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俺は特にすることもなくフィールドを漂っていた。
帰る場所は──ないから
それは少し違うのかもしれない
──戦闘職
フィールドに引き篭もると職業レベルが上がるシステム。
俺にとっては引き篭もる場所が──俺の帰る場所なのだ。
フィールドこそが《ニート》にとっての帰る場所だから──
俺はここを漂っている。
漫然と歩き続けている。
現在の俺はというと、水精霊ウンディーネの召喚の極意を取る練習中だ。
スタミナを使いきっては休み──また召喚するのを繰り返している。
水龍戦ではこれのせいで死にかけたから──
その反省を生かして現在に至る。
現在地は《クラハド山地》
足場が大分悪い場所だ。
ここいらのモンスターレベルでならスタミナを使い切っても問題ないだろう。
モンスターレベルは80位だ。
それなりに高いが、俺のレベルなら瞬殺はされないだろう。
そう思って休んでいた時だった。
100メートル先の開けた場所でモンスターと相対しているパーティの姿があったのだ。
モンスター名は──《煉獄のダンゼル》
身体的特徴を一言で説明するとすれば──ドラゴン。
龍ではなく──ドラゴン。
名前を冠していることからユニークモンスターだろう。
パーティの規模は五人の小規模パーティーだ。
この状況は異様とも言えるだろう。
このゲームにおいてユニークモンスターは一部のフィールドに一体いるかいないか程度の希少さであり、その強さはボス並の強さに匹敵する。
それをたったの五人で倒そうというのは馬鹿げた話ろう。
もしくは大規模パーティが五人になるまで減ったのだろうか──?
そんな事は置いといて現場に向かう。
「おい。お前達今すぐワープアイテムを使うんだ!!」
コミュ障の俺が珍しく噛まずに言った。
「ここの空間はどうやらワープアイテムが使えない空間らしい!」
俺の質問に答えたのは魔法使いの男だった。
「助けに入ったほうがいいか?」
「そんな装備で大丈夫か?」
現在の俺の装備は初期装備に水精霊の首飾り、それとまだ一度も使った事ない水龍刀。
普通からみて常軌を逸しているだろう。
大抵の人はそんな奴に助けに入ったほうがいいか?と聞かれても断るだろう。
でもこのパーティは猫の手も借りたいほどの状況に陥っているのだ。
それならば、助けないわけがない。
だから俺は言うのだ。
「大丈夫だ。問題ない。」
俺はそういった後、
腰に帯刀している刀を抜刀する体制に構えた。
──奥義《絶閃》
俺が二年間ひたすら努力を続けて手に入れた技だ。
それはどんな物でも──絶ってみせる。
俺は自分の出せる最高の速度で刀を抜刀した──結果。
問題があった。
なんだよこのパターン。
二回目の経験だった。
俺の装備ができるものは重量1まで。
とても軽い刀じゃないと俺は装備できないのだ。
水龍刀の重さは1
俺のギリギリ装備できる刀だ。
それもそのはずだろう。
水龍刀には──
──刀身が存在しなかったのだから。
同じ様な事がこの前大会の一回戦目にあったが、
状況が最悪だ。
命が掛かっているこの状況で刀身のない刀でモンスターに挑むのは縛りプレイの限界を超えているだろう。
俺を含め全員が口を開いた状態だった。
「もう一度聞く。そんな装備で大丈夫か?」
俺は一回深呼吸をしてから答えた。
「大丈夫じゃない。問題だ。」
この話を書いたのは大体今年の春くらいだったと記憶してますがだいぶ深夜のテンションで書いていた気がします。




