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結果的に言うと俺はお咎め無しの無罪になった。
クライドのおかげだと思う。
あいつが証言した事で、誰も信じようとしなかった事実が証明されたのだ。
戦闘職──《ニート》
この職業の意味を考え出したらきりがないだろう。
何故、こんな職業が存在するのだろうか──?
考えても分からないのだから──仕方のない事。
今は目の前にある食事を食べるとしよう。
「なぁ、雅は二年間の間一体何をしてたんだ──?」
現在、トップギルド《扉の守護者》の応接室にて雅と食事中である。
審議会が終わった後、さっさと帰ろうとしたら雅に捕まえられたのだ。
「私がしてきた事は二つ。攻略ギルド《扉の守護者》の設立とこのゲームの治安の安定かな」
どうしてそんな事を始めたのだろうか──?
なんて聞くまでもないのだろう。
二年前のデスゲーム開始宣言時──俺がPKされないぐらいには強くなろうと言ったあの言葉が理由なのだろう。
雅はその言葉通りに強くなって──さらにはみんなを守れるようにこのギルドを創設したのだろう。
俺が二年前に掲げた目標だった。
しかしその目標は──達成されてる。
ならば、特にする事はないのだろう。
ゲームクリアなんて大仰な事は最初から考えてなかったんだし。
あとは誰かがクリアするまで適当にゲームを満喫しよう。
二年もの間時間を無駄にしてしまったのだから。
取り戻すとしよう。
「ところで葵はどうしてるんだ──?」
正直気になっていたことだ。
というかこれが本題といってもいいのだろう。
「そんなに心配しなくても大丈夫よ。生きてるから。今はエリア探索中だと思う」
この発言により俺の精神状態は概ね落ち着いた。
「それなら良かった。じゃぁ、そろそろ帰るわ」
と脈絡のない事を言って席から立ち上がる。
「ちょっと待ってよ!! まだちょっとしか話してないんだからさ──」
「互いの安否が分かったんだし、これ以上話すことってないでしょ?」
正直、この空間にこれ以上居たくないのだ。
今の雅は──二年前とは変わってしまっている。
それは俺にも同じ事が言えるだろう。
俺が思い描いてた理想とは遠くかけ離れてしまっていたのだ。
──二年間。
デスゲームの状況下ならたったそれだけの時間でも変わってはおかしくないのだ。
その結果がこの状況なのだから。
この場所から早く抜け出したい。
「あるよ」
言うと思ってた。
一応、内容の確認をしておこうじゃないか。
「用件は──?」
「あなたは私のギルド《扉の守護者》に入っていただきます」
──やっぱりか。
俺の保護が目的なのだろうか──?
可能性としては二つ。
一つは俺の解放する事で、戦闘職の事実が明らかになり、
元職業だった奴等の反乱を恐れての保護。
もう一つは、家族だから。
後者としての理由なら嬉しいのだが、どちらにしても答えは変わらない。
「入らないよ。俺はゲームを満喫したいから──」
──と言った瞬間だった。
「ふざけないでよ──!! ゲームを満喫する? それは死んで行った人達にあまりにも失礼だわ!!」
雅が怒った。
確かに今のは俺の失言だろう。
しかし、ここで俺の非を認めてはいけないのだ。
「ふざけてなんか──ないよ。」
「それを心の底から言ってるのだとしたら──あなたは狂ってるわ!!」
そこで俺は初めて気付く。
──俺が狂っている事を。
「俺は雅がこの二年間をどのように過ごしたかは知らない。多分辛かったのだろう。でもな、仮にだ──」
──もしも二年間。自分に劣等感を抱き続けた果てに、世界から隔絶された者の気持ちが分かるか──?
空気は止まる。
それまで騒がしかった空間は一瞬にして凍結した。
ひたすら負け続けた者は勝つ事を諦め──友には追いつく事もできず最期には一人になってしまった。
そんな事があれば狂うだろう。
だから俺は当然の如く、狂ったのだ。
それが──俺の二年間だった。
改めて自分の過ごしてきた過去を実感する。
何も言えなくなった雅に背を向けてもう一度言う。
「──帰るわ。」
──帰る場所なんて、どこにもないのだけれど。
初めて感想をもらえたのが、あまりにも嬉しくて。
調子に乗ってもう一つ投稿です。
数少ない女の子との会話の場面です。
ヒロインっていたほうがいいんですかね……?




