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王都へ…… ⑥

拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。



 

【 ドリアス殿下視点 】




 未だ起動出来ないモノらしい。

 側近の一人など、目を見開たまま気絶した。

 マリアンヌ含め気を失った者は4名、余りにも多すぎやしないか?

 私は首を捻りながら、そんなに凄いモノだったのかと、改めて妖精のティッカーを見る。


「オオ!私のありがたみを理解したのかね♪」


 そんな私に向かって、フフンと偉そうに胸を張る、ティッカー。

 やはりどうしてもクリスティオ殿と、魔道具論議をした姿が定着し、妖精より職人、研究者のイメージが強い。


「ごめん、妖精なんだよね。見れば……」


「何だ?こんなちっさな者は、妖精以外の何者でもないだろう?」


「そうだね。だけど妖精より、魔道具職人のイメージが強すぎてね。」


 私が苦笑気味に言うと、こちらに飛んできて肩に止まる。


「そう言えば、君はなかなか手先が器用だったね?」


「ああ、細かい作業は得意なんだ。この後も一仕事しなければいけない。」


 脅し交りのお土産おせちを、作り上げなければならないのだ。

 事細かく書かれて品を、絵の通りに配置する。

 なかなか骨が折れる作業だった。


「絵を見たけど大変そうだ。今のうちに作ったらどうだい?復活するのに時間がいるだろう?」


 確かに私が報告しなくても他の者が出来るはず、枢機卿たちを見ると頷かれ、ライオネスも同意した。


「それじゃあ父上、隣の仮眠室をお借りします。アセリアからの土産を作りますので。」


 目の端に映った父は何処か疲れたような顔で、優しい眼差しで頷いた。





 ”しかしコレは…… なかなか骨の折れる作業だね。”


 たぶんこの面倒さは半分は、嫌味を混ぜているのだろうと考える。

 普通ならば、気遣いで簡略した盛り付けを出来るはずだ。

 それなのに、紙を使った細工まで作る様に指示をしてある。

 最悪なのは録画式の魔道具がある為に、失敗は許されないという事だ。


 ”絶対出来上がりを撮って来る様に、指示してあるはず!”


 ココに第二弾の負けられない戦いが勃発したのである。


 ”アセリアの姫には負けない。今度こそ!!”


 とりあえず指示通りに従い作成し、自分なりにアレンジする。

 これしかないと気合を入れて、巾着袋から小箱を次々と取り出した。

 ホントにこんなお重という入れ物に、事細かく入れて行く。

 お重に下に葉を敷くと、漆の赤が鮮やかに映る。

 スプーンを使って次々と入れて行き、葉を使い彩を添え華やかに演出。

 折り紙という紙を細工せずに、器代わりの入れ物を華やかなモノにリメイクする。


 ”せっかくなら花を使うのもいいかもしれない。口に入れて良く、料理に害がないもの……”


 花瓶に飾られている花を眺め見ていると、大きい花しかなく無理そうだ。

 出来はなかなかの出来だが、アセリアの姫の絵とさほど違いがない。

 そこを何とか変えたいと、ウンウン唸りながら考えるドリアスであった。


 …………


 ……………………


 最終的には、長細い葉をバラの様に細工し中央に置き、赤の実を差し色して料理をバランス良く置いていった。

 細い紐も蝶の様な結び紐を作り、残りの折り紙でカトラリー置きを作る。


「少しは雰囲気づくりが出来ただろうか?」


 今置かれているのはデスクだが、遠くから確認し後は花とナプキンを準備する事にした。

 部屋から出るとどうやら一段落は着いた様で、握手をしながら挨拶を交り合わせていた。


「ドリアス、なんか手間な土産を頂いた様だな。」苦笑気味な表情で言う父親に、私も同じような表情なのだろう。

 頷きながらもライオネスを探し、いくつかの花と器、そしてナプキンなど次々と指定していく。

 本来ならこれは女主人がやる仕事、そして作り上げて完成させるには使用人だろう。

 だがこの王宮で、その使()()()に信用が置けない。

 だからライオネスにお願いし、テーブルセッティングまでやる事にしたのだ。


「ドリアス殿下、私もお手伝い致しますわ。気がつかず申し訳ございません。」


 マリアンヌが恐縮して私に謝るが、気絶したので仕方がないと思う。


「楽しんでやっているから気にしないで、最後までキッチリするよ。頼まれたしね。」


「どんな感じになったのか、魔道具で撮る予定ですから、がんばって下さいね。」


 ニコニコ笑顔で話す四郎殿に、私もニコニコ笑顔で応える。

 なんせアスレチックで負けたのだ。ここで挽回しないとやるせない。

 そんな私達の態度を不思議な顔で眺める、マリアンヌ。

 最終確認だけはお願いして、引き続き籠る事を伝えた。




 ****************


【 陛下視点 】



 ライオネスが持って来た物と、さっきまで制作したものだろうか?

 それらを直ぐ近くの会議室に持って行く後ろ姿を見送る。

 一緒に荷物を持って、白い髪の双子の兄妹が付いて行った。

 私が不安そうな顔をしていたのだろう。

 ライオネスがあのお二方は強いと告げる。

 とにかく自分の王宮なのに、信用できないという情けなさ。

 我が子の安全さえも不安で、どれだけこの国が心許ないかがわかる。


 “ホントにボロボロだな。笑えるほどに…………”


 こんな状態ともわからず上ばかり見て、沈んで行く船で就航し続ける馬鹿大将だ。

 たぶん自分の気づいていない事がたくさんあって、国として揺らぎ傾いているのだろう。

 それに先程から気になるライオネスの態度、どう考えても主をドリアスに変えている。


 “この旅で何かあったという事であろうな…… ”


 側近中の側近で合ったライオネス。

 何処か今の状況も第三者目線で、静かに見つめている様に感じる。

 今まで頼りに頼っていた為とても寂しいと思う気持ちと、見放されたのだという思いが交錯する。


 “それでも私はこの国の王だ。”


 この事実だけは変えられず、前を向かなければならない。

 どんな事が待ち受けようとも……

 ポンポンっと軽く私の手を叩き、椅子を目線で示すマリアンヌ。

 皆があいさつからずっとそのままである事を思い出し、慌てて楽にするよう伝えた。



 そこからさまざまな話が飛び出してくる。

 手紙で記載された麻薬の店はアセリア側で処理された。

 そしてまたその関係者は捕縛され、今地下牢に留置き状態だそう。

 麻薬の特定も済む、更に鑑定で産地まで分かる状態だと言う。

 更には神託で今回の王都教会の悪行は粛清と決定らしく、大司教に最後の審判は下った。


「なので今この王都教会は、実質のただの建物でしかありません。神は見放してお要りますので、どうぞお好きに(笑)」


 それは教会だけの話なのだろうか?

 この国そのモノを見放したとかではないのだろうか?

 そう思うと確認する事も恐ろしくて、私は尋ねる事が出来なかった。


「ところで離婚なさるという話でしたね。書類を頂けますか?」


 私は机に保管していた書類を枢機卿に渡すと、サッサとサインをして契約解除を刻む。

 今まで私の腕にハマっていた婚姻の腕輪は、ヒビが入り砕け落ちた。

 それがまるで私とあの女の様で、やっと縁が切れた事にホッとした。


「ところで、とことんまで縁を切る方法もあるんですよ?」


 四郎という、これまた黒い髪の双子の護衛騎士の一人が言う。

 なんでも今まで出来事をすべて無かった事にしてしまうのだとか、


「記憶がなくなるのですか?」


「そうですよ。例えばこちらのマリアンヌさんと書き換えればいいのです。もちろん行いも入れ替えましょう。そうする事により、あの王妃が行った事がキャンセルになります。だって王妃じゃないのですからねぇ。」


 どういう理屈でそうなるのかは不明、ただ使う力が神の力だからこその事らしい。


「という事は今横行している偽王印や、麻薬関係もキャンセルになるのですか?」


 一縷の望みで聞いてみると可能だと言う。

 ただ記憶が消えるだけで、気持ちはまた別問題。

 信頼を何故失ったのかは記憶にないが、信頼できないという思いは残ると言うのだ。

 世界規模でかける術、記憶がなくなるだけでもありがたい。


「手紙も消えますか?」


「それに関しては始めに王印を見け、その王印に術を施せばその王印を使った手紙を消滅させる。」


 麻薬はもちろん抜けるだろうが、もともとの性根を変える事はできない。

 それでも凄くいい事は間違いないのだ。

 そして思ったのだ。

 もしできる事なら前陛下が行った大司教の出来事も消す頃は出来ないだろうかと……

 全てはヤツが発端だ。国の為だったのだろうが、人を駒の様に思う方だった。

 たぶんライオネスもそんな犠牲者の一人だったのかもしれない。

 マリアンヌと昔話をする時、ライオネスに関して食い違いが起こるのだ。

 つまり本来のライオネスを話すマリアンヌと、今のライオネスを話す私。


「陛下… 大司教の件はそれでいいと思います。ですが罪は償って頂きます。」


 前陛下を消す。関わった幹部たちはそれを後日通達する事だろう。

 自分達が前陛下を通じて消した罪が、後日表面化する仕組みになる訳だ。


 “母上に話そう。もう訳ないが、もう今回のでほとほと愛想が尽きた。”


 前陛下の霊廟は破棄する事になるだろう。

 他にもいろんな話が出て来る。

 我が国がいかに他国から取り残されている状況か浮き彫りにする。


「そ、そんなまさか…… 」


 側近の外交を担当する者など、愕然とした蒼褪めた表情が痛々しい。

 どんなに上の者が仕事を取り仕切ろうとも下が付いて来なければ無理なのだ。


 ”それは私にも言える事だがな……”


 私達がゴタゴタと王印を対応しているうちに、世界の波は大きく方向を変えていた。

 まず初めに、美味しい食材は自分達で作り出せれるという事。

 そのために国という枠組みに囚われず、世界全体で動こうとしていたのだ。

 それも人種や種族など些細な事だと動いている。

 そしてそれは神託という形で、神の支援も存在してしていた。

 つまりは…………


 ”邪魔すれば大罪になるという事か…………”


 王妃だったあの女は、知らぬうちに大罪をおかしていたのだ。

 大司教のエステバンが、馬鹿な事をする前に止めてくれた事に感謝だ。

 ここで王印を使い世界へ呼びかけたならば、国は神が見せしめで滅ぼされた事だろう。


 “エステバンは何故それをしなかった?ある意味それで復讐は完成したはずなのに………… ”


 ホントに昔から何を考えているのか良くわからない男だ。

 それがエステバンであり、理解外の男だったのだ。





読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)

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