ヒノクニの内情
拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。
誤字脱字報告ありがとうございます(・∀・)
私は知らない内に、いろんな所に影響を与えているらしい。
私の認識では、一輪君のみだったけど……
「姫巫女様の叡智が全世界に拡がれば、必然的にヒノクニの調味料も注目を集める。そう思ったのです。」
李・白夜もアセリアの食材で、ヒノクニの調味料を試した一人だった。
もともと食にこだわりのある彼は、いろんな料理を食べるのが目的で、海運業をやっていた。
「いろいろな国を巡りましたが、ホント何処もかしこも、飯マズなんです。そんな中でヒノクニの飯は、群を抜いて旨かった。」
つまり彼がヒノクニと婚約を結んだのは……
”単に胃袋を掴まれた訳だ。”
だから夫となり、家門に入る事も厭わなかった。
だって旨い飯が食べれるから………
「だが食は大事だもんな。ウン、俺はその理由に納得がいくぞ。」
「俺達も、似た様なモノだからな。」
「僕達と一緒。美味しいは正義。」
うちの従魔達は、納得するように頷いた。
「その美味しいは正義って言葉、とても素晴らしいですね。そうなんです。やはり美味しいは正義なのですよ。周りは呆れてましたが、やはり衣食住が一番大切な要素だと思うのです。」
この国の婚約を受け入れて、周りからいろいろと言われたのだろう。
「ですが今回のコレで、周りを抑える事が難しくなった訳です。」
肩を竦めて、苦笑いをする李・白夜。
まあよくある話だけれどね……借金だ。
足りない魔石は、そうやって賄いやり繰りをしていた。
時にはオーダーで受ける織物で、借金返済をしていたそうだ。
それでも足りないのが実情なのだった。
そこで李・白夜がこの島の王つまりは、当主
になる事で、その借金はチャラにする事になる予定だった。
「彼は交易に関する交渉の手腕が、とても素晴らしいのです。それに我が島の文化にも造詣が深い。」
そして李・白夜の家族も、アセリアの食材とこの島独自の調味料の合わせ技に魅了された。
「だから案外簡単に成立した契約だったのです。これからも同じ国として、頑張りましょうっと。」
もちろんそれは親同士の話である。
その周りにいる者達は、納得した訳ではなかった。
「あれだけの借金を婚姻程度でチャラとは、呆れました。こちらは譲歩した感じなのです。実際私もそんなバカなと思った者一人です。」
間者さんもそう言う程、借金の金額が凄いのだろう。
「しかし今回の事でヒノクニへの不信感が、とんでもなく高くなるのは仕方のない事でしょう。」
まあそうなる状況だろうね。
今すぐ耳揃えて返しやがれだろうね。
ただでさえ婚約に納得いかず、借金チャラで腹ただしいのにね。
「だけど良かったじゃない。婚姻してたら、もっと泥沼だったよ。」
慰める言葉と言えるか分からないけれど、これだけは間違いないのだ。
私の言った言葉に、部屋にいる方々は複雑な顔をした。
「ハア―… ホント姫巫女様にはご迷惑をお掛けして……」
王様はまたそう言って、ため息をつく。
そんな王様を王妃様は、背中を摩って慰めていた。
「姫巫女様にお詫びする様に言ったのです。しかしあの馬鹿共らは、何したのかわかっていない。」
宰相は被りを振り、うんざりした様子で話し始めた。
その様子から、相当腹に据えかねているようだ。
先ずは解散した後の話から始まった。
王は子供達を呼んだのだそうだ。
この婚姻の意味をどう思っていたのか。
この図り事をした原因とやろうと思った理由を聞くために……
その後どうするつもりだったのか聞こうと思った。
しかし……
「部屋に来たのは、長男の康孝のみでした。長女の露は、病室にいたのです。」
王はなぜ露と文が来ていないのか、康孝に聞いたそうだ。
「やった事の重大性が全くわからず、来ない事も、やった理由と同じでした。」
康孝の護衛を担当している兵馬は、露と恋仲らしい。
康孝の計画では、自分が当主になったら将軍にするそうだ。
そして宰相をする者は、もちろん文が婚姻する男。
そういう約束をして、暢気に島の運営ができると思っているようだ。
「あやつらは、この島で甘やかされて育っている。いろんな話をし計画していたが、子供の夢物語でしかない。」
「この島の独自文化を、否定するモノだんた。魔石が足りない理由が蜘蛛や織機なら、その織機を欲しいという所へ、高い値段で売ればいいと言ってましたからね。」
その織機が無くなれば、自ずと蜘蛛だって必要がない。
それなら蜘蛛を素材として売れば、その分また儲けになる。
その儲けで新たな事業をすればいい。
せっかくなら広大なものがいいだろう。
そうだ海運業がいいじゃないか!
見映えもいいし、カッコイイじゃないか♪
李・白夜の船を奪い、彼を人質にすれば魔石だって手に入る。
それこそ武力だって手に入るのだ。
「そう際限なく妄想し、実行に移したそうです。」
それをする為には、強き者が何人か必要だ。
そしてたまたま検問に、見目の良い男達が子連れで来たというではないか。
そこに色めき立ったのが、露と文だ。
彼女たちは自分達の容姿に、絶対の自信があったのだ。
「そして実際会った貴方方を見て、欲しくなったようです。彼らに囲まれた子供の姫巫女様を、妬ましく思うほどに…… 全く何を考えているのやら、子供から大人を引き剥かす意味を全く分かっていない!それも牢に平然と閉じ込めて、ホントに情けない限りです。」
王妃様は頭を下げ、「本当に申し訳ございません。」と謝っている。
王様も両こぶしを握りしめて、肩を震わせていた。
「だがその露ってヤツは、護衛と良い仲なんだろ?なんでアイツもしつこかったんだ?」
風魔が王様を見て聞いた。
確かに三人で居れば、あんな事にならなかったのだ。
「どうやら良い男と聞き、見たくなったようです。図り事の現場へ向かう最中に、たまたま遭遇した感じですね。」
代わりに宰相が応え、ため息をついた。
どちらにしろ、二人の姫は同じような行動を取っていた。
「兵馬って、僕が制裁したヤツだよね?生きてたんだ?」
どうやら危害を加えようとし、代わりに返り討ちにした。
”私と引き離された後だから、よく生きていたね。”
私は一郎を見ると、一郎は首を振る。
「僕たぶん力加減甘かったと思う。その後も興味ないしね?」
つまりその後はチラッと見た程度で、知らないという事だった。
「幸い彼は亜人とのハーフなんです。」
それだけ己の武力にも、自信があったのだろう。
だけど、どれだけヤラれたのかね。
「どちらにしろ、自業自得だな。護衛中の主人をかどわかすんだ。返り討ちに合うのは仕方がない。」
李・白夜も淡々と冷めた様な目で、話を聞いていた。
彼もこの島の文化を考えて行動をした一人だ。
この島の人間が独自文化を壊そうとし、己の欲のまま行動を起こす。
良い男だから幼子を襲い、強いからと武力を当てにしようとする。
何処までも自分本位で、周りの事など何も考えていない。
今まで恩恵を与えた蜘蛛達の命も、人の命も軽く考えすぎていた。
「今回の事を踏まえ島の状況と今回の事、そして今後の島の話を明日致します。島の者達も、余りにも愚か者達が増え過ぎています。」
その様子からも、島の独自文化が廃れる懸念が今回浮上した。
「わかってくれると思っていたのですが、どうやら甘かった様です。」
王様たちは、島の若者たちもその内わかるだろうと思っていた。
だけど世間の流れが大きく変わろうとしている今、悠長な事は言ってられない。
「ここに姫巫女様がいらっしゃる、という事は、アセリアのお店に行かれたのでしょうか?」
突然宰相が話を変える。
優しい眼差しで、私を見つめ聞いて来る。
「もちろん行ったよ。おやきのおっちゃんに教えて貰って!おやきもとっても美味しかったわ♪」
そう言うと宰相が嬉し気に微笑んだ。
将軍と李・白夜もとても嬉しそうにしている。
「確かおやきの屋台は、その後も大盛況だ。店の方もアセリアの民が買い物に行っているだろう。」
海流が大河に聞いた話を伝える。
とても皆が嬉しそうに、顔を綻ばせ喜んでいる。
「やはりこの島の調味料は素晴らしいんだ。姫巫女様の口に入り、わざわざ来て頂いた。」
「ええ、それだけでも各国から、確実に注目を集める事でしょう。」
「若様の慧眼に恐れ入りました。今回の件およばずながら力を貸しましょう。」
なんか皆の中で話が進んで言っている。
「姫巫女様がお気に召したこの島の独自文化を、私どもはこれからも守っていく所存です。それだけはしっかりお伝えしたいと思いました。」
宰相がとても満足気な顔で私を見て伝える。
「姫巫女様には多大な心労と負担をかけて、ホントに申し訳ございませんでした。ですが姫巫女様が我が島に来て頂き、ホントに嬉しく思います。」
「姫巫女様、ありがとう。ある意味いいきっかけだった。お詫びに今度、旨いまんじゅうをご馳走しよう。」
突然皆から感謝されて、なんだなんだ状態の私。
すると風魔が、私に向かって言った。
「お嬢、そろそろおねんねの時間じゃないのか?寝る子は育つだ。」
ええ?!話が良くわからないまま、おねんねはちょっと勘弁しておくれよ!
「そうです。姫巫女、身体が揺れてますよ。」
どうやらお子様の身体が、休息しないといけないらしい。
仕方ないね、承知の助だよ……
「ファ~ン… 眠い……」
瞼をこすり眠たいを表現してみた。
というか腹も満腹したので、自覚したら眠たくなってきた。
ホントにウトウトし始める、私。
だってホント今日は朝からいろいろあり過ぎだ。
さすがの私もいろいろと疲れちまうよ。
「どうしても話を聞く必要があるなら、俺と一郎が聞こう。」
「エ~~~?!僕ご主人様といる。」
「昼間一緒にいたじゃねーか!!一緒にい過ぎなんだよ!それにお前が居ねーと、アセリアの意向が分かりづらい。」
一郎は頬をふくらませたが渋々納得し、恨めしそうに海流を見ていた。
そんな一郎にフフンと笑う、海流。
生真面目な海流にしては珍しい仕草だった。
お船さんの声も聞こえ、先導している様だ。
そんな賑やかな声を聞きながら、眠りに落ちていった。
読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)




