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「──第一体目のボスが討伐されました。」
システムアナウンスがそう告げた。
その声がこの世界中を響き渡るの感じる限り、プレイヤー全員に伝えられる通知だろう。
──直後。
「──イベントの通知をいたします。」
と続いた。
どうやらボスを倒す事で発生する仕組みらしい。
「──明日の午後7時からこのゲーム内におけるLv15を超えたプレイヤーを対象とした大会を催します。」
大会……か。
普通に面白そうだ。
Lv15プレイヤーが参加条件だとすると、今夜は徹夜でモンスターを狩る奴等が増えそうだな……。
そう考えているとシステムウィンドウに通知が入る。
──第零回最強決定闘技大会──
時間:翌日午後7時から
参加条件:上位48人のプレイヤー
報酬:入賞したプレイヤーにお金、アイテムが与えられる。
──参加しますか? はい/いいえ
「ジウンは参加するのか──?」
とりあえず聞いてみることにした。
「まぁ、やってみようかな。面白そうだし」
「なら、俺も参加だな。」
という結果になった。
「それより早くアイテム回収しよう。どんなアイテムか気になる。」
「そうだな。俺も気になってしょうがないわ」
ドロップしたアイテムデータを拾い上げる。
俺が手に入れたのは分身が使っていた刀だった。
──魔刀a?‡a-?a??a?‘を手に入れた。
なんだこれ……。
文字化けしてる。
なにかがおかしい。
アイテム情報を見てみると……。
魔刀a?‡a-?a??a?‘:???級
コ銖ハ、]強b刃。
明らかに漂う怪しげなアイテム。
これは運営に報告したほうがいいのか?
そう考えていたら──
「ねぇ、ミナト!!この防具めっちゃ防御力上がるよ!!」
そう言って、見慣れない恰好をしたジウンの姿があった。
明らかに悪役だろうと思われるような黒の皮鎧を身に纏った姿のジウンがそこに居た。
「おい。それ明らか魔王とかラスボスが着るような恰好だろ」
なんか似合ってる。
かわいい感じの顔なのなのだけれど、装備を変えるだけでこうも印象が変わるとは思わなかった。
むしろかっこよく見えるほどだ。
とりあえず、俺も刀を装備する事にしてみた。
ステータスを確認すると、攻撃力が二倍になっている事から、恐ろしく強い武器だという事が分かった。
まぁ、刀は切れれば問題ないのだからこのまま装備する事にした。
──この時の判断を俺はいつか後悔する事になる。
──次の日。
俺達はイベント開始前に会場に集まった。
「準備は出来たの?ミナト」
武器のメンテナンスを終えたジウンが言った。
「後一つ持ち込む物を何しようか迷っているのだが──何がいいと思う?」
今大会ではコロシアムを中心とする半径5キロメートルのフィールドに上位48人のプレイヤーたちを転移させて生き残ったプレイヤーが勝者となるサバイバル形式だ。
持ち込むアイテムは全部10個まで。回復アイテムは持ち込み禁止。
現地のフィールドにいくつかアイテムが散りばめられてるとの情報があった。
そうする事でゲームバランスを整えているのだろう。
地形の種類は様々な物があるらしいので気候対策で持ち物の半分が埋まるが、自然には逆らえないのでおとなしく持っていくことにする。
現地で手に入る可能性も十分にありえるが可能性に命はかけられない。
確実な事だけを信用するのだ。
「ミナトの技はスピードが命って感じの奴が多いから──素早さ値を上げる補助アイテムとかはどうかな?」
「なるほど!その手があったな。だったら《速の魔石》を持っていくとしよう。」
そうやって俺はアイテムボックスからある“液体”を手持ちに移した。
「準備完了!それじゃ受付行こうぜ!」
「そうしよう。」
──これで大丈夫。下準備は完了した。
「ねぇ、ミナト。今回のサバイバル形式の事なんだけど、どう思う?」
受付を済ませたジウンがふとそんな事を聞いてきた。
「どう思うってどういう事だよ?」
質問の意味が良く分からなくてそう返した。
「ほら、大会ってトーナメント式の方が正確に実力を測れるのに対して、どうしてサバイバル形式なのかなって思ったんだ。ミナトは情報の分析をするのが得意だからどういう意図があるのかなって……?」
確かに。それは少し俺も疑問に思った。
わざわざこの大会のために大規模な新しいフィールドまで用意して一体なんの意味があるのだろうか?
──サバイバル。
この状況下においては相手との1対1でバカ正直に戦う必要は無い。
強い相手から逃げるのも作戦だ。
複数人と協力して強い相手を倒すのも作戦。
いかに生き残るのかが最優先される。
「考えられる理由は二つあるが──まず一つはレベル制のMMORPGにおいてレベルの差は絶大だろ?」
「うん」
「トーナメント式ではレベルの強いやつが勝つ可能性が高い。レベルの低い人達にもチャンスを与えるためのサバイバル形式って考えることもできるな」
「もう一つの理由は?」
「もう一つの理由は……いや、なんでもない。気にしないでくれ。」
もう一つの理由。
──生存能力を測るため。
名前の通りサバイバルと言えばこっちの方が最初の理由として上がるだろう。
誰が一番生きる事に貪欲であるのか。
この強さがサバイバルにおける強さだ。
しかしこのゲームは死んでもデスペナルティがあるだけ。
このゲームはサバイバルとは無縁といってもいいだろう。
死んだらいけない──か。
──そんな事はありえないよな。
そう思ったのだった。
受付を済ませた俺達は待合室に移動する事になった。
静かな雰囲気だ。
参加者全員がこれから戦う奴を品定めしている。
数分後にフィールドに転移するらしい。
特にする事も無いのだが……。
作戦を練ろう。
「なぁジウン。俺達協力しないか?」
「別にいいけどどうして?」
ふむ。
正直な話の所だとジウンとばったりあって戦うという事態を避けたいからだった。
お互いの技を知り尽くしている俺達が潰しあうのは馬鹿馬鹿しいにもほどがある。
そしてなにより──。
ジウンと戦って勝てる気がしないからだ。
俺だってそこそこは強い。それもかなりの実力。
この大会だってそこそこの順位を取れると思うぐらいには。
ただジウンは別次元にしか感じられない。
剣を手に取ってからの俺達の時間は大差がないのに俺が5成長しているとするならば、ジウンは10成長しているのだ。レベルのことではない。技術においてだ。
才能の差をここで感じてしまった俺に勝ち目はない。
強いて言うなら小細工をして足掻く程度だ。
だからジウンとは共闘するのが得策だと言えよう。
そして何より俺とジウンは相性がこの上ない程いいのだ。
ジウンは決闘など一対一の戦いにおいて無類の強さを発揮するが、奇襲や罠など想定外の事態に弱い。
対して俺は、オールラウンダーであり、ジウンほど強くはないがフィールドが戦いの舞台であるのならばあらゆる状況に適応する事ができる。
だからこそ俺たち二人が組めば敵無しなのだ。
そう言っても良いだろう。
「──ジウンとの戦いは最後までとっておきたいからな」
──この言葉を言った瞬間。
参加者全員の視線は俺たちに集まった。
それもそうだろう。
この言葉が意味するのは、俺たちを除く参加者全員を挑発しているからだ。
直訳するこんな感じだ。
──俺たち二人が最後に生き残るのは当たり前。お前等なんて眼中に無いんだよ。
「おい、てめぇ……。喧嘩売ってんのか──?」
参加者の一人が言い出した。
よし。予想通りの反応だ。
「あぁ、そうだよ。今俺達はここに居るこのゲームトッププレイヤー全員に喧嘩を売ったんだぜ──?」
そういったらジウンが吹き出した。
「ちょっと待ってよミナト!! 頼むから僕を巻き込まないでっ!!」
「さっき別にいいけどっていいたよな──?」
「確かにそういったけどわざわざなんでこんな事しなくても……。」
いや、これが大事なんだ。
ここに居る奴等全員に喧嘩を吹っかけなければ俺の作戦は成立しない。
「ここに居る奴等全員に告ぐ──。一度しか言わないから良く聞いとけ。このゲームが始まったら俺達二人はマップの中心に位置するコロシアムに向かう。どんな手段を使ってもかまわない。殺せるものなら──殺してみろ。」
読んでくださりありがとうございます。赤砂糖です。
センター終わりました。
いろんな意味で。
この後は本試験に向けてまた忙しくなるので、また更新ができなくなる可能性があります。
それと書き溜めがなくなりました。




