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やっぱりって何?!

拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。


1/2までお休みします。

宜しくお願い致します。(;・∀・)

 





 朝餉の時間になっていたようで、身支度を済ませるとのまま部屋へと案内された。

 今日は風魔達もコチラの衣装を身につけて、部屋へと向かっている。

 部屋へ通され入ると……


「オオ!姫巫女様とても可愛らしい。」


「ホントに、なるほどそう言う事でしたか。フフフ…」


 そう言ってとても嬉し気に笑う、王様と王妃様。

 宰相と将軍も一瞬目を大きくされたが、そのままほほ笑みに変えられた。

 そして、李・白夜達も、その後に部屋へやって来る。

 そして私の装いを見て目を見開き、グルグルと私を観察し始めた。


「とてもお似合いですよ、姫巫女様。しかし初めて見る衣装ですね。とても大胆な柄ですが、素晴らしいですね。」


 それを聞いて、褒められ気分が良くなる私。

 そう言って席に座ると、朝食を持った侍女たちがやって来た。

 テーブルの前には、今日も美味しそうな料理が並んでいる。


 ”今日はふっくら炊いた白米に、呉汁だね。漬物と大根煮の味噌ダレ、そして干物。”


 ヨダレたれそうになりながら、手を合わせて頂きますをする。

 その姿を微笑まし気に皆が見ている。

 もちろんそんなの気づかずに、目は料理を一心に見ている、私。

 ふろふき大根はホコホコで、味噌ダレの旨みで美味しい。

 箸を使って、ハムハムモグモグと一心不乱に食べる。


 ”美味しいね。呉汁大好きなんだよ。出来れば小葱が欲しかった。やっぱり漬物は美味しいね。”


「お味噌汁のおかわり如何ですか?姫巫女様。」


「頂きます。とても美味しいです。」


 そう言って干物に取り掛かる私。

 すると風魔が気を利かし、干物の骨を取り除いてくれた。


「ありがとう、風魔。」


「いいって事よ。」


 風魔はニヤリと笑い、海流達を見る。

 二人は不機嫌な顔で、頬を膨らませていた。


 ”変なところで張り合って欲しくないね。”


 そう思いながら、頂いた呉汁を飲む。

 私以外の皆は骨など取り除かず、バリバリ骨ごと食べていた。

 それは王妃様やお船さんもそうだ。

 この世界の人達は、ホント歯が丈夫だとつくづく思う瞬間だ。


 アムアムと食べながら、いい塩加減にとても満足♪

 ご飯を口に入れて、モグモグと食べる。

 そして暖かいお茶を飲んでいると、侍女さんが私に甘露煮を持って来た。


「姫巫女様、コチラ金柑の甘露です。」


 金柑だ♪朝から至福だね♪

 アムッと食べて、ちょっと苦味はあるが蜂蜜の甘みで最高だ。

 金柑の香りが、口いっぱいに拡がっている。

 そこに暖かいお茶を飲むと……


 ”ハア~~、幸せ♪”


 朝ご飯も美味しかった。

 ホントご飯が美味しいって、幸せな事だとつくづく思った。


「ところで姫巫女様の、お召の衣装はホントに初めて見ました。柄がホントにオシャレですね。」


 李・白夜が、お茶を飲みながら言う。

 私もこの柄が気に入って居るから、ニコニコ笑顔になる。

 するとお船さんが言った。


「ええ、そちらは特別な方に装いを許された物です。」


 お船さんがとても嬉し気な顔でほほ笑んだ。


「その装いは、ヒノモトという国の服なのですよ。とても特別なのです。」


 そう言って、王様はと王妃様もとても嬉し気なのだ。

 李・白夜達は頭に?を浮かべた状態だ。

 だってヒノモトなんて国、聞いた事がないからだろう。


「ヒノモト?初めて聞くのですが?」


「そうですね。李様は次期当主になられるので、お話した方がいいでしょう。そちらの方はどうされますか?」


 宰相が李・白夜に確認を取ると、


「この者はこちらに移った時私の補佐となる者だ。名を伝えていなかったな。」


 そう言うと、間者が頭を下げ名を名乗る。


「私は、コチラの密偵を担当しておりました。李・黒狼といいます。以後良しなに…」


「苗字でもわかるように、我々の一門の者だ。」


 なるほど白と黒か…… 覚えやすい。

 そして宰相が、ヒノモトの話をする。

 李・白夜にとっては、それはとても不思議で不可解な話だっただろう。

 でも私はフムフムと頷きながら、考える。


 ”転移ではない感じだね。転生でもない…… むしろ憑依って感じだ。”


 石田さんの見た目は、私達みたいな金髪に青い目だったそうだ。

 もちろん石田さんは大パニック状態だったという。


 ”そりゃ戦時中だもの。心中お察しだよ。”


 今まで敵の姿として認識していた者に、自分がなっているんだから……

 それも周りを見ると変な動物はいるし、なんか変な力を使っているんだ。


 ”石田さん、ホント苦労したんだろうね。凄いよ。私だったら無理だった。”


 初っ端から遠い目になった私。

 そんな私を見て周りが苦笑する。


「姫巫女様はいろいろと心中お察しのご様子、たぶんそれで間違いないと思います。実際半年は部屋から出て来なかったそうですから……」


 だからヒノクニの者達は凄く心配して、ヒマさえあれば様子見をしたそうだ。

 そのうちひい爺様を筆頭に、子供達が集うようになる。


「少しずつ少しずつ、島の者との交流で信蔵様も落ち着かれたそうです。そして彼から聞いた話では、帰りたくても帰れない。私の国はヒノモトにある二ホンという国。この世界にその国はない。魔法なんかない世界で、魔物などいない世界なのだからと言われたそうです。そしてその国は、全世界を巻き込んだ戦争の真っ只中だとおっしゃっていました。」


 お船さんがそう言って私を見る。

 もしかしたら知りたいのだろうか?


「今朝、姫巫女様はあの文字を読まれました。それにより契約が移行致します。それが信蔵様の願いなのです。」


 それを聞いた時、うん?と私が疑問に思っていると、


「お嬢、やっぱりそうじゃねぇーか!だから言っただろうが、何で墓標にか言ってあるんだって!」


 風魔が言う事を聞きながら、頭のぼんやり浮かんだ事は、


「もしかしてアレ?玉藻をよろしくお願いします。私の大事な人です。」


 それを聞いてニッコリと笑う、お船さん。

 そして靄が懸かる様にお船さんの輪郭が不確かになり、次に現れたのは白い髪の女性。


「テメー偽装してやがったのか?!」


「気づきませんでした。一生の不覚……」


「僕ショック、気付けなかった。」


「まだまだ若造には負けませんよ。それに長年の技術と知恵ですからね♪」


 私はポカーンした状態で、お船さんを見る。

 今は年輩の女性は何処にもおらず、妙齢の女性というか美女がいた。

 李・白夜と黒狼さんも唖然としている。


「契約が移行しました。姫巫女様、私の名は玉藻といいます。お船は仮名だったのです。」


 何とお船さんは、石田さんと契約したアラクネだった。

 もともとは織機を作っている石田さんに興味を持ち、毎日天井裏から見ていたそうだ。

 そしてその内見ているだけじゃ我慢できず、人に化け手を貸し始める。

 出来上がったら、とてもスゴイ事になると思ったからだそうだ。

 実際出来上がれば均一に織れるうえに、柄もいろいろと試せ時間もかからない。

 何より出来上がった織機がとても素晴らしかった。


「アラクネにとって、織機はやっぱりこだわるがあります。均一に労力なしで出来き、柄だっていろんな柄が試せる。凄く楽しいと思いました。その内段々と改良熱が出てしまって、今の織機が出来上がりました。信蔵と私の力作なのです。」


 信蔵とは信頼関係が出来上がり、気がつけば契約している状態になっていたそうだ。


「というか、信蔵とは婚姻関係になりました。人の時は石田船と名乗っていました。」


 恥ずかしそうに言うお船さん。それじゃあ、玉藻は一体?


「魔物としては玉藻なのです。信蔵は言っていました。もしアチラからこちらに来る者がいたら、助けてやって欲しいと、ですが私は姫巫女様を見ると、信蔵と同じ何かを感じるのです。どうか私を受け入れて頂けないでしょうか?」


 そう言って、私を見るお船さんに、私は思わず頷いた。

 何だかんだと、私はお船さんに懐いていた。

 名前が一緒だったから、親近感が生まれていたのだ。


 だからわざわざあの日本語で書かれた石碑と、墓標に書かれたあの文字が存在したのだ。


「姫巫女様、どうぞよろしくお願い致します。そのうえで、今後の事を考えたいと思います。」


 そう言って、お船さんが頭を下げた。


「ホラなあ…… やっぱりお嬢なんだよ。無事で終わらない。」


「…… クリスが怖いな。」


「ご主人様、良かったね。おしゃれできるよ♪」


 周りで何か言われているけど、私は途方に暮れる。

 アラクネ…… そう言えばひ孫が言っていたね。


「もしもひい婆が異世界に行ったら何がしたい。もちろん若返り前提だよ。」


「そうだね。若返ってるならオシャレがしたいね。」


「オシャレ?どうして?」


「ばあちゃんの若い頃は戦争だったからね。貴方達くらい若いなら、いろいろオシャレをしたいね。」


「そっか……、でも異世界って中世ヨーロッパっぽいらしいよ。」


「余りビラビラしたモノは着たくないね。ばあちゃんはツイギーとかマリリン・モンローとか好きなんだよ。」


「オードリーヘップバーンとか?」


「そうそう、若かったらハデな柄物も着てみたいよ。ばあちゃんが子供の頃は結構オシャレな柄があったんだ。」


「そうなんだ…… ならひい婆アラクネとかおススメだよ!もともと織物をする女性が起源だからね。」


「アラクネ…… 」


「そう、別名蜘蛛女。染物もできるから、おススメだよ。」


 そう言ってたんだよね。

 ひ孫よ……ばあちゃん知らない内に、そのアラクネとも契約しちゃったみたいだよ。


 ふと遠い異世界にいるひ孫に、思わず報告したくなる私だった。

 人はそれを現実逃避と言うのだろう。





読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)

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