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ヒノモトって何?

拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。


明けましておめでとうございます。

今後もよろしくお願い致します。(*´▽`*)

 





 私は途方に暮れて、ひ孫と脳内会話を繰り広げていた。

 その間も皆は話し合いをしている。


「つまりお船殿はアラクネだった。織機と蜘蛛達は、姫巫女様に所有権が移行という事でしょうか?」


「ええそうなりますね。メンテナンス関係は、私が責任持って行っておりました。」


「ある意味良かったかもしれない。私達ではそろそろ維持が難しかった。」


「そうですわね。お船も生き生きしていて、私は嬉しゅうございます。」


 そう言ってほほ笑んでいる、王様と王妃様。

 宰相もウンウンと頷き、李・白夜達に伝えた。


「今後調味料関係の生産にシフトする事を考えると、織機は誰かに譲る方がいいのです。」


 味噌(ミソン)醤油(ションヨ)は手間暇のかかるモノだ。

 初めに大豆栽培から始まり、塩の造りもあるだろう。

 とにかく調味料に付随する仕事が山とある。


「たぶんアセリア、今回の事が終わったら、生産が間に合わない状態になると予想されます。今の体制ではかなり無理があるでしょう。いかかでしょうか?李殿。」


 李・白夜達も腕を組みウ~~ンと唸り考え込んでいる。

 そこに風魔がおおよその予想を言い添える。


「アセリアは今、建国準備で閉鎖中だ。だが近いうち建国の式典が行われるだろう。そこでだ、多分使われる調味料は……」


「今すぐ増産体制を取った方がいいでしょう。ええ、早急にです。」


 黒狼が顔を上げ、白夜の顔を見て言った。


「確かにとんでもない事になりそうだ。ウン……宰相の予想を超えて行くだろう。」


「私もそう思います。とにかく早急に必要ではないかと……」


 王様と王妃様も互いに話し合い、いろいろと組み立てている様だ。

 もちろんその間も私はひ孫と脳内会話中だった。


「そろそろご主人様、現実に戻って来た方がいいよ。」


 一郎に揺すられ気がつく私、そして端折り話を聞かされる。


「たぶん料理を出すよね?ウン、調味料として確実に使うと思うよ。ついでに器も使うかも……」


「姫巫女様、出来ればアセリアの特産を、それまでに開発された方がいいと思いますわ。」


 お船さんが考え込む様に言い添えた。

 それに付き従う様に、間者の黒狼も追加で言う。


「姫巫女様もしよろしければ、ヒノクニ以外の特産もご覧なられた方がいいでしょう。といいますか、出来れば他国もご覧なられた方がいいかと……」


 そう言った黒狼を補足する様に、李・白夜が理由を説明する。


「そうですね。一国だけではいろいろと問題です。器やちょっとした物を他国の物を加えて、友好の意味合いにされてはいかかですか?」


 なるほど……確かに一国だけでは、いろいろと問題になるかもしれない。

 となると前々世の知識が、ここで役立ちそうである。

 それに相談もしないといけない。お母様とか、クリス兄とか……

 チロッと一郎を見ると、ニッコリ笑い頷いた。


「昨日のうちにアセリアには連絡しているよ。王都組の移動は明後日くらいかな?」


 おせち作りが間に合うか心配だけど、大丈夫そうだ。


「姫巫女様、もしよろしければ、うちから持って行けばいい。渋皮煮とか数の子とか。」


 将軍様がそう言って笑う。


「そうですわね。昆布を使った物と…… 私もお手伝い致しますわ。姫巫女様。」


 お船さんもそう言って、おせちの心配はなくなった。


「姫巫女様は、おせち料理の材料を買いにお見えになったのですか?」


 王様が不思議そうな顔をして私に言うと、

 近くにいた宰相が、王の耳にコソコソと囁く。

 それを聞いていた王様は、段々愉快そうな表情になり優しい目で私を見た。


「なかなか面白い趣向ですね。必要な材料は準備させましょう。」


 クスクス笑い、侍女に伝えるのだった。


「お嬢良かったな。屋敷でも作って見せる事が出来るぞ。」


「僕達も食べれる。良かった♪」


「俺もそれが心配だった。味見程度では我慢できん。」


 そんな風魔達を部屋にいた他の面々は、思わず声を出して笑うのだった。





 他国の商品を見るというのは、なかなか骨が折れる事である。

 たまたま李・白夜達がいたから、わざわざあっちこっち行かなくて済んだ。


「ガラス細工はやっぱり隣国がいいね。」


「そうですね。透明度と細工のきめ細やかさは最高でしょうね。」


「陶磁器は、やはり教国が素晴らしいですわね。ただ食器は微妙……」


「食器でなら帝国がいいだろう。シンプルで使い易い。何より魔道具で製品化されているから、大量に同じ物を購入できる。」


 その他にもいろいろな話を聞いて、いつかいろんな国へ行ってみたいなと思った。


「その内いろんな国でも、美味しい作物が育つようになるでしょう。ホント楽しみが増えますね。」


「ホントですな。島から出ると地獄でしたから……」


「恐る恐る食べるのですよ。仕事で胃薬は必要不可欠です。」


 上に行く程外交がある為、国の外へ出る確率が増える。


「李殿からこの島の料理が一番旨いと聞くと嬉しい。しかしその分外に出る者が少なくなりました。」


「皆が死相を浮かべて島に帰って来るのですから、そんなに外の料理は不味いのかと怖がるのです。」


 いろんな国の文化や情報を聞きながら、前々世とそこまで変わらない事にホッとする。

 一郎に聞くとお母様がよろしくね。っと返事があったそうだ。

 情報はとても重要だから、手に入るならたくさん欲しいとの事だった。


「しかしヒノモトというのは、別の世界という事でしょうか?」


 黒狼が私に確認する様に聞いてくる。

 やっぱり気になるよね。ヒノモトの事……

 私はお船さんを見ると、お船さんも私を見てニッコリと笑った。


「私がおりますので、ヒノモトの上の者達は伝えてあります。いつかもし同じ者達が現れたなら「恩義を返す」これは絶対なのです。」


「それがお船との密約でもあるのです。あの方がおられなければ、この島はここまでの発展はありませんでしたからね。」


 そう言って王妃様は、石碑のある方向に顔を向け笑った。


「ヒノモト、日本は確かに異世界にある国だよ。石田さんはそこで軍人として、海から戦いに向かったんだろうね。」


 私はあの当時の話をする事にした。

 この異世界で、あの世界の戦争の話はどの様に風に映るのだろう?

 人間しかいない世界。そこで全世界を巻き込み繰り広げられた戦争。


「空からはたくさんの爆弾が、降り注ぐ様に落ちてくるんだ。いつも海から敵国が来ないか怯えていたよ。」


 食べるモノもほとんどなく、隠れるように作物を育てた。

 幸い海の近いだから食べる物があった。


「とにかく国全体が疲弊して苦しんだね……」


 私はそう言って石田さんを思う。

 どんな気持ちで戦争へと向かっていたのか。


「最終的にはとんでもない爆弾を投下されて、敗戦したよ。負けた悔しさより、やっと終わったという気持ちが大きかったね。」


 私はそう言って静かに笑った。

 戦を始めるのはいい、でも止め時間を違えればどうなるか。

 その恐ろしさを分かって欲しいと思ったのだ。

 皆が静まり返り、いろいろと考え込んでいる。

 戦争の恐ろしさ、それに付随する謀略と暴力。


「戦争が終わりいろいろあったけど、幸い全世界を巻き込んでいる分、世界の目があった。だからそこまでひどい事にはならなかった。国民が奴隷になる事はなかったんだ。」


 普通に戦後復興が出来たのだから、大まかな所はそういう事だ。


「戦争は最終手段だよ。お金もかかるし時間もかかる。ついでに人の命も莫大だ。そこを考えると、話し合いやなんかで済ませた方が、楽だよね。復興するのも大変だよ。」


 私はそう言ってニッコリ笑った。

 その顔を見てお船さんは、哀し気に笑った。


「そうですか… 負けたのですね。」


「石田さんはわかっていたよ。もう敗戦は濃厚だった。むしろ戦争の虚しさと儚さを思っていただろうね。」


 私はお茶を飲みながら、他の面々を見た。

 風魔達はブツブツと何か言っている。

 耳をそばだてると……


「太陽が二回も落ちるとか……」「ぼく溶けるかも……」「あり得ん……人怖ッ。」


 とか訳の分からない事を言っていた。


 ”コイツ等は、そう言う事じゃないんだよ。”


 魔物と人の思考を一緒に考えてはいけないとつくづく思った。


「姫巫女様、その後ヒノモトはどうなったのですか?」


 王様が心配そうに聞いて来た。

 だから日本の民がどれほど頑張り、復興して行ったのか話したのだ。


「す、凄いです。そこまで立て直すとは……」


「自国だけの力じゃないよ。なんだかんだと周りの手助けあっての事さ。」


「確かに見習いたいものです。教育って重要ですね。」


「そうだよ。特に島国は小さいから、行い易いと思うんだ。」


 私が話す内容は、島々で構成された国には合っているのだろう。

 黒狼などメモ帳にせっせと書きながら、顔がニコニコ状態だ。

 そして交易がいかに重要か理解している、李・白夜。


「姫巫女様、今回の話を聞いて、いろいろと考えさせられました。如何にコミュニケーションが必要か、人脈が大切なのか、そして情報の重要性が良くわかりました。ホントにありがとうございます。」


「こちらこそありがとうだよ。今後ともよろしくしたいからね。」


「もちろんです。是非とも未来永劫よろしくお願い致します。」


 未来永劫ってスゴイね……私は思わず苦笑する。

 そんなやり取りを見ている王様と王妃様、そして宰相と将軍。

 皆が穏やかな顔をし、頷いているのだ。


 だから思う……


 ”あの三姉弟はどうなったんだろう?”


 誰も彼らの事を言わないのだ。





読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)

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