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エピローグ
最期の瞬間、何か書き残すのであれば、最も簡単に利用できるのは、己自身の血液だろう。
赤い血を使用しやすい状況下で「赤は隆」という符号を決めていたのだから、最初から伯父は、俺を最も強く疑っていたに違いない。
このように、伯父の日記がきっかけとなって、俺は捕まってしまった。
獄中では、毎日この記録を書き記している。
まだ始めたばかりだが、死ぬまでには長々と書き溜まるはず。あるいは、案外すぐに処刑されるのだろうか。
いずれにせよ、死刑囚の日記として、後々まで残されるに違いない。
(「残された日記 ――被害者と殺人者――」完)