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-Destiny Gate Online-  作者: 赤砂糖
-Quest-
7/26

6

目ェ覚ませよ。ミナト」

 そんな声がした。

 その声にしたがってゆっくりと目をあける。

 すると目に映ったのはアルだった。

「やっと起きたかー。」

 どうやらあたりは森だった。

 でも夕闇の森というわけでもない。

「どこだここ?」

 俺は思った事を口にした。

「わかんねーよ。」

 アルはそう口にしたのだ。

 なんだ。

 てっきりアルがつれてきたのかと思ったのだがどうやら違うらしい。

 とりあえずフィールド名を確認しよう。

 そう考えシステムウィンドウを起動する。

 フィールド名:《願いの地》

 こんな場所オープンβの時にはなかったはず……。

「俺達が気を失う前、最後に何をしたか覚えているか?」

「んー。たしかクエスト受注したのが最後じゃなかったっけ?」

 アルに言われて思い出す。

 俺はすぐさまクエストを確認した。

 

 クエスト名:願い。

 クエスト形式:幽閉

 クエスト難易度:O級

 依頼主:匿名

 クエスト内容:???を二つ手に入れる。

 参加条件:二人

 外部通信:不可

 ワープアイテム:使用不可

 

 ──幽閉クエスト。

 発生条件はとても難しく、希少なクエスト。

 難易度は非常に高く、破格の報酬が受けることができる有名。

 ゆえに大規模パーティーで受けるクエストだ。

 脱出条件は基本的にボスモンスターを倒す事。

 多分これは──倒したボスモンスターのドロップアイテムを回収しろという意味だ。

 たったの二人で。

 幽閉クエストの強制脱出方法として、オープンβ時代よく使われていたのが、デスルーラ。

 死んで最後にいた町に強制的にもどるという荒業だ。

 しかし現在では──どこにも戻らず死んでしまうという事だ。

 ふざけてる。

「状況は最悪だ。」

「そうみたいだな」 

 前からでっかいトカゲみたいなモンスターが二足歩行でこちらに現れた。

 名前は???と赤く表示されている

 つまりレベルの差があまりにもありすぎて、名前すらわからないという事だ。

 公式サイトではこう書いてある。

 ???と赤く表示されたモンスターを見かけたらすぐに逃げましょう。

 つまり、俺達が取るべき行動は──

「逃げるぞ!」

「おう」

 俺達はステータスが許すかぎりのスピード出し切って走り出した。

 後ろ振り向くと──

 とんでもないスピード追いかけてくるトカゲ迫ってきた──!!

「早すぎだろ!?」

 このままではスタミナが切れる前にスピードで追いつかれる。

 ──どうにかしないと、殺される。

 そんな事考えていたら、水の音が聞こえた。

 ──川だ。

「アル!俺について来て!!」

「わかった。」

 音を頼りにその方向へ向かった。

 スタミナがもう少しでなくなる所で見つけたのだ。

「飛び込むぞ!アル!!」

「大丈夫なのか!?」

 不安そうな顔でアルが言った。

「死ぬよりはいいだろう?」

「確かにな」

 そういって川に飛び込んだ。

 どうやらトカゲのモンスターはもう追ってこないらしい。

 そう一安心したところで、

 俺達は気づいた。

 この川が異常に急流だったことに。

 今は雨も降ってない。

 正面を見てみる。

 すると川は五十メートル先の辺りで途絶えていた。

 これが意味するのは──滝。

 俺達は顔が青ざめていった。

 どこかにつかまる所ない。

 反対側に泳ごうとしてもこの急流だ。

 スタミナもさっき使い切ってしまったのだ。

 こうなると後は絶望しかない。

「「うわああああああああああああああああああああああああああああああ!!」」

 叫ぶ事しか許されなかった俺達は、その後水と共に宙に放り投げられたのだった。






 視界の生命線が赤色になったところで目が覚めた。

 どうやら溺れていたらしい。

 溺れるとじわじわとHPが削れていくのがこのゲームのシステムだ。

 アルを探す。向こうも目が覚めたらしい。

 とりあえず陸にあがろう。

 だいぶHPが削れてしまったようだ。

 回復アイテムを使うのは勿体ないだろうし、自然回復を待とう。

 現在位置を確認するためにマップをみる。

 ──すると

 《願いの地:聖なる泉》

 と記されていた。

 あたりを見渡す不思議な空気が漂う空間だった。

 石壁から滝が落ちてきた滝つぼに美しい泉が広がり──森に囲まれている。

 このゲームをやっていて良かったと心から思える瞬間だった。

 そしてどうやらこの空間にモンスター出現しないらしい。

 不幸中の幸いだ。

「なぁ、ミナト。ここはモンスターが出現しないみたいだし、あの滝壺の洞窟を拠点にしないか?」

 そういって指した方向を見るとたしかに洞窟があった。

 うん。悪くない提案だろう。

「そうしよう」

 俺達はひとまず休憩をとることにした。




「火ィついたぜっ!!」

 アルが持っていた野営セットのおかげで焚き火ができたのだ。

 暖かい……。というか若干暑い。

「サンキュ。それじゃぁ会議をはじめよう」

「あぁ。といっても二人だけだけどな」

「うるさい」

「はいはい」

 俺がそういってしまったせいで途端に静かになってしまった。

 まぁそんなことはどうでもいい。

 とりあえずこれからどうするかを決めないとだ。

「このクエスト──クリアできると思うか?」

「難しいな。倒せるモンスターがいなければ、レベルすら上げられない」

 その通りだ。ここのモンスターのレベルは常軌を逸している

「そしてなによりも、お前のスキルがなにもないって言うのが一番ありえない」

 だよな。

 システムアシストの力がなければこのゲーム自体成立させるのはむずかしいのだ。

 つまり俺は戦力外ということ。

「食料の確保はどうする?」

 このゲームでは空腹が限界に達するとHPが1になるまで徐々に減るというシステムがあるのだ。

 普通はモンスターの肉などを調理して食べたりするのが普通。

 そしてここには倒せるモンスターがいない。

「それは木の実とかを採集して食べるとかで凌げると思うぜ」

 なるほど。つまりそれを採集するのも命懸けという訳だ。

 そうなるといつかはモンスターにやられる可能性も出てくる。

「どうにかして経験値を手に入れる方法はないのか?」

 これが無ければ俺達は毎日命懸けで木の実を取って食べ続けるのをゲームがクリアされるまで繰り返すしかないのだろう。

 それだけは避けたいのだ。

「一つだけ──あるぜ。」

「本当か!?」

「あぁ。このゲームは基本的にダメージを与えた分が戦闘終了後に経験値に変わるシステムだ。つまり──」

 つまり。

「──俺とお前が戦えばいいんだよ。」

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