第22話 交渉
「以上がこの迷宮を攻略するまでの話だ。何か分からない所はあるかな?」
そんな事を言いながら半死鬼に疑問を投げかけていたが、どうやら私が支配していて尚且つ聴覚も共有していることがバレているらしいって言うか、この人たちの言い分自体は分かるけど、どうしてそんな感じで運営が介入できるんだろうと不思議だった。だけれどこれは話を聞いていくうちに、一プレイヤーとして干渉したのかと分かって疑問が解けた。
「それならこの迷宮をどう活用するおつもりですか?」
そんな感じで私が元所有者として当然の権利と無言で言いながら待っていると運営は観念したのか、これからのイベントの詳細を語って聞かせてくれた。その内容とはあのエルダーリッチある程度同じ実力を持った、エルダーリッチを死霊系統特化のプレイヤーに作らせて、そいつをボスにすると言う考えだった。
それに対して私は甘いなぁって思っていた。聞く限りエルダーリッチの死霊魔法でアンデットを作り出して、それでイベントを進行させるようだけど、私ならその死霊特化プレイヤーをボスポジションに置いて、エルダーリッチでは作り出せない様な、無数のアンデットを一般プレイヤーが掻き分けながら、攻略組のプレイヤーを送り出して、そのボス戦闘を始め最後には皆の力で勝利って言う話が良いなと思っていた。
エルダーリッチと戦ったことが有るから分かるけど、アイツが作り出すアンデットって単体ではある程度成長したプレイヤーなら軽く殺す事が出来る。まぁあの時は私が苦戦してたからこいつらは強い敵だって思ってたけど、イベントでプレイヤーの実力を見る限り、アンデットの軍勢を消すこと自体は、上位プレイヤーなら簡単にできる。
そして一番の問題はあのエルダーリッチのアンデット生産能力が思ったよりも低い疑惑が有ると言う事だ。まぁ数自体は結構いたけど、多分それってアンデットが作り出したと言うよりも、迷宮が作り出した物が殆どだと確信している。多分アイツ自身が作ったアンデットは、外にいた雑魚アンデットが多分そうだろうなとも確信していた。
因みに外にいる適当なアンデットのスキル構成がこんな感じた。
名前
種族 レッサーゾンビ
スキル
種族系スキル
腐体Lv5
肉体系スキル
爪Lv2
異能系スキル
回復Lv3.暗視Lv7
戦闘系スキル
体術Lv2.格闘Lv1
耐性系スキル
気絶耐性Lv3
称号
<ガラトスの眷属>
こんな感じで普通に弱く簡単に倒す事が出来る程度の強さしか無く、迷宮内のアンデットはこれにガラトスの眷属の称号を持っていない個体だったから、単純にアンデット生産能力が低そうだしそもそも弱いしで詰まらなさそうだなって思っている。
「それって正直に言いますけど失敗する未来しか見えませんよ。何せあのエルダーリッチ…ガラトスって言うんですけどアンデットの生産能力が弱いですし単純な戦闘能力が低いからですけどね。」
それを言うと運営プレイヤーたちは話し合った末に、私をボスに擁立すると言うまさか過ぎる手段を講じてきた。まぁ話では聞いたけど、この手段を取るとは思っていなかった。まさか一プレイヤーをボスとかここの運営って正気あるのか?とか思いながら、魔王へと成り上がるには丁度いいなって思っていた。
「その話受けたいんですが、少し待ってくれませんかね?アンデットを用意するのにちょっと時間が掛かるかも知れませんので」
それを言うと運営プレイヤーが詳しい話は後日致しましょうと言う事で解散になって、一旦この迷宮から撤退してくれて、支配権をまた擁立できたけど、多分この迷宮は遠からず消えるだろうなと思っていた。イベントで使われることになって、イベント中に私が殺されて死んだら、迷宮の支配権が空白になる可能性がある。
それに加えて多分運営は元々私が支配したこの迷宮を、遠からず消すだろうなと思った。話の節々に協力だとかの言葉を残していたから、そう言うのが大事なんだろうなと思っていた。けれどそれすらも多分嘘と私は確信している。それはどうにも協力だとかのお大事な事を言っている最中は、顔が若干固まっていたからだ。
そして最も重要なのは最後の去り際に残した。「我々運営は自由を尊重します。その犠牲で誰かが困難に当たっても、それは己の責任私たちはそれを尊びます」って言う言葉から、恐らくそれが本音何だろうなって思いながら、取りあえず迷宮を後にして、イベントの方に顔を出すかと思っていた。
それから半死鬼の方は迷宮の最奥の部屋に置いていて、こっちのほうもそろそろ戦闘だなって思っていた。そうして会場の方に歩いていくと、どこかの写真で見たことあるようなコロッセオで、私たちは入口から入ろうとしていたけど、歓声や楽しむ声で、「私たちは見世物か」と呟きながら登場した。
「よぉ煙さん俺はランダルって言うんだお前の名前は何だ?」
見た目が完全にチャラ男って感じの見た目で持っている武器から槍使いだと言う事が分かる位で、それ以外の情報が無くどう攻略したものかと思い悩みながら相手にするべくこちらも名乗った。
「私か?それならば名を名乗るのは控えよう本来名乗りとは互いが同格であると言う事を示す物だ。
故に我と貴殿が対等であると言う事は無くそれを持って返礼としよう」
出来る限りセリフをカッコよくしようと頭をフル回転させながら喋ったら、ランダルとか言う奴は人に聞いたら100人中120人は、怒っていると言いそうなくらいに思いっきりキレていた。まぁしょうがないよなって思いながら、開始のゴングが鳴ったと同時に、ランダルは迫って来たけど、その槍さばきはどんなものかと思って観察していたら、動き自体は大雑把なもののかなりの力強さを感じた。
そのスピードも凄まじく多分だけど、スキルの差で何とか捌けていた。だけれども何時までもこの膠着状態を続けられる訳も無く、私は徐々に追い込まれていった。けれども影触手で取りあえず男の攻撃を捌かせて、私自身はあの男をどう攻略するか考えていた。
本当の事を言えば全部のスキルを解放したら勝てない事も無い、魔砲弾系の魔法を何発も放てば相手を殺しきる事なんて簡単なんだけど、今はあんまりスキルを見せたくないから適度にスキル使用を縛って勝っていきたいんだけど、まぁ大剣系と影系のスキルなら大丈夫だろうけど、魔法系はあんまり見せたくないしどういう勝ち方で行こうなぁ。
とか考えていたら並列思考で処理していた影触手が全部消された事に気が付いて、私は思考系や演算系に物を言わせて、大剣で食いついていた。正直取り回しの観点で言えば大剣は槍に数段劣るし、武器事態の強さでもあの槍にボロ負けしているから今この攻撃を捌けているのは殆ど奇跡の様な物だった。
けれど相手の槍使いの攻撃にある程度慣れたら、男が結構隙だらけである事が分かって、一先ず大剣をあらゆるスキルで強化した筋力を持って相手の槍を吹き飛ばして、相手を<振り切り>の攻撃で倒した。




