて欲しい

ことがあるんです。」

「何ですか?」

「さっきから、かなりの距離

歩いてると思うのですが

何処に向かってるんですか?

それと、何買うんですか?」

「うーん。いいでしょう。特別に

その交渉乗ってあげます。

店に着いたら教えます。

で、でも城の皆さんには

内緒にして下さいねっ!」


え、そんなヤバい物でも買うの?

まさか、短剣コレクションとか?

これは誰かに話したことがバレたら

俺の身がどうなるか分からない。

八つ裂きじゃすまないだろうな。

まず、肉塊にされるのは決定だ、うん。


「りょ、了解です。

じゃあ、俺も城に戻ってから

お話します。エルピスにも一緒に

聞いてもらったが

いい気がするので。」


ピスティアさんの秘密は

俺が死んでも、墓場まで

持って行くことんだ!


歩くこと、どのくらいだろうか?

エルピスをまくのにも意外と

時間を消耗したので、

かなりの時間が経っているのは

間違いない。城下町を少し離れた

森の中に小さな小屋があった。

なんだか、神秘的な空間に

いるような気がした。妖精でも

出てきてもおかしかないよな。

俺はピスティアさんに続いて

店に入ってみた。


「なんというか、そのメルヘン

な所ですね。」

「バカにしていますか?」

「滅相もない!」


店に入って、飛び込んできたのは

くまのぬいぐるみや、犬のぬいぐるみ

など動物に限らず、たくさんの種類の

ぬいぐるみのお出迎えだった。

何やら、ピスティアさんは

恍惚とした表情をしている。


「はぁ、やっぱりここは最高です。

クマに、犬に猫に...はぁぁ〜。

可愛いですね〜。」


こ、これが秘密なのか...。そりゃ

知られたくないですよね。

でも、こういうピスティアさんって

すごく新鮮で可愛いな。

俺の視線に気付いたのか

ピスティアさんはキッと睨んだ。


「な、何ですか!?そんなに

おかしいですか!?」

「いえ、そういう趣味がある

ピスティアさんも可愛いなと

思いまして。すいません。」


ピスティアさんは持っていた

クマのぬいぐるみで顔を隠した。


「お、女の子に平気でそんな事を

言うのは良くないぞっ!リヒト君」

「.................あの」


想像できるだろうか。あのピスティア

さんが、可憐なピスティアさんが

クマのぬいぐるみで顔を隠し

腹話術をしながらぬいぐるみを

動かしている。こんな一面が

あったなんて...。しばらくすると、

コホンッと咳払いをしていつもの

ピスティアさんに戻った。

ちょっぴり残念だな。もう少し

見ていたかったのだが。閑話休題。


「それで、ぬいぐるみを買う

つもりなんですか?」

「それも悪くはないのですが

やっぱり...」

「やっぱり?」

「自分で作るのがいいんですよね〜。

布の手触りから

綿の素材までこだわる

のが一番!なんです!」


は、はぁ。こんな冷静じゃない

ピスティアさんも初めてだ。


「あっ、リヒト様。この布と、これ。

あと、これも持って下さい。」

「ええと...どれだけ買うつもり

何でしょうか?」


え?何言ってんの?こいつ?

みたいな目をされた。

いやいや、すでに量がおかしい

ですって!ピスティアさんは

ここぞとばかりに買っていった。


大量の布やら綿を持たされた

俺とピスティアさんは

帰ることにした。店に入ってから

ピスティアさんは頬が緩みっぱなし

で、なんだか別人を見ている

ように感じた。

本当に好きなんだな〜。


「久々に来れたので、足りない気が

しますけど買えて良かったです。」

「.........足りない?」

「えぇ。いつもならこれの倍は

ありますよ。」


俺の視界は、材料で埋まって

しまってるぐらいの量

なんですけどね?

これで、足りないとか普段

どんだけ買ってるんですか。

一人で運んでるのだろうか?

お姉様としたっている兵士達でも

連れているのか?いや、エルピスにも

知らない秘密だ。そんなはずはない。

ま、まさか一人でこの量を!?

どこから、こんな華奢な体に

力が備わってるんだ...。

どんな顔をしてるか分からないが

ピスティアさんさんはおそらく

いい方の笑顔で言ったと思う。


「これで、久々の製作が

できますわ。リヒト様、とりあえず

お礼を伝えときますね。」

「は、はい。このくらいなら

お安い御用です。」


それから、城に戻り約束通り

エルピスとピスティアさんを集めて、より城下をよくするための案を

言うことになった。


「ふむ、それでどんな案だ?」

「まず一つ聞きたいんだけど

いいかな、エルピス」

「よろしい、言ってみなさい。」

「その一番売上が高い店に与える

褒美の半分ぐらい価値の褒美をあと

いくつか準備することは可能?」


エルピスはしばらくの間考えた。


「ピスティアはどう思う?」

「そうですね、半分ぐらいの価値の

褒美ですか、物を変えれば

可能かと思われます、陛下。」

「なるほど、分かりました。

では説明します。簡単なことです。

民の方はその褒美を目指すために

不正を行う時もあるんですよね。

それならば、目指すべき物を

増やせばいいんですよ。」


エルピスは、ぽかーんといった

表情をしている。まぁ、簡単

と言ってもエルピスには難しいのかな

一方、ピスティアさんは気付いた

ようだ。流石だ、さっきまでの

ピスティアさんがなかったみたいだ。


「どういうことじゃ?リヒト。」

「つまり、あといくつか別の賞を

作ればいいんですよ。例えば

アイディア部門・接客部門など

を作ります。そうすることによって

目指す目標が人それぞれ

ばらける上に、一つに特化した

店が評価されたりと、得意な

部分を伸ばしたりできると

考えます。そしたら、全ての店に

受賞の可能性が出てくるので

不正をするのも多少は減るかと。」


とても安直な考えだとは我ながら

とても感じる。エルピスは黙った。

そして


「いいではないか!リヒト!

それだと、私も楽し...城下も

よくなるとおもうぞ!」


おい、本音聞こえてんぞ。


「私もよろしいかと思われます。」

「うむ、では早速来月より

実施することにしよう!

具体的な賞はリヒト、頼んだ」


まだアガペ・テクネ問題

終わってないんだがな。仕方ない。

俺は了承した。

俺は部屋に戻った。うーん、今日は

また始めての連続で疲れた。

賞も考えないとだし、アガペ・テクネ

問題も早いとこ解決しないと。

ベッドに大の字になると、ドアから

クマが顔を出した。ぬいぐるみな。


「り、リヒト君!今日は

着いてきてくれてありがとう!

お礼に、僕を君にあげよう!」

「ピスティアさん.....?」


と言ったかと思うと、すごい勢いで

ドアが閉まり、クマのぬいぐるみが

床に落ちた。ぬいぐるみを拾い

ベッドの上に置いた。

よく見ると、今日店で腹話術してた

クマではない。なんとなく

ぬいぐるみの後ろを見てみると

小さくお尻の方に

「リヒト様へ」と縫われていた。


「手作りが一番....か...」


ピスティアさんの手作りクマは

なんだか暖かみがあった。


「ありがとう、ピスティアさん」


俺は眠りについた。


次回は、ベル?なのかな。

問題についても触れれたら触れたい。です。

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