第7話 成長と苦戦
それからスケルトンを適当に殺して、骨を集めてから加工してみようにもそもそも加工方法が分からない、と言う致命的な欠点があった事に今更気が付いて、若干恥ずかしくなりながらも新しく習得した爪のスキルと硬化のスキルを併用する事で、疑似的な刃物として骨を削っていたが、それも飽きてしまった。
何せただ骨を削るだけでは面倒くさいし詰まらないと言った感情しか出てこずに、マジで生産系のスキルを習得したのは、失敗だったかなとか思いながら、そこらに落ちていた適当な墓石の破片を器みたいにして、何か出来ないかと思いながら物は試しと削ってみる事にした。
まぁ初めは爪と硬化のスキルが低かったのもあるが、あんまり削れなかったが、慣れれば結構なスピードで削る事も出来て、仕上げに角ばった所を綺麗に削れば完成だ。
《スキル<加工Lv9>が<加工Lv10>に上昇しました》
《スキル<加工Lv10>を習得した事により新たに生産系スキル<石材加工Lv1>を習得しました》
《スキルアップボーナスによりSPを5取得しました》
新たに加工のスキルレベル10から派生した石材加工のスキルは、結構便利そうだなと思いながら、削った石の中に墓場の土とスケルトンの骨片に加えて、ゾンビの肉片を入れるそして最後に俺の血を一滴入れて、すり鉢に見立てたスケルトンの骨を使って混ぜ合わせた。
名前 悍ましき死霊物
分類 道具
品質 屑
説明 死霊に関係のある物を混ぜ合わせた事で、作られた死霊物であり死霊魔法を用いてアンデットを作る際に触媒として用いると作成するアンデットを若干強化する
うん、適当に混ぜ合わせたら結構悍ましすぎる代物が出来たな。まぁ正直な所死霊魔法って調べた感じ他の魔法より結構面倒くさそうだし、手駒を簡単に集められるのには惹かれるけど、無くても良いんだよな。でもこれでの功績は石材加工のスキルを習得出来た事だよなぁ。何せSPは幾らあっても良いからね。それに加えて解体のスキルはレベル3まで上がった。
まぁ恐らくだけど、解体のスキルの方は骨をばらしたり、肉を削いだり的な感じで活躍はしてたけど、そんなにメインで使ってなかったからそんなにレベルが上がらなかったのだろうなと思っていた。
それから悍ましき死霊物とか言う厄ネタをそこらに放り投げて一応無かったことにしてから、第4層に足を踏み入れた。正直な所、本気で頑張れば第4層もクリアできると思っている。何せ上位種と言っても私もシャドウゾンビと言う上位種だし、自分の力量は正確に把握しているつもりだから、勝てるとは思っている。
だけど私が第4層に足を何時まで経っても踏み入れないのには訳があった。それはそこから更に下の階層である第5層と思われる場所に存在すると思っているアンデットの実力が、称号の蛮勇者の効果によって分かってしまうからだ。
ダメだ
そうとしか思えない程に強烈な気配は私が本来なら、かなり頑張れば突破できる戦力差なのに、二の足を踏んでいた程に強烈で強大な気配だった。正直に言って、その気配の主と今の私が戦えば、10対0で私が負けると言っても良いだろうと確信している。
それから第5層には絶対に入らないようにしながら、第4層を探索しているが、やはり数の力と言うのはどうにも対応しずらく、個々の力では私が勝っているのにも関わらず、かなりの苦戦をしながらなんとか勝てたという表現が正しいほどにボロボロだった。
しかし無傷で突破する事は不可能で、私は右の腕に傷を受けてしまった。そして流れ出る血を見ながら回復するのを待っていると、私自身忘れかけていたスキルのレベルが上昇するのを確認した。
《スキル<血Lv1>は<血Lv2>に上昇しました》
「おっこれは良いこの際血のスキルと体力微回復のスキルも鍛えてやろうかね?」
そんな事を思いながらスキルレベルが上がっていくのを待っていると今度は新しいスキルを習得する音が聞こえた。
《新しく異能系スキル<回復Lv1>を習得しました》
《スキル<体力微回復Lv2>が<回復Lv1>に統合されました》
《スキル<血Lv2>が<血Lv3>に上昇しました》
それからもスキルレベルが上がっていくのを感じながら他のスキルも暇潰して上げているとメインで上げていた血のスキルが漸くレベル10になろうと言う所まで来た。
《スキル<血Lv9>が<血Lv10>に上昇しました》
《スキル<血Lv10>を習得した事により新しく肉体系スキル<熱血Lv1>を派生習得しました》
《スキル<血Lv10>を習得した事により新しく肉体系スキル<冷血Lv1>を派生習得しました》
《スキル<血Lv10>を習得した事により新しく異能系スキル<血流操作Lv1>を派生習得しました》
《スキルアップボーナスによりSPを5取得しました》
それらのスキルを習得してから取りあえず全部を鑑定してみると、熱血のスキルは今の所は、体内に流れる血液の温度を上げるスキルで、寒い所に対して若干の耐性を得るスキルで、冷血はその逆の効果を持つスキルで熱い所に対して若干耐性を得るスキルとなっている。
そして一番の目玉スキルが<血液操作>のスキルで、このスキルの効果は至って単純な物で、血液を操作すると言うスキルだ。まぁ攻撃転用とかは出来ないけど、自分とその対象が死んでいることが条件だが、他人の血液も操作できるスキル悪しく吸血鬼っぽいなとか思いながら、第4層を探索していた。
そうして第4層を探索していると今度は剣士に弓使いそして魔法使いの結構バランスの良いパーティが現れて、私は直ぐに戦闘の雰囲気に呑まれた。
先ずは相手の剣士ゾンビが所々錆びていて刃こぼれもある剣で、私目掛けて剣を頭から振り下ろした。それに私は咄嗟に避けることが出来ずに半ば無意識的に影防御のスキルを発動させて、その後は剣士ゾンビを殺そうかと思ったが、その怒りの合間を縫って弓使いのスケルトンが私の右腕を冷静に打ち抜いて来た。
それに続いて魔法を使いスケルトンが火炎の魔法を放ったことで、私の右腕は完全にお釈迦になった。だがそれを黙ってみている私では無く、直ぐに影触手のスキルで辺り一帯を怒りの赴くままに壊しつくしたが、そんな怒りに身を任せた攻撃が奴らに届く事も無く、まぁ一応敵が離れたから最低限の戦果は出せたが、このスキルは戦闘中の、それも追い詰められた状況で、使う手段じゃないなと直ぐに理解して、私は逆に格闘戦を織り交ぜる事にした。
そこからは先ず殆どの攻撃は全て無視して、各個撃破を意識しながら剣士ゾンビの胴体を改めて、自らの思考を冷静にしてから、ぶち抜いてその犬歯が錆びた剣を奪って、その後魔法使いの頭に向かってかっ飛ばす。
それで絶命した魔法使いを横目に今度は弓使いのスケルトンの頭を今度はパンチ一発で殴り殺した。とまぁ今の様な右腕の負傷は完全に予想外だったが、こんな感じで第4階層では何時も苦戦していた。