鮭とばもジャーキーも雑誌も、レジを通ることはなかった
ある日のこと
晩御飯が外食だったとき、コンビニにいくと、いつも私は家族に着いていかずに車の中でぼーっとして待っている。
たまたまその日は、何となく、ついていってみようと思った。
気になっていた歯磨き粉を、有るわけないよなーと思いながら探してみたり(実際に無かった)、欲しかったタブレットがないか探してみたり(これも無かった…)した。
なんだかなぁ…
ぼんやりしながら、
「鮭とば欲しい」
とか言う姉に
「喉が痛くなるからジャーキーがいい」
とか返事しながら歩きまわる。
ふと、何となく、何気なく
雑誌のコーナーに立ち寄った。
下の段に立ててある雑誌が重なって、その雑誌の表紙の写真はよく見えなかった。
見えたのは女の人の頭のてっぺんから目の辺りまで。
「ん?」
他の雑誌は通りすぎて、私の目はその雑誌だけに釘付けになった。
一体、何なんだ
どうも気になって仕方なく、私はその雑誌を棚から引き抜いた。
「!!」
なんとまぁ、表紙の写真の人は、私の好きなひとで…。
誰だろこの人、とか思った自分にツッコミを入れたくなった。
私のテンションあがる、あがる。
目次を開いてページを探してめくると、写真とインタビューで見開き2ページのスペースがその人のものになっていた。
なんてことだ
絶対に、このときの私の顔はにやけてたに違いない。
なんてことだ
まるで運命
インタビューをじっくり読んで、写真をじっくり眺めた。
そのときの私はお金がなく、買うことはできなかったから、時間の限り目に焼き付けた。
心も落ち着き、ふぅ、と溜め息をつきながら雑誌を元の位置に戻すと、また私の目をその人がかすめた。
あああ、なんてことだ
更にその奥にもうひとつ、その人の写真があったのだ。
よくよく見ると、一冊目にみたのは増刊号で、もうひとつ見つけたのはその元にあたる雑誌だった。
雑誌の中の内容は同じだったが、表紙の写真は違った。
…私のにやけは止まらない。
いくら好きな女優さんでも、その人の情報を逐一確認するわけでもなく、そもそも情報を探すのが苦手な私は、まさかその人が載った雑誌がちょうど今発売中だなんて知っているはずもなく。
結局、私の雑誌眺めは家族が買い物を終えるまで続いた。
姉がプリンを買ってもらっていたりしたが、雑誌に夢中だった私はなにも買ってもらえず…。
でもまあ、ものすごい収穫があったのだから幸せだ
そんなことを思いながら、コンビニを出る直前にもう一度遠くなった棚の方へ目をやり、目を細めて写真を眺めてコンビニを後にした。




