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第48話 付与術師は辱めを受ける

私は今、土下座の真っ最中だ。


「ほ、本当に申し訳ございませんでした!」


(って私謝ってるけど、ぶっちゃけ自分が何をして謝ってるか分からないんですけどぉ!)


「メイ、あなた何で自分が謝ってるか理解して謝ってるの?」


(カレン! あなた読心術師なのぉぉ? どうして私が思ってること言い当てちゃうのぉぉ?!)


「え、えっとぉ………ってカレン、何でライノ君と腕組んでるのぉ?!」


「やっぱり覚えてないんだ。昨日の夜、酒場であなたに言ったでしょ! 私とライノ君は付き合い始めたって」


(え? な、何それ、つ、つきあい? 突きあい? 付き合い……ってお付き合いし始めたってことぉぉぉ?! ななな、うう裏切り者ぉぉぉ! 私は連日、超超やばい二人に付き合ってダンジョン潜ってんのに、あなたは天才風剣士のライノ君とお付き合いぃぃぃ?!)


「やっぱり、おかしいです。支部長」


「うむ」


そう、私は今日のダンジョン攻略の報告のためにギルドに来たら、シルビアさんに「付いてきてください」って言われてギルド支部長室に連れて来られたのだ。


目の前にはヴァン支部長、シルビアさん、カレンとライノ君、そしてなぜか精神治療師のダイゴさんがいた。


「な、何でダイゴさんが?」


「メイ、一昨日も同じ男だったけど、あなたが私たちと飲んでる時に、ビバルって男が近づいてきて、今日も一杯おごるから飲んでくれって、言われてその男の注いだ酒を飲んだのよ」


(び、ビバル? だ、誰? )


「私たちは、よしなさいって言ったのに次々その男の酒を飲んで、あなたの今就いている任務についてその男に語り始めたのよ。私たちはおかしいと思ってその男とあなたを引き離したけど、明らかにあなたの精神状態はおかしな状態だった」


(えええええぇぇぇぇ?! また私やっちゃったのぉぉ? ヘルマン人事部長にまた絞られちゃうよぉぉ!)


「その後、私はあなたを宿まで連れて寝かしたけど、一昨日も昨日もあなたの言動が不自然だったので、今日ライノ君と相談して、支部長にあなたのことを報告したら、すぐにダイゴさんを呼ぶようにって指示されたのよ」


(ぜっ、全然覚えてません……)


「メイ君、今からわしが、君がおかしくなった原因を調べようと思う。わしには原因に心当たりがあるのじゃが、それには君の協力が必要じゃ。原因究明に協力してくれるかな?」


「は、はい。協力します。ダイゴさん」


「シルビア君、頼めるか?」


「はい、支部長。メイさん、さあ行きましょ」


シルビアさんは私の背中を押して部屋から連れ出した――――――――




(に、に、尿を取られたぁぁぁぁぁぁぁぁ!)


「ダイゴさん、お待たせしました」


「おお、すまんな」


(え? え? それ、試験管に入った、私の尿をどおするのぉぉぉ?!)


「ふむ」


(試験管立てに置いた私の尿をみんなで覗かないでぇぇぇぇぇぇ!! わ、私もうお嫁に行けないよぉぉ)


ダイゴさんが何かの液体を数滴、私の尿にたらした。すると、私の尿は赤く染まった。


「やっぱりじゃ」


(な、何がやっぱりなのぉぉぉ? 私の尿に何があったのぉぉぉ?)


「この尿にはエルフの秘薬『暴露草のエキス』が含まれておる」


「おお!」


(ば、ばくろそう? 馬黒そう?)


「『暴露草のエキス』は人体には無害じゃが、飲むと心の中の秘密をしゃべりたくなる作用がある。おそらく、酒に混ぜてメイ君に飲ませたのじゃ。この秘薬はシルバニア王国では非合法じゃ」


(え? 私、そんなやばい薬を飲まされてたのぉ?)


「みんな聞いてほしい。本日、政庁でゴブリン殲滅戦の編成会議があった。冒険者ギルドは中級冒険者以上に強制依頼を出し、これに臨む」


(きょ、強制依頼? あ、でも今私ってあの二人に付いてるわけで、あの二人は駆け出し冒険者だから大丈夫だぁ。あの二人に付いてゴブリン殲滅戦とか正直、付いて行く自信ないからねぇ)


「あと、領主様のたっての願いで、キャサリン君、ミオ君の参加も決定した」


(に、逃げられなかったぁぁぁぁ!)


「口外しないでもらいたいのだが、サイロス副支部長がキャサリン君のことを探っていたふしがある。おそらく、そのビバルという男とサイロス副支部長はつながっている。サイロス副支部長はバルター商会を通じて、当ギルドに不良品の剣を供給しようとしたが、フォートラン商会のサイモン氏によりそれは阻止された。バルターはその後、自殺した」


(………………ちょ、ちょっと脳が理解することを拒否してるんですが……私関係ないよねぇ? お願いないってだれか言って!)


「メイ君!」


「は、はい!」


(再び、逃げられなかったぁぁぁぁ!)


「抜かなくていいので、剣を見せてくれ」


(ああ、私この剣を受け取ってから寝る時もトイレに行くときもいつも一緒。これじゃあ、剣と結婚した様じゃない。旦那さんができても、剣を持って寝るなんて即離婚されちゃうかも……)


「なんか地味な剣ですね」


(素直な感想ありがとうライノ君。でもこの剣、抜くとすごいのよ。私も脱ぐとすごいけど……腹筋が)


「ライノ、この剣を抜いて構えてみろ」


「はい。これはメイ先輩の剣と同じ見た目ですね――――」


(あ! この剣、私の剣と同じ製作者の剣だ。って、こんな剣、ほいほい世の中に出回るものなの?)


「す、すごい………この剣、持っただけで……」


「分かるか。冒険者ギルドマナエル支部はフォートラン商会からこの剣をリース契約で大量に借り受け、ゴブリン殲滅戦に臨む」


(ほいほいありましたぁぁぁ! それも大量にぃぃぃ?)


「この剣は鉄の剣でありながら、ミスリルの剣に勝る法力容量を持ち、アダマンタイトの剣をも切ってみせた。この剣は武器転換に失敗した冒険者たちにとって希望であり、冒険者ギルドの将来を変える剣である」


(ア、ア、アダマンタイトを切ったぁぁぁ!?)


「この剣とメイ君の剣の作成者はおそらく同じだ。そしておそらく、サイロス副支部長とナイジェル・ノアール司教は結託してこの剣の製作者を探し出し、手中に収めようとしている。この剣はまだ量産中で、我々はこの剣の製作者を守り通さねばならん」


(あああ、また胃が痛くなってきたぁぁぁ)


「そこで、メイ君!」


(はい、再び私に追加攻撃来ましたぁぁぁぁ!)


「私たちはそのビバルという男を捕らえ、物証である『暴露草のエキス』を押収する。そして領主様と連携し、その男とサイロス副支部長とナイジェル司教のつながりを暴き出す。君の協力が必要だ」


(そ、それって私が針につけられた餌ってことぉぉぉ?! ぜ、全員の視線が痛い! これって拒否権ないじゃないのぉぉ!)



「は、はい。協力します……」



その後、私とカレンとライノ君は囮として酒場に移動、そのビバルという男はあっさりと捕まった。酒からは非合法の『暴露草のエキス』がばっちり検出され、ビバルはダイゴさん特製の眠り薬で眠らされ、ギルドの地下牢に投獄の運びとなった。


ただ……


「ライノ君、夜食食べる? はいあーん」


「ありがとうございます。あーん」


牢獄の監視を交代でやることになり、私は悔し涙を流しながらその夜は寝れなかった。


「ああ、お酒飲みたい……」



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