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甘党探偵月影ましろ〜ボクとブラックでスイーツな日々〜  作者: ツキノ
16章 クトゥルーの呼び声〜浮上せしルルイエ〜
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4話 ニャル様のお気に入り

『ふぅ。今回も前回に引き続き、物語ソネット粒子は少量回収だね。神話級の物語ソネットが食べられると期待してたのになぁ』


 崩れ行く螺旋階段の側に付けられているウォータースライダー内で、ましろの浮き輪に挟まっているラプスがぼやいた。


「新たな敵はクトゥルーに加藤さんか……」

「出直してくるとおっしゃってましたが、夢の中で仕掛けられたらたまったものじゃありませんわよ」

「だよねー。暫くは要警戒かな」

「しかし、魔導書ゲットのチャンスが……!惜しいことをした」

「鴉は水魔法を習得したいの?」

「別に水魔法に限ったことではない。覚える魔法が多いのに越したことはないからな」

「ねぇ、魔導書って他にもあるの?」


 興味本位でましろが鴉に聞いてみる。


「ある。他にはネクロノミコン、エイボンの書などだな。……しかし、読むと正気度を消失するどころか死の危険をもたらす場合もある。……先程は新しい魔法に目が眩みすぎていたな。冷静に考えれば、読むよりも被害が出ないように魔導書を貴様の炎で始末するべきか?」

「危険なものなら、それで構わないよ。魔法を覚えられないのは残念だけどね」


 ◇◇◇


「みんな、無事でよかったぁ!」

「ちょっと前にスーツにローブの男と男の子っぽい女の子が降ってきたけど、何かあったの?」


 ウォータースライダーから出てきたましろたちに駆け寄る鵜久森と綺羅々。


「!ルルイエ(?)が消滅していきます……」


 崩壊ではなく、黒い霧となっての消滅。

 プールの色も元通りの深さになったようで、ネオンの明かりを反射させており、煌びやかだ。


「……あれ?」

「おれたち、何してたっけ……」


 ラプスが物語ソネットと一緒に記憶を回収したせいで、一部記憶が無い人々が首を捻っている。


「今回はダンジョンらしきものが出てきたけど、被害は最小限で抑えられたね」

「ええ、おかげで食べ損なったパルフェが食べれますもの。良かったですわねましろさん?」

「ふふふ。先に席に座ってるよー」


 浮き輪を抱え、ましろは浮かれながらパラソルの下を目指した。



 ◆◆◆



「あれ……、ここは……」


 ナイトプールを経営しているホテルに泊まって、眠りについた筈のましろは、崩壊した水上都市に居た。


「マズいなぁ……。ルタルの時と同じだ。ラプスも居ないし……」


 頼れるのは自身の炎の力だけ。しかし、その炎の力も水属性の前ではどこまで通用するか。ましろは周囲を警戒してスペルカードを顕にする。


『やっほー。聞こえるかい月影ましろ。ボクだよボク。クトゥルーさ。そんなに警戒しなくても大丈夫だよ』


 脳内に直接声が響いた。ましろは広がる夜空を仰ぐ。


「単刀直入に言うけど、何が目的だい?」

『正直に言えば、下見かなぁ』

「下見ってなんの?」

『キミの下見さ。ニャルのお気に入りがどんなやつかなって興味があるから』

「ボクが猫琉さんのお気に入りだって?」


 初耳なことに、ましろは目を見開いて驚いた。


『うん。でも、正直な感想、大したことないなぁって』

「そう言われると、なんだか傷つくなぁ」

『ニャルのやつが苦手なやつが火属性だからか、キミが苦手なのかもね。ボクは水属性だし、こうして今すぐにでもベヒーモスやコラジンをけしかけて精神攻撃が出来る状態だしで、優位が取れるから、キミが厄介には感じないよ。……星の落とし子たちはキミが苦手になったけどね』

「それで……。加藤さんによって復活したキミは、これからどうするんだい?」

『とりあえず、この世界を見て回るよ。ムーンビーストと同じようにね。……ただし、たこ焼き屋とイカ焼き屋は許せないかもしれない』

「観光はいいけど、ものを無闇やたらに壊さないでね」

『カトゥからも言われてるから、一応は壊さないであげるよ』

「話はそれだけ?ボク、いい加減普通に眠りたいな」

『わかったよ。話しはこれで終わり。普通の夢にお帰り』


 空間が捻じ曲がったと思えば、辺り一面がお菓子の世界へと変わる。


「うんうん。クトゥルーもわかってるじゃないか!ボクが見たい夢の世界が!」


 ◇◇◇


「むにゃむにゃ……。もう食べられ……いや、まだ食べられる……」

『……どうやら、余計な心配みたいだ』


 念のため起きていたラプスも、欠伸をして眠りについた。


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