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2 超開発

「うぅ…………あれ?」


 眩い光に目が覚める。

 目を開けると木漏れ日がチカチカと差し込んでいる。

 どうやら俺は木の下で寝ているようだった。


「なんでこんなところで寝てるんだ? 勝手に歩いてきちゃったとか……?」


 よくある意識はないのに徘徊しちゃってたみたいなやつだ。

 まさか、そんなおじいちゃんみたいなこと俺に限ってあるわけないだろ。寝るのはたしかに好きだけどな……寝る?


「ああ、そうか! 夢を見てるんだわ!」


 完璧に思い出した。

 そうだ、確か現実で寝ていたら訳の分からない神が出てきてなんやかんやで異世界に転生してくれるとかいうメチャクチャな夢を見たんだった。それがまだ継続中ということだな。


「ふふ、なるほどな、となるとここがもう異世界というわけか」


 俺は改めて周囲を見渡す。

 一面木々が生い茂るだけだった。


「なんだよ、全然普通じゃん。まぁ俺の夢だしな、想像できるものも限界があるんだろう」


 考えてみれば森なんて木以外に何があるのかって話だ。

 やはり街とかダンジョンとか、そういうワチャワチャと盛り上がる場所にいかないと始まらないよな。


「よし、それじゃ早速移動しよう、ふふ、せっかくの夢なんだ、目が覚める前に盛大にインパクトを残してやるぜ!」


 つい忘れがちな夢だが、嫌でも覚えてるような強烈な思い出を作りたいものだ。

 欲望のままに暴れまくってやる!


「そう言えば勇者とかなんとか言ってたよな」


 そうそう、加えて都合よく強力な力を手に入れてるんだったっけ。ほんと至り尽くせりだよな。でもどうやって使うんだろう?


「よく分かんねぇけど身体能力くらい上がってるだろ。そんなこと言ってた気がするし!」


 移動がてら試してみますか。


 俺はおもむろにクラウチングスタートの構えを取った。

 よーい……



 バシュん!



 景色が掻き消えた。

 え、なんだ!?




 バキバキバキバキバキ




 なんだ、何かが顔面に当たりまくってる! 痛い……くない? 妙に体がふわふわするし、あれ、ちょっと待ってもしかしてこれって……


 俺はキキキーと急ブレーキをする。

 背後を見てみる。

 木々が吹き飛び、森の中に不自然なトンネルが出来ていた。

 トンネルは一直線に突き抜けている。



「おいおい、待て待て。もしかしなくてもこれって俺が今作りだしたんじゃないか」



 前後の状況から判断するに、俺はスタートの瞬間考えられない速度で加速し、走ってる間に通過した木々やらを軒並み吹き飛ばしたのだ。

 自分でもにわかには信じられない。

 速さもそうだし、木々にぶつかりまくってるのに傷一つついてない体にもびっくりだ。


「ははっ、マジか。こりゃとんでもない設定になっちゃってるな」


 俺自身が一瞬認知できないくらいのスピードってどんなだよ。いくら夢とはいえちょっとやり過ぎなんじゃないか? どんだけ欲張りなんだよ、まぁ俺も無意識のうちに色々溜まってたのかもしれないな。


「ほんと、凄すぎるって!」


 俺は再び超出力でぶっ飛ばしてみた。


 再び景色がありえない速度で流れていく。

 勿論木々をなぎ倒しながらだ。

 なるほど、さっきはいきなりであれだったけど、高速で動いてるって認識させしてしまえば全然意識が追いつけるな。一度の踏み込みで、軽く数百メートルくらいは移動してるんじゃないか? いやもしかしたらそれ以上かも。


 俺は調子に乗って更に加速する。


 まもなくして森を抜け、草原地帯に入る。


 だだっ広い平地も高速で流れ、やがて巨大な岩が転がる岩石地帯へ。


 その先にある山を一気に掛け登り、雪が降りしきる頂上付近にきたところで、目の前にあった超巨大な大木を駆け上がり、大木のてっぺんでさらに大ジャンプ。


 勢いのままに雲を突き抜け、水色の空と眼下いっぱいに広がる白い雲を捉える。



「ハハハッ! ヤバすぎだろ!」



 なんだこの味わったことのない爽快感は。

 体が軽すぎる。

 今ならなんでもできる気がする。

 そりゃ夢なんだから当然か。

 いや、でもこの充足感は本物だ。

 こんなことリアルじゃどんなやつにも体験できないだろ。

 やばい、異世界楽しい。夢サイコー!

 いつまでも覚めないで欲しいわ。



「ふぅぅううううう! どこに降りるのかなー!」



 大地へと吸い寄せられる感覚を味わいながらも、俺は考える。

 そうだな、スピードは完璧だから、今度は攻撃力なんかも試してみたいな。

 どんなパワーが秘められていることやら、ちょっと想像付かないけど!



 さらなる感動を求め、俺は拳を振りかぶる。

 よく分かんなけど地面でも殴ってみよう。それで多少なりとも威力が分かるはずだ。




「おりゃあああ! 人間隕石いいいい!!」




 ドゴぉぉぉぉおおおおおん!!



 拳が地面を捉えた瞬間、凄まじいエネルギーの爆発が起こり、周囲を荒らし尽くす。

 気づけば俺は何もない更地にいた。

 周囲を崖で囲まれている。

 いや、違う、これはクレーターだ。

 俺は出来上がったクレーターの真ん中に立っているんだ。



「さ、最強すぎる……」



 なんだこの威力……。

 ぴょんと飛び上がり上空から見てみるが、軽く半径数百メートルは広がってるぞ。しかも小手試しでそこまで本気という本気は出していなかったのに……。


「これは我ながらぶっ壊れすぎる。こんなことで世界は大丈夫なのか?」


 俺の存在一つでこの世界はどうとでもなっちゃうんじゃないか?

 あんまり調子に乗るもんじゃないかもな。世界が壊れたりして夢が覚めちゃってもしょうもないし。


 ま、ともかく大体の力はわかったな。

 よし、それじゃあ異世界要素を満喫しにでもいきますか。




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