第5夜 第4話 【 新入社員の退職届と、ランプのコンプライアンス 】
【ブラック企業が倒産し、更地となったネオ・殷王朝の跡地】
サイバー妲己:(リクルートスーツ姿の光命の胸元に、九本の尻尾をメロメロに巻き付けながら)
「ああ……! 魔界光命様! あなた様こそ、この古代中国、いえ、全宇宙の真の最高経営責任者(CEO)ですわ! 紂王のパワハラから私を救ってくださったお礼に、今夜は私の特設オフィス(寝所)で、朝まで愛欲のインセンティブをたっぷりと支給し合って、二人だけの新規事業を立ち上げましょう?」
魔界光命:(純白の六翼を少し休ませ、ネクタイを緩めながら)
「妲己ちゃん、その提案は『魅力的』、だけど俺の人生は常に『流動的』。新規事業の立ち上げなんて、40億年先の未来じゃAIがコンマ1秒で『自動生成』するレベルだけど、お前のその熱い信仰と愛欲の『リソース』、俺の心臓のハードディスクにしっかり『保存』されたわ。手取り18万の新卒(40億23歳)にしちゃ、最高の福利厚生だけどさ……あ、おい、また足元見て。例のクソ迷惑な『異動命令』が来たわ」
サイバー妲己:「えっ……!? なんですかこの、オフィスのシュレッダーの煙みたいな濃厚な紫色のフォグは!? 光命様のスーツが、また光の粒子になってストリーミング再生みたいに透き通っていきますわ! 嫌です、行かないで、私のCEO!」
【モクモクモクモク!!! 地面から、あの因縁の黄金のランプの煙が、容赦なく光命のローファーを包み込み始める】
魔界光命:「クソッ、やっぱりこのタイミングかよ。ブラック企業をM&Aで買収して、美少女といい雰囲気になった瞬間にこれだ。マジで誰なんだよ、この40億年の時空の裏側で、俺のキャリアプランに毎回『バルサン』焚いて強制退職させてるクソストーカーは。ゴホッ、ゴホッ……視界が『ローファイ(低解像度)』……脳内スマホの通信制限が、来る……」
サイバー妲己:「光命様ーっ! せめて次の出社先の住所を教えてくださいませーっ!」
魔界光命:「次は……2026年の……北浦和の……マックの……前あたり……。じゃあね妲己、残業代が出ない会社からは、お前もさっさと『定時退社』しろよ……!(完全消滅)」
(プツン、と因果律が切断され、新入社員の肉体はネオ・殷王朝の更地ごと空間から消去された――)
【2026年7月・埼玉県さいたま市浦和区・北浦和駅西口のファミリーマート前】
魔界光命:(ハッと目を覚ますと、自分は普通の男子高校生の学ラン姿に戻り、手にはまだ温かいファミチキを握りしめていた)
魔界光命:「……は? 戻った? 営業部の初出社は? 妲己のバニーじゃなくてケモミミは?」
ファミマの店員:「ありがとうございましたー、またどうぞー」
魔界光命:「……夢じゃねえ、だってほら(ポケットを探る)。リクルートスーツの時に使った『ネオ・殷王朝ロジスティクス株式会社・魔界光命の名刺(純金製)』と、妲己ちゃんが落としていった『サイバー発光する狐の抜け毛』が、しっかりポケットの奥に『格納』されてるし」
魔界光命:(ファミチキを一口かじり、北浦和の青空を見上げながら不敵に笑う)
「40億23歳の新入社員ねぇ……。悪くないキャリアだったけど、やっぱり俺には浦和の高校生が一番しっくりくるわ。おい、ランプの持ち主。お前が次にどこの時空(現場)を用意してようが、俺の大天使のライムで全部『業務改善』してやるから、首を長くして待ってな」
(魔界光命の、倫理も年齢も労働基準法も滅茶苦茶な新アラビアンナイト物語。次は一体どこの次元の、どんな不条理が、彼のパンクなバースを待っているのか。第六夜へ続く)
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