一郎の苛つき
拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。
ところでうちの一郎はどうしたの?
同じお店にいたのだから、直ぐ助けに来るはずじゃない。
とおもうよね?でもそう問屋が卸さないのよ。
床が開きました。下に落ちました。からの……
トロッコみたいなモノで運ばれて、今ココって感じ。
落ちましたで、終わりじゃなかったのよ。
この衝撃アナタ方わかります?
バカッ「ヘエッ?!」ドッスン!ガアアア…「ア、アア、アア~~~!!」
てな感じよ。ホントここ何処よ?
一郎の護衛のカチューシャは、私に付いている。
だから私の安全は大丈夫。
というか…… 一郎の用意周到さが怪しい。
一郎何か知ってんじゃないかしら?
全く…… どうしようかね。
早く買い物したいわよ。
****************
【 一郎視点 】
隣の部屋からご主人様の気配が遠ざかる。
なるほど……
「あの~ そちらの服はいかがでしたでしょうか?」
外から声をかけられて、部屋から出ると女がいた。
「いかがでしょうか?」
目を異様にパチパチしながら、僕を見つめてくるけど……
「お前は誰?さっきに定員に聞きたい事があるんだ。」
僕はそう言って、相手の出方も見る。
するとやっぱり異様に目をパチパチしながら話す女。
目のパチパチで、意識がそちらに気を取られる。
その事にイラっとする僕。
「お前邪魔。どっか行け!」
僕はイライラしながら、ご主人様の所へ向かおうか考えた。
すると女が腹を立てて、何か言っているけれど……
「ねえ…… 僕のご主人様どこにやったのかな?」
さっきの従業員を匂いで見つけ、ジトリと睨み付ける。
従業員は青ざめた顔を僕に向けるけど、ここがお店の裏庭だろうが関係ないんだ。
「もう一度聞くよ。僕のご主人様どうしたの?勝手にどこかに連れて行くは許さないよ。」
今回の事は想定外だったんだけど、ご主人様そうは思ってないだろうな。
という事は僕が動かないと、ご主人様が気楽に何かするだろう。
そうなると、僕とんでもなく困るんだ。
「何だてめー!ご主人様とかわけわかんない事言いやがって。」
ちょうど店の護衛どもが戻って来て、僕に凄み従業員は逃げた。
「下に落して、何かで運んだよね。僕分かるんだ。そういうの……」
僕がそう言うと回りが、というか裏通りがザワザワし出す。
するとさっきの女がやって来た。
「何なのよ!私の美貌に全く気にもかけないなんて!!」
「お前が気にかけるのは、目だよ。眼球合わないの?」
「ハア?!何言ってるのよ!!」
「目を異様にパチパチさせたのは、眼球があわないからだろう。」
僕が親切に教えてあげているのに、ホント嫌な女だ。
なのに周りの男どもは大爆笑……
ギャハハハ楽しそうに笑っていた。
女はプルプルと顔を赤くし睨んで来る。
ホントに煩わしい女だな………
「ツ……… クッ…… 」
周りで笑っていた男どもは呻き声上げ跪いて、女は気を失った。
「ねぇ……… もう一度聞くけど僕のご主人様どこ?」
僕は跪いている男達に聞く事にした。
だってさ…… 僕すごく困るんだ。
風魔と海流から大目玉を食らうだろう。
任せて逃げて、かすめ取られましただなんて……
「や、やめてく…くれ……」
僕はガン見で、もう一度聞こうとする。
すると邪魔をする様に、若い男が間に立ちふさがった。
「お願いです。やめてください。」
額に汗をかきながら、僕にいうけど……
「偉そう…… お前死ぬよ?」
なんかいう事聞くのが、当たり前って感じ大っ嫌いだ。
僕は更に威圧を上げようとすると……
横から何かが飛んで来る。僕はとっさに避けて……
「ギャアア…… 」
「兵馬!!」
どうやらこの若者の知り合いのようだな。
だからどうって事ないんだけどさ………
「もう一度聞くよ。僕のご主人様どこ?」
さすがに僕もイライラがピークに達しそう。
せっかくお揃いの服を着て、買い物をする予定だったんだ。
それを邪魔しておいて、なんだよその態度。ムカつく……
反撃をされただけじゃないか。
突然死角から攻撃して、反撃されたからって文句言えないよね。
なのに何で僕が悪者扱いなのかな?
「こちらの若様の護衛に手を上がるとは……」
反撃された者の連れなのか、兵士達が僕に刃を向ける。
イライラがピークに達し始める一郎………
”コイツ等ぶち殺してしまおうか?”
パッチーーーーン?!
ゲシッ!!
「お・ち・つ・け!!」
おや?
「あれ?風魔と海流……どうしているの?」
僕はスッとイライラが治まり、キョトンとした顔で二人を見る。
あの絡まれた変な女はどうしたんだろう?
「一郎……お前はいちいち聞かなくても、お嬢の場所わかるだろう?」
「わかるけど、コイツ等大っ嫌いだから……」
大体突然かどわかすってどうなの?
「その間、姫巫女は大丈夫なのか?」
「大丈夫、一週間は大丈夫だよ。当たり前でしょ。」
僕の返事を聞いて、脱力する二人。
一体どうしたんだろう??
「お前が異常に怒るから、お嬢に何かあったのかと思ったんだ。」
「一郎の姫巫女第一主義は皆が知る所だから、心配したんだ。」
なるほど…… そういう事か。でもね……
「コイツ等ご主人様をかどわかした。天誅。」
と僕が言えば……
「「ど・う・い・う・事だ………??」」
風魔と海流も、怒りがメラメラと立ち上がった。
ヤッパリ理由知りたいよね。ご主人様だってそうだよね。
それにやっぱり腹が立つんだよ。
せっかくお揃いの服を二人で楽しめそうだったのに………
風魔と海流と合流してしまって、ホント残念。
やっぱりそう思うと、許せないだよね。コイツ等を……
そして理由を聞けば、「だから何?」でしかなかった。
これは僕だけじゃないよ。風魔も海流もそうだね。
だって僕達関係から、ついでにご主人様にも関係ない。
勝手にこちらを巻き込むなってヤツだ。
聞けば、「自分達で解決しろよ!」しかなかった。
どんな理由って思うでしょ?
でも聞くと、鼻をほじってフ~~ン、したくなるだけだよ。
「俺達の主人を勝手にかどわかすのと、どう関係するんだ?」
「一郎、姫巫女を迎えに行って!聞くだけ無駄だ。」
「ウン、僕ここにいると、全て破壊したくなるよ。」
どす黒いストレスの塊が、腹の中で渦巻くのを感じる。
多分コレは魔力だろう……
僕がため息をついていると、風魔も俺を見ている。
「一郎、どっかでぶっ放した方がいいぞ。実は…俺もかなりヤバい。」
「俺もだ…… こんな馬鹿げた事に、姫巫女をかどわかすとは…… 」
とにかくもうイライラがピーク状態。
ここでご主人様が変に暴走したら、僕達ホント大暴走を起こすだろう。
そうなると、ご主人様でも止められないかも……
だから……… 僕達は顔を見合わせた。
「僕もう無理…… 一旦開放。」
「俺もだ。」
「以下同文ってヤツだ。」
僕達が突然立ち上がり、メラメラと魔力を開放していく……
もちろん周りの人間どもは……
「ヒッ…… 」
「や、やめてく…… 」
ズ、ズズウズン………
グラグラと地面を揺らし、空気も濃厚に段々と重くなる。
もちろん海水だって、沖で波が立ち上がり津波の様な状態になった。
周りは大恐慌状態………
悲鳴やらなんやらが、巻き起こっているけれど知らないよ。
もちろん起こしているのは、僕達だけどね。
対した時間じゃないけれど、お腹の魔力が少しづつ通常状態へと戻っていく。
それは風魔も海流も同じのようだ。
ある意味僕達とっても優しく対応したよね。
人化を解かずに島3つ壊せば済む事を、ジワジワと解放してやったんだ。
ホントはぶっ壊した方がスッキリするだろう。
だいたいこいつ等が原因なのだから……
だけどそれが出来ないのも事情で、調味料がこの辺りしかないらしい。
”ホント腹が立つよ…… ”
そうこうしているうちに、ご主人様が人に連れられてやって来た。
扱いが雑だったら許さなかったけど、ちゃんと御輿に乗せられていた。
そしてご主人様が御輿から出ると……
「ウワ~~♪ご主人様一緒だね。お揃いの服だね♪」
一緒に着る予定だった民族衣装を着ていたんだ。
僕とお揃いの孔雀の柄と、赤いズボン。
僕の機嫌はそれを見た瞬間、完全に治った。
もちろん風魔と海流も同じで、ご主人様の恰好を見てご機嫌になる。
「お嬢、とっても可愛いな♪」
「姫巫女、とてもお似合いですよ!」
僕達のコロッと変わる態度に、唖然とする周りの人達。
だけどそんなの僕達にはどうでもいいんだ。
だって、ご主人様中心に僕達は回っている。
「一体何なの?あの子の何が魅力なの?」
「姫様…… 」
ホント煩わしいバカ女だな。
ただ大人になった頭ユルユル女と、ご主人様を比べるなんて……
「わからない。どうしてあれほどの者達が…… 」
「若様…… 」
もっと分からないのが、コイツの思考回路だ。
何故自分達の主人をかどわかされ、素直に言う事を聞くと思うのだろう。
そんな事されれば、手伝う気さえも起きる訳ないじゃないか。
コレって別に僕達が魔物だからとか関係ないよ。
普通の思考回路だと思うんだ。呆れるよ。
この二人はホントに、平和と花畑思考で凝り固まっているのだろう。
そんな奴王妃だけで十分だ。僕は関わり合いたくもないよ。
読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)




