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──Lv90に上がった。
──???を手に入れた。
──水龍刀を手に入れた。
──奥義《絶閃》が承認された。
──ユニークスキル《時の刻み》を手に入れた。
と立て続けにシステムが響いた。
色々と手に入れたみたいだが、とりあえずは水龍のアイテムドロップを回収しよう。
──水龍の水を手に入れた。
水だけなんだ。畜生。
悔しがるのは後にして、説明を見てみよう。
???:このアイテムはまだ条件を満たしていません。
水龍刀:SSS級
重量1
力を持つ者のみが扱う事のできる刀。
この刃は決して人の命を絶つことできない。
奥義《絶閃》:SSS級
その一閃はありとあらゆる物を絶ってみせる。
水龍の水:SSS級
形状が自在に変化する。
《時の刻み》:時を感じることが出来る。
SSS級ばっかじゃねぇか。
なんだよ価値のインフレ起こしていやがる。
つうか《絶閃》ってつまり俺の居合い切りが奥義認定されたって事かよ!
さりげなくSSS級だし!
そう喜んでいるのは束の間だった。
「まもなく帰還します」
とシステムが告げたのだ。
長い二年間だった。
それがもうすぐ──終わる。
これで帰れる。
そう思った時、俺の視界が暗転した。
目の前に景色が映りだした。
ここは前に見たことがある。
──二年前に。
始まりの町だ。
この時俺は改めて戻る事が出来たんだと実感する。
本当に戻るべきなのは現実世界なのだろうけど……。
とりあえず俺は何をすべきなのかを一人会議をした。
雅と葵、アルを探す事。
現在の攻略状況を知る事。
あとはこの二年間で何があったか知らなくちゃいけないな。
それにしてもさっきからじろじろと周りから見られるのはいったいなんだ。
柄を握ってる奴までいやがる。
とりあえず、ここは一旦場所を移そう。
その考えのもとたどり着いたのは酒場だった。
「いらっしゃいませー!!」
俺はその声を聞いた瞬間速攻で店を出た。
訳がわからないだろう。
自分でも訳がわからない。
ただ声を聞いた瞬間。
とてつもない恐怖を感じたのだ。
俺はとりあえず今の出来事をなかった事にして、町を歩き出した。
そういえば、俺一文無しだったじゃないか。
なるほど。
だから本能的に店から出てしまったんだよ。
仕方ない。
まずはお金を作ろう。
このアイテム欄一杯の素材アイテムを売ろう。
一年間狩り続けた分のアイテムがある。
レアドロップは人に売れば高値がつくだろう。
そして向かった先は道具屋である。
俺は店の扉を開けた。
すると、
「いらっしゃいませー!」
の声が聞こえた。
俺が取った行動は、店から引き返すだった。
あれ?
おかしいな。
どうしてだろう。
そんな事を考えた。
そのまま頭の中で自己分析をし続ける。
──二十分ほどした時。
結論が出た。
最悪の結果だった。
俺がニートで二年間引きこもって過ごした結果──
人と話すのが怖くなった。
話しかけられるのが怖くなった。
人の視線が怖くなった。
──つまり。
どうやら俺は、コミュニティ障害になったらしい。
このゲームにおいて人と話すのが苦手というのは非常に大きな痛手になる。
そんな事はわかっている。
しかし、怖がらずにはいられないのだ。
話しかけてくる人から威圧感を感じる。
モンスターより怖く感じた。
少なくとも最低限の事はできるようにしておこう。
NPCと商談を成立させるぐらいにはしないと……。
折角戻る事が出来たんだから。
こんな事で挫けちゃだめだ。
まずはいらっしゃいませを耐えることだ。
よし、やるぞ。
そう決意した俺は再び扉を開けた。
「いらしゃいませー!」
ぐはっ!
俺の精神に87のダメージ。
大丈夫だ。相手はただのNPC……。
負ける訳にはいかないのだ!
次は俺の攻撃だ!
「あ、あのっ……。あ、アイテム買取……お、おっ、お願いします!!」
俺どもりすぎだろ……。
「ごめんなさい。聞き取れませんでした。もう一度言ってください」
クリティカルヒット!!
俺の精神に234のダメージ。
も、もう一度だと……。
そうか。俺の言葉がどもりすぎて、認証できなかったのか……。
「あ、あっ、アイテミュ買取お願いします!!」
しまった!
噛んでしまった。
俺の精神28のダメージ。
自分で自分にダメージ与えるとか馬鹿すぎだろ……。
「ごめんなさい。聞き取れませんでした。もう一度言ってください」
またしてもクリティカルヒット!!
俺の精神に253のダメージ。
だんだん胃が痛くなって来た……。
「アイテム買取……お願いします…・・・」
俺は今にも死にそうな声で言った。
「わかりました」
この時俺の精神は既にズタボロになっていた。
虚ろな目で売るアイテムを選択し終わると──
「2125万3468ポッチになります。」
開いた口が塞がらなかった。
冗談だろ?
いくら何でも多すぎじゃね?
俺の手持ち金額を見るとやはり2125万3468ポッチがそこにあった。
俺は放心状態で店から出ると──
「ありがとうございましたー。またのご来店をお待ちしております」
と言われた。
もう二度と行くもんか。
俺は心の中でそう誓った。
ここから一応物語りが広がっていく予定です。




