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第三話
「まじないなんて、ないんだ。」
おばさんは、そう言った。
けろりと、あたかも、なんでもないことのように、そう言った。
「まじないは、嘘だ。」
それは、決定的な告白だった。
知らなくてもいい告白だった。
「じゃあ、なんでおばさんはずっと、願っているの?意味がないのに?」
「それしか、できないからだよ。」
なんで?
なぜ?
「それしか、私たちにはできないんだよ!」
そんなこと、知りたくなかった。
そんなの、知らなくてよかった。
「もう、後戻りはできないよ。」
嫌だ!
「でもね、私はこの仕事に誇りを持ってる。」
「え?」
「人の願いを叶える、それは、例え本当でなくても、人の励ましになると思わないかい?」
「例え、全て嘘でも、意味があると思わないかい?」
わからない。そんなこと、わからない。全部、嘘なのに。
「私は、祈りを通して、皆を応援してる。それが、この仕事だよ。」
おばさんは、いつも通りに、ぶっきらぼうに、そう言った。