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episode3~崖の下の再会~

トゥラーシュ登場のエピソード3更新です♪



神殿都市ディオルドに向かう道は2つある。

街道沿いをそのまま進むルートとボルネスク山脈と呼ばれる山を抜けるルートの2つである。

一行は街道沿いの方に向かうトゥーガン・リオニールとボルネスク山脈の方に向かうドラグーン・カグツチ・リーティの二手に別れ、それぞれの道を進んでいた。


ボルネスク山脈を進むドラグーン達は今、非常に困った状況に追い込まれていた。

「へっへっへ」

山賊である。

「成る程ね。ボルネスク山脈方面を進む旅人を見かけないのはこういう事か」

ドラグーンが呟きながら刀を鞘から引き抜く。

『リーティ、儂の背中に乗ると良いのじゃ。この狭い山道でバスターソードを振り回すのは少々危険じゃからの』

カグツチはリーティに自らの背中に乗るように言う。

「すいません。お言葉に甘えます!」

リーティはバスターソードを引き抜き、カグツチの背中に乗るとカイトシールドを構えた。

その姿はまさしく精霊騎士のようだ。

「男は殺せ。女は生け捕りにして奴隷にするんだ」

山賊達の後ろで親分らしき男が山賊達に命令する。

「俺を殺す?面白い事を言う奴だな」

ドラグーンは二本の刀を構えると山賊達に向かって駆け出す。リーティの足を起用にロープで固定していたカグツチもドラグーンに遅れて駆け出した。

「アタシを奴隷にする?ふざけた事を言わないで下さい!」

リーティは憤慨するとバスターソードを山賊に向かって突き出した。

「ぎゃあっ!」

「ハッ!」

ドラグーンが刀を一閃して山賊子分Aを切り捨てると、

「やあ!」

「グギャアッ!」

カグツチに乗ったリーティはバスターソードを突き出し山賊子分Bの足を貫く。

『アフロになれぃっ!』

『フィィィィバァァァァッ!!』

そしてカグツチは口から炎を吐き山賊子分達を纏めてアフロにしていった。

「あの、何でアフロ?」

リーティが額に汗を浮かべながらカグツチに尋ねる。

『む?悪人はアフロにすべきとトゥーガンに教わったのじゃが?』

「トゥーガンさぁぁぁんっ!?貴男は何を教えてるんですかああああっ!」

リーティのツッコミが虚しく空へと響き渡った。


その頃、街道ルートでは。

「ブェックショイ!」

「おっちゃん、風邪?」

「ん〜、違うと思うけどね〜?」

リオニールを背に引っ付けたトゥーガンが盛大なくしゃみをしてリオニールに心配されていた。


「そろそろ頃合か……。おい、合図を出せ」

「へい」

しばらくして山賊親分はドラグーンとリーティが引き離されたのを見ると隣に控えていた子分に指示を出し子分はそれに頷くと筒のような物を取り出し火を付けた。

するとその筒から煙が立ち上った。

「あれは……煙筒?」

『嫌な予感がするのう』


※煙筒・要は携帯型の狼煙の事。


カグツチの予感は的中した。

煙が立ち上ってしばらくすると、山の中腹から巨大な岩が転がり落ちてきた。

その狙いはドラグーン!

『主!避けるのじゃ!』

「ドラグーンさん!危ない!」

「なっ!」

カグツチのリーティの声がドラグーンに届いた時には既に遅く、ドラグーンは落石に身体を弾き飛ばされて宙に舞った。

「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!」

『主!』

「ドラグーンさぁぁん!」

そしてドラグーンは崖の下へと落ちていった。



ドラグーンが崖下へと落ちていった時、崖下にある湖で一人の少女が水浴びしていた。

「みゅ〜♪気持ちいっ♪」

少女は気持ちよさそうに笑顔で言うとそのまま泳ぎ始めた。

彼女の名はトゥラーシュ。

トゥラーシュ・アルカディア。ドラグーンの捜し人である。

彼女は数日前、リーティと別れてから山脈ルートを歩いていたのだが崖下に湖を見つけた為、飛んで降り此処数日間この辺りでキャンプしていた。

「あれ?今何か悲鳴が聞こえたような……?」

妖精と音の精霊のハーフであるトゥラーシュの耳に聞いた事のある悲鳴が届き、トゥラーシュは水から出ると急いで身体を拭き服を着た。

その直後、バキバキバキと言う木が折れる音と共にドシャッと何か重い物が落ちる音がした。

「みゅっ!何?」

トゥラーシュは音の聞こえた方にとてとてとて〜っと走って行く。

「うそ……お兄ちゃん?」

トゥラーシュが音のした場所に辿り着くと其処には大きな岩の側にドラグーンが倒れていた。

「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」

トゥラーシュはドラグーンの側に駆け寄るとドラグーンの身体を揺すって起こそうとする。

「ぐ……。その声はトゥラーシュ……?」

「そうだよ!私だよ!」

トゥラーシュの自身を呼ぶ声にドラグーンはうっすらと目を開けてトゥラーシュの顔を見る。

それはまごうことなきトゥラーシュの顔だった。

「トゥラァァァァァーシュ!」

「みゅっ!?……みゅ〜///」

ドラグーンは身体の痛みも何のそのとばかりにガバッと起き上がるとトゥラーシュの身体を抱き締める。

因みにトゥラーシュは最初こそ驚いたが直ぐにドラグーンに身体を預け、久しぶりのドラグーンの温もりを堪能していたりする。

「……?トゥラーシュ、聞きにくい事なんだがな?」

「どうしたのお兄ちゃん?」

トゥラーシュを抱き締めるドラグーンだったが、ふとトゥラーシュの身体に違和感を感じてトゥラーシュに質問する。するとトゥラーシュはつぶらな瞳をドラグーンに向けて首を傾げる。

「お前、下着は着けてないのか?」

「え?……みゅーっ!お兄ちゃん直ぐ戻って来るからちょっと待ってて!/// 」

ドラグーンの質問にトゥラーシュは一瞬考えて、先程慌てて服を着た時に下着を着けるのを忘れていた事を思い出し真っ赤な顔で湖に向かって走り去るのだった。


「さて、そろそろ上に戻らないとカグツチとリーティが心配だな」

「みゅ?リーティちゃん居るの?」

数分後、下着を着けたトゥラーシュが荷物を持ってドラグーンの所に戻って来ると、ドラグーンは崖の上を見て呟いた。

「おう。リーティのお陰でトゥラーシュがディオルトに向かっている事が分かったんだ」

ドラグーンはトゥラーシュに説明しながら、自らの上半身を包む上着を脱ぎ上半身裸の状態になった。

「お兄ちゃん、竜化するの?」

「ああ。ちょっと離れてろよ?ふんっ!」

トゥラーシュが自分から離れたのを見てドラグーンは竜化する為に気合いを入れた。

すると、ドラグーンの上半身が徐々に鱗に覆われていき背中から竜の翼が生えてくる。

「ッガァァァァァァァッ!!」

しばらくすると上半身が炎竜の姿に変わったドラグーンが雄叫びをあげて立っていた。

『うっし!トゥラーシュ来い!』

「うん!」

ドラグーンは近寄って来たトゥラーシュをお姫様抱っこで抱き上げると背中の翼を羽ばたかせ空へと舞い上がるのだった。



『有無!数が多すぎるのじゃ!』

「早くドラグーンさんを助けに行かないと行けないのに……!」

一方崖の上では、カグツチとリーティが徐々に追い詰められていた。

『む?リーティ、どうやら主を助けに行く必要は無いようじゃぞ?』

そんな中、鼻と耳をピクピクと動かしていたカグツチがリーティに告げた。

「どういう事ですか?カグツチ」

「この高さから落ちたんだ。とっくに死んでるに決まってるぜ?」

リーティがカグツチに尋ねると、二人の会話を聞いていた山賊子分の一人が二人に言い放った。

『違うわドアホ。我が主がこの位の高さ(崖の高さ・約五百メートル)から落ちた程度で死ぬものか。聞こえぬかリーティ?この力強い羽ばたきの音が』

「え?」

カグツチの言葉にリーティが耳を澄ますと確かにバサリバサリと羽ばたきの音が聞こえた。

『そら、主のお帰りじゃ!』

カグツチの声と同時に何かが崖の下から飛び出してきた。

『よ。待たせちまったな?』

「リーティちゃーん♪」

『おぉ、どうやら捜し人も見つけてきたようじゃの我が主♪』

「トゥラーシュ?というより、ドラゴン!?え?ドラグーンさん?」

飛び出してきたドラグーンとトゥラーシュを見て嬉しそうに尻尾を立てるカグツチに初めて見る竜化ドラグーンとリーティに向かって手を振るトゥラーシュを見て混乱するリーティ。

尚、山賊達は竜化ドラグーンを見て恐慌状態に陥っていた。

『さて、トゥラーシュ?早速で悪いがコイツラを眠らせてくれるか?』

「みゅ〜///分かったよお兄ちゃん♪」

ドラグーンはトゥラーシュのお腹を優しく撫でながらトゥラーシュに頼むとトゥラーシュはピクピクと妖精の羽を動かしながら笑顔で頷いた。

「音魔法……妖精の子守歌。〜〜♪」

ドラグーンの腕の中でトゥラーシュは静かに歌い始めた。

ボルネスク山脈に静かに響き渡るトゥラーシュの歌声は優しく山賊達の胸に染み込んでいく。

すると、恐慌状態に陥っていた山賊達が騒ぐのを止めその場に倒れていった。

見るとその顔に安らかな笑みを浮かべながら山賊達は眠りについていた。

「〜〜♪……これで良い?お兄ちゃん♪」

歌い終わるとトゥラーシュはドラグーンに笑顔で言うのであった。


『良し。じゃあ俺はコイツラを麓に運んで来るから、トゥラーシュはカグツチ達を頼むな?』

眠りについた山賊達を何処からともなく取り出したロープで縛り上げるとドラグーンは山賊達を担ぎ上げ翼を羽ばたかせて空へと浮かび上がった。

「リーティちゃん達まで眠るとは思わなかったよ」

トゥラーシュは苦笑しつつカグツチとリーティを見る。

「く〜zzz」

『すぴ〜zzz』

其処には気持ちよさそうに眠るリーティとカグツチの姿があった。

『二人だけで戦ってたからな。疲れたんだろう。んじゃ、行ってくるなトゥラーシュ』

「お兄ちゃん行ってらっしゃい♪」

舞い上がるドラグーンに向かって手を振るトゥラーシュ。

その後、ドラグーンが戻って来るまでの間トゥラーシュは眠るリーティのさらさらな金髪を弄ってドラグーンの帰りを待つのだった。





このトゥーガン×トゥーソード!の世界はMOON NIGHT HUNTERの世界より2千年程前になります。


ついでに言えばMOON NIGHT HUNTERのカグツチとトゥーガン×トゥーソード!のカグツチは別人ですが、カグツチの子孫になります。


ただ一人トゥーガン×トゥーソード!に出演するゲストキャラがMOON NIGHT HUNTERの世界で生きてますけどね?


話が進めば何故MOON NIGHT HUNTERの世界に神が居ないのかが判明する事でしょう♪



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