仮面武道館へようこそ
戦いは終わる事を知らず、鳴り止まない鐘の音の中で全人類は、『仮面』を被り、殺し合う。その歴史は五千年前から続く大儀式を完全化させるため、人は争い、戦うのだ。
「お前、弱そうだな。戦え」
「え、え、何ですか」
「何ですかも、何もない!おまえはここで死ね!」
おどおどと何も知らない少年は、ただ呆然とビクビクしながら、足を引く。すると、空から赤い光が見えてきて、その光は高速で真っ直ぐ降りてくる。そして相手は怯み、赤い光は落ち着いてゆく。そして赤い光から仮面をつけた女の人が現れ、「みつけた!」と言ったあと、相手を軽く殴り吹っ飛ばし、「少年、いや、アラタ!逃げるよ」という。
———
説明を受けると、段々わかってきた。仮面をつけた女の人は前回の「生命戦争」に打ち勝ち、ホルダーとなった。ホルダーの女、ククルスは、皆から狙われる対象になった。
「ホルダーの命を受け継ぐ事が"生命戦争"の醍醐味だからだ」
「でも、なんで争うんですか?」
と、言ったあと、馬鹿げた質問にククルスは腹を抱えて笑っている。無理もない。アラタは12歳だ。思春期の入りたてで、右も左も分からないだろう。この世界でも子供は幸せの象徴だ。ただ違うとすればただ一つ。スタートが必ずしも赤ん坊ではないという事だ。故に産まれた時から成人や老人の事もある。
「キミのお母さんとお父さんは今、何処にいる」
「僕の母さん、父さん……」
そうだ、皆子供だから、争いが起きるのだ。