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第4話


「たかしちゃん! 何てこと言うの!?」

「ほう? 隆さんは、あれを『血文字』と思ったのですか」

 警部の言葉には不思議な重みがあり、慌てた明美の叫びをピシャリと黙らせるほどだった。

 強い視線を向けられて、俺も尻込みしたい気分だが、そうはいかない。警察に対して弱気になったら負けであり、殺人者にとっての敗北は、犯行が暴かれることを意味するのだ。

 だから強気で主張してみる。

「違うのですか? あれって、いわゆるダイイングメッセージでしょう?」

「では隆さんは『牧彦さんが犯人だ』と告発したいのですか?」

「まさか!」

 俺は大袈裟に否定する。自分では「話を飛躍させないでください」というニュアンスのつもりだった。

「俺じゃなくて、犯人を告発してるのは、伯父の春樹でしょう? 死者の告発だからこそ、ダイイングメッセージになるわけですから」

「『死者の告発』じゃなくて『死に際の伝言』じゃなかったかしら? ダイイングメッセージという言葉の意味は……」

「混ぜっ返すのは()してください、明美姉さん」

 揚げ足を取られたような気分で、少しムッとした俺は、あえて厳しい目を彼女に向ける。

「そんな場合じゃないでしょう? ほら、明美姉さんだって、告発の対象ですからね。伯父の『あ』が『あーくん』を示しているとは限らない。『あけみ』と書こうとして力尽きた、という可能性も考えられますよね?」

 発言の最後の部分は、彼女ではなく、警部に対して同意を求めるものだった。

   

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