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ゲームをはじめて二年。
ここに来てはじめて掲示板を見た。
見てて非常に腹が立った。
俺は二年間幽閉されてニートになりつつも独り寂しく生き抜いて来たというのに、
こいつ等はゲームを満喫してやがる。
うらやましいわ。畜生。
俺はコミュ症になっているし……。
そんな事を考えながら、町をうろついていた時だった。
やけに騒がしい。
看板を見てみると、どうやらプレイヤー同士の大規模な大会があるそうだ。
イベントかあ……。
ここ二年間、何一つゲームを楽しんでいなかったから、とても新鮮な気分だ。
これは参加するしかないだろう。
俺は闘技場内に入る事にした。
中に入るとさらに人口密度は高まり、胃の中がムカムカする。
やべぇ……酔いそう。
幸い、ここの受付にはNPCがいないみたいだ。非常に助かる。
──第三回最強決定闘技大会予選参加申請書──
名前:ミナト
職業:エリートニート
所属:無所属
装備
武器:朽ちた刀
頭:
胴:
腕:
腰:
足:
アクセサリ:水精霊の首飾り
以上の内容で申請しますか? Yes/No
そう記入したあとYesを押した。
大会はどうやら二十分後に始まるみたいだ。
俺は待機室に移動することにした。
俺の予想したとおり中は人で溢れていた……。
最悪すぎる。
誰も俺に話しかけないでくださいと願いつつ入室したのだ
──が。
考えてみよう。
この待機室において初期装備の刀を帯刀し、防具をつけてないプレイヤーが注目されないわけがないのだ。
というか俺が室内に入った瞬間空気が凍りついたのだ。
なんだよこの空気。
すると一人のプレイヤーが言い出した。
「ネタプレイヤーかよ~」
すると室内は笑いで溢れて、元の空気に戻った。
良かった。
と思いきや、その男が話しかけて来たのだ。
「よお。お前ここあたりじゃあんま見ないよな。名前なんていうんだ?」
最悪だ……。
「ミナト……」
聞こえるかわからない程度の声量で呟いた。
「ネタプレイヤーの癖に随分と緊張してんのな。もうちょっと気楽に行けよ~」
そういったあと元居た場所に戻っていった。
助かった……。
それからは室内の端で時間がくるまでボーっとしていた。
「それでは試合をはじめるので出場してください」
──そのアナウンス従い俺は会場に出た。
会場に出ると円形闘技場が広がる。
観客が半分くらい。
そっちの方が助かる。
対する相手は、ハンマー使いのようだ。
相手には俺が刀使いに見えるのだろうか?
実際はニートなのだが……。
どうやら予選では名前が出ないらしい。
職業も基本的に見た目でわかるから出ないみたいだ。
表示されたの相手のHPバーのみ。
つまり勝負は既に始まっている。
「ラッキー。ネタプレイヤーかよ。こりゃ楽勝だな」
そんな事を抜かしてやがる。
これはチャンス。
俺の絶閃の餌食になってもらおうか。
刀の柄を持ち──最速で引き抜く。
──決まった。
と思いきや、俺の引き抜いた刀には刀身は無かった。
ん?どういう事だ?
最期に刀を使った時は水龍戦だ。
最期のあの一撃はいつもの感覚が違ったのは今でも覚えている。
だから絶閃を習得したのだろう。
たしか──絶閃は衝撃波のような居合いだった。
刃が飛んでいくような感じで相手を切り裂いたんだよ……。
あれ?刃が飛んでいく?
その瞬間ピンと来た。
あれって、実際に刃が飛んでいったんじゃねぇの?
そういう事か。
この予選会では登録した装備でしか戦う事が許されてない。
──つまり。
この予選会で刀が使用ができないのである。
「まじかよ……」
そう呟いた。
すると相手は、
「猛者現る」
とか言いながら笑っていやがる。
という会場全体が笑いに包まれていた。
最悪だ……。
仕方ない。徒手空拳で勝負をしようじゃないか。
相手もうただ笑っているだけ。
俺はそいつの目の前まで歩き、
正拳突きを放った。
すると相手は闘技場の中心の位置から一瞬で壁まで綺麗に吹っ飛ぶではないか。
相手HPバーを見ると半分になっていた。
会場は一気に静まり返った。
相手は口がポカンと開いている。
俺は相変わらず無表情。
「痛ってぇーなてめぇ!!」
とマジ切れ状態の相手。
いやこれ勝負だから。
俺は最大のスピードで距離を詰め──再び正拳突きを放った。
そこで試合終了。
一戦目は単なるステータスの暴力の試合だった。
この大会ではHPが0になっても死なないシステムらしい。
そこで俺はようやく一安心した。
勝利を告げるファンファーレが会場に響いたが、未だに会場は静かなままだ。
どうやら次の試合は五分後らしい。
あまり時間が無いが、控え室に戻ろう。
俺は二年お世話になった刀の柄を大切に拾い上げ──控え室に戻った。




