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episode4〜迷子の剣士と風の狼〜

久しぶりの更新です。

今回はΣさんちのアヴィス君の登場です。

神殿都市ディオルドより北に10日程離れた森『迷いの森』の中を 一人の剣士が地図を見ながら歩いていた。

「可笑しいな?もうディオルドに着いても良い頃なんだけど?」

等と言いながらどんどん森の奥深くに入り込んで行く剣士。因みにディオルドは彼の進む方向とは『真逆の方向』である。

彼の名は『アヴィス・ハーヴァン』。

皆さんはもうお気付きだろう。彼は超弩級の方向音痴であった。


「・・・・・・もしかして、また迷っちゃったかな?」

アヴィスは頭を掻きながらぽつりと呟いた。

今彼は鬱蒼とした森の奥深くで緑色の毛並みの狼にその手を甘噛みされていた。

『あぐあぐ』

「この子、間違いなく風の精霊獣の風狼だよね?」

『んい?そーだよ。ボク風狼だよ〜♪』

アヴィスの呟きを聞いていた風狼はアヴィスの手から離れるとアヴィスに答える。

「喋った!?」

『喋れるよ〜♪ボク精霊だもん♪』

アヴィスが驚くと風狼はにぱっと笑った。

『ホントは人間相手に喋っちゃいけないんだけどお兄ちゃん混ざってるから大丈夫だよね♪』

「っ!?何故それを・・・・・・!」

『ん〜匂いでわかった〜♪』

アヴィスは人間と碧の民と呼ばれるエルフの血を引くハーフエルフだ。

碧の民は女性しか居らず男のアヴィスは迫害されてきた。

アヴィスの両親はそんな中で死亡しアヴィスは故郷を追放された。

何度も何度も故郷からの追跡者に襲われ逃げ延びた先で出会った老剣士に救われ彼から剣術を教わった。

だが一時の平穏は長くは続かずアヴィスが17歳の夏、老剣士は病に倒れアヴィスに看取られ静かに息を引き取った。

その後アヴィスは老剣士が若い頃に使っていた蒼色の剣を腰に、旅に出た。

誰かの助けになる為に、また自らと同じ境遇の者を助ける為に。

『んに?お兄ちゃんどうしたの?』

風狼はつぶらな瞳をアヴィスに向けて首を傾ける。

「い、いや何でも無いよ」

そう言いながらアヴィスが風狼の頭を撫でると風狼は気持ち良さそうに尻尾を揺らした。

『所でお兄ちゃんは何処に行くの?この先は崖だよ?』

「え?この先ってディオルドじゃないの!?」

『ディオルドはあっちだよ?』

風狼は前足でアヴィスが歩いて来た方を指した。

『お兄ちゃんひょっとしたら迷子?』

「ぐふっ!?」

風狼のズバリな指摘にアヴィスは胸を押さえてうずくまる。

『何だったらボクが連れて行ってあげようか?ほっとくとお兄ちゃん何時までたってもディオルドにつきそうにないし』

「い、痛い。その純粋な好意が痛すぎる(涙)」

アヴィスは自分の方向オンチを自覚している為、風狼の純粋な好意に涙する。

「じ、じゃあお願いしても良いかな?」

アヴィスはよろよろと立ち上がると風狼に案内をお願いする。

『うい♪じゃあ、ボクに付いてきてね〜♪』

風狼はアヴィスの前に立つとちゃかちゃかと歩き出し、アヴィスは慌てて風狼の後に付いて歩き始めた。

「そう言えば君の名前はなんて言うんだい?」

『んい?ボク達精霊獣には名前無いんだよ。強いて言えば風狼が名前になるのかな?』

「そうなんだ?だったら、僕が着けてあげようか?」

『ホント?ワーイ♪着けて着けて♪』

風狼は名前を着けて貰えるのが嬉しいのか尻尾をぶんぶん振って喜んでいた。

「その前に君、男の子?」

『ボク、雌だよー』

「女の子か。なら・・・・・・フレイヤはどうかな?」

アヴィスが風狼に名付けたその時、風狼の首に光が集った。

「な、何だ!?」

『・・・・・・命名完了。我が名はフレイヤ。此れより御身を主とし、終生の忠誠を捧げん』

風狼、いやフレイヤの首に蒼色のチョーカーが現れるとフレイヤはまるで膝まずくようにアヴィスの前に伏せた。

「い、今のは一体?」

『ん〜?なんなんだろーね?』

アヴィスとフレイヤは知らなかった。精霊獣に名前を着けるという事はその名付けた精霊獣と主従契約を結ぶ事になるという事を。

アヴィスとフレイヤがそれを知ったのはディオルドに着いてからドラグーンとカグツチに会った後になるのだった。


次回に続く。



オマケ『フレイヤ、疲れる』


『お兄ちゃん、こっちだってば!』

「え?ご、ごめん!」

さて、迷いの森を抜ける為にアヴィスを先導するフレイヤだったが、彼女は今それを後悔していた。

『もー!ボクの後に着いてきてってば!』

「ご、ごめん!」

何故ならアヴィスはフレイヤが目を離すといつの間にか後ろから姿を消し既に十回以上迷子になっているからだ。

『うー!もー頭きた!』

「フ、フレイヤ?」

しびれを切らしたフレイヤはその辺に生えていた蔦を噛みきるとアヴィスの胴にそれを結び更に自分の身体に器用に結び付ける。

「えっと・・・・・・(汗)」

『これなら迷えないでしょ!』

ぷんすこと怒るフレイヤに流石に自分が原因の為、反論出来ないアヴィスであった。

尚、この逆散歩状態(別名・羞恥プレイ(笑))はディオルドに着いてから道具屋でリードを買うまで続くのだった。




終われ(笑)



フレイヤ後悔する(笑)

アヴィス君の方向オンチは筋金入りです(笑)

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