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-Destiny Gate Online-  作者: 赤砂糖
-Neet-
21/26

20

 状況は最悪だ。

 ユニークモンスター《煉獄のダンゼル》

 三割しかまだダメージを与えていない。

 なにより、俺の武器《水龍刀》が使い物にならないという事だ。

 俺が二年間の果てに手に入れた物。

 ──絶閃。

 ──水龍刀。

 この二つが使えないんじゃ、俺には水魔法とウンディーネしか残らないという事が良く分かった。

 現在は水魔法で応戦している。

 ダンゼルのブレスを防ぐ程度には魔法が使えるみたいだ。

 ウンディーネはまだ実践で使えるような状態ではない。

 今はまだ、俺の魔力があるからなんとかなっているが、

 俺の魔力が切れた瞬間にこのパーティは崩壊にするだろう。

 他に策があるのかは分からないが。

 今は時間を稼ぐのに徹している。

 どうやら召喚術師の一人が長々と詠唱しているみたいだ。

「おい、初期装備! 後何分持ちそうなんだ?」

 召喚師の代わりに魔法使いが聞いてきた。

 どうやら俺の呼び名は初期装備に決まったらしい。

「頑張って二、三分って所だ。行けるか?」

「なんとか──間に合う!!」

 この状況がどうにかなる程召喚術らしい。

 ユニークモンスターを倒せるほどの召喚モンスターなんて、

 精霊系以外にあるのだろうか──?

 正直想像がつかない。

 だが今は頼るしかないのだろう。

 後三分、魔力が自然回復するのを含めてギリギリ持つかどうかだ……。

 俺は職業《魔法使い》ではないから圧倒的に魔力が魔法使いより少ない。

 しかし──普通の《剣士》の五倍ほどはある。

 戦闘職エリートニートこれにより──全ステータスが五倍されているからだ。

 これにより魔法と近接のバランスがそれなりにとれている。

 悪く言えば、器用貧乏という事なのだが……。

 このゲームでは最大6人で1パーティを構成する事ができる。

 だから6人でそれぞれ近接、中距離、遠距離、魔法、回復、支援などの各自の役割に特化させたりする場合が多い。

 そして職業によって上がりやすいステータスが変わってくるのだ。

 しかし俺は、職業上において全てのステータスが均一に上がってしまうのだ。

 これにより全て中途半端なステータスになってしまったのが現在の俺。

 それは全ステータスを五倍した所で特化させたステータスには到底追いつかない。

 そこで俺が特化させたのが──己の技術。

 二年間の修練によって積み上げた技だ。

 なにしろ、システムアシストを受ける事ができないのだから自分でどうにかするしかないのだから。

 ──システム外スキル。

 システムの範囲外における技。

 これが俺の特化させたもの。

 そして、今それが使えない状況にあるのだ。

 水龍刀──まさか、刃のない刀だったとは……。

 SSS級とか当てにならんわ……。

 よく見てみると──帯刀した腰付近が濡れている。

 今、水魔法を使っているが、俺は一切濡れなかったはず。

 どういうことだ──?

 その疑問の答えに達した瞬間──。

「闇より出でよ──!!」

 召喚術の詠唱が終わったみたいだ。

 召喚術師の正面にある魔法陣の周囲に黒い霧が立ち込める。

 “それ”は次第に顕現し始め──召喚される間際──!!

 ──一瞬でその闇が消えてしまった。

 何が起こったのかよくわからなかったが、それはすぐに分かった。

 ──召喚失敗。

 結果からすると召喚師の方が攻撃を受けてしまったのだ。

 ──咆哮。

 これだけは水魔法ではでは防ぎようのない攻撃だ。

「万策尽きたか……」

 召喚師は絶望した表情でその言葉を放った。

「諦めんなよ。」

 俺はそういった。

 ダンゼルの残りHPは六割。

 ダメージは四割削れている。

 なにもダメージが通らないって訳じゃないんだ。

 倒せる可能性は十分にある。

「この状況でそんな事がよく言えるな!!俺達が満身創痍で削ったのがこの四割なんだ。回復アイテムはもう尽きたし、魔力ももう使い果たした。もう勝負は見えてるだろ!!」

「無理だと思うならお前等逃げてもいいぜ。俺が殿をやってやるからさ。」


 ──でもその前に、ちょっと待ってはくれないか?


 俺を除く全員が一回首を傾げたのを見た後──俺は前に踏み出た。

 俺の推測が正しいのなら──この水龍刀は間違いなく最強の刀だろう。

 刃の無い刀──それが何を意味するのかは至って簡単だ。

 この刀は究極なまでに魔法刀なのだ。

 ──魔法でできた刀。

 刃なんて無いけど。

 魔法はある。

 これから起こる事を一通りイメージした後──居合いの姿勢に構える。

 ──絶閃。

 刀の斬撃を飛ばすのでは無く、刀の刃を飛ばす居合い技。

 故に一回使うごとに刀が使い捨てになってしまう。

 しかし威力は絶大だ。

 刃の無い水龍刀と──刃を飛ばす絶閃。

 これ程ミスマッチな組み合わせは無いだろう。

 なのに俺は確かに存在する可能性に賭けて──抜刀した。

 ──瞬間。

 

 ──色彩を感じられない刃は中に放たれた。


 刃は──確かに存在した。

 それは血の匂いのするような鉄じゃない。

 それは金属の特有の光沢を放ってはいない。


 それはどこまでも透き通った色をした──水の刃だった。

 


この章も次あたりで最後です。

書き溜めがなくなりそうです。

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