泉の受難 教国の出来事
拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。
【 泉視点 】
フフ~~♪
私の足なら教国まで一っ飛び~~♪
久しぶりの一人旅♪楽し~いな~♪
鼻歌を歌いながら、パッパカパッパカ軽快なリズムで駆けているの♪
しっかりお使いの任務を遂行しなくては!
大河より先に一人で任務♪フフフ♪頑張るわよ~~♪
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教国に着いた。用心の為に人化して♪
キョロキョロ、さてさてさて♪
建物全体が白いから、位置確認が解り難いです。
でも凄く統一感があるし、蒼い海と空のコンストラクトが素敵です♪
窓辺に咲く花がとっても可愛い。洗濯物さえおしゃれに見える。
でもずっと坂道なのは大変です。道も狭いし………
目的の場所は山の上。
こんな時、海流兄さんみたいに空が飛べたらなぁ………
そうしたら、あっという間に着くのにな。
トントン………
「うん?」
「久しぶり~、珍しく一人?」
「あら!ホント久しぶり~♪元気にしてる?」
「もちろんヨ!最近面白事なってるから、ワクワクしてるのよ。」
「面白い事?」
「早々、美味しいがあるのよ!」
「うん?」
「つまりね、幻の美味しいが存在していたの!コレは凄い事ヨ。ありがとう、美味しい。ありがとう、世界!!ヒハー♪」
この子ホント興奮するとこうなるよね。
「ソレってアセリア領の事じゃない?ワーム達が今、頑張って拡げているよね?」
「そうなの!だから私も頑張って、拡げようと模索しているのよ。海は元々魔力巡回がいいから、そこまで食べ物の事を気にしなかったの。でも地上がマズイというのは仲間内でも有名だからね。でも地上の美味しいが凄く美味って聞いてもう堪らないの。この前たまたま美味しいで作ったスープ飲んだの。天国に言ったわ。私生きててよかった。ありがとう神様。ありがとう、人間。頑張って作ってね。」
「でも魔物も畑耕しているらしいよ」
「え、ホントに?!」
「うん……… 」
「そう……… なら私も作るわ。美味しいを!!」
「え?!本気なの?!!」
「もちろんヨ。海水に近い土地でも大丈夫な野菜何かしら?」
「ウ~~ン?ちょっとお兄ちゃんに聞くわ」
「ああ…黒ケルピーね。お願い。」
「トマト?キャベツ、ビートがおススメ」
「どうだった?」
「トマトの美味しいは凄いのは知ってるの。でビートがおススメだそうよ。なんでも葉も根も食べれる。根は砂糖が作れるそうよ。」
「私甘いの大好きよ。ちょっと最高じゃない♪」
セイレーンは踊る様にクルクル回りながら言う。
回りに人が溢れていようとお構いなし。
「ちょっと、回りの邪魔になるわよ。」
「フフフ、私気にしないわ。」
それを言うのは、アナタじゃなくて回りなの……
「私とりあえず用事があるから、ここでバイバイするわね。」
用事をさっさと終わらせよう。
この子と話すと時々長くなるんですもの。
「え~~~、せっかくあったのにバイバイって、冷たいわよ。」
「だって私別に遊びに来た訳じゃないのよ。」
私がここにいる理由を遊びたと思われたくない。
立派なお使いが存在するのよ。
「もしかして契約してるの?名前持ち?」
ビックリ顔をして私を見ている。
「ウフフ、今は泉っていう名前なのよ。素敵でしょ、私の名前♪」
思わず顔がニマニマするわ。
セイレーンにいろいろ自慢したくてたまらない。
だけど、そんな時間ないのよね。
「だからごめんなさい。とにかく今は先に用事を済ませたいのよ。」
クリスも忙しいみたいだし、三郎の話だと早い方がいいみたい。
「行く………」
突然セイレーンが訳の解らない事を言う。
「何を言ってるの?」
「私もその用事ってヤツに付き合うわ。何故かわからないけれど、行った方がいいような気がするんだもの。だからついて行くわ。」
なぜかとっても偉そうに、フンと鼻息荒く言うセイレーン。
言われた泉は訳が分からない。
「なんかとっても恩着せがましく、聞こえるのだけれど?」
「別に音を着せようとは思ってないわよ。ただ予感がするのよ。行った方がいいって!」
「ええええええ?!」
「とにかく行くわよ。行きながら、教えてちょうだい。私絶対役に立つわよ。」
グイグイと引っ張るセイレーン。
でもこの子の勘はバカに出来ないのよね。
「わかったわ。それじゃあ話すわね。」
「ええお願い。」
なぜか腕をしっかり組んで、ズンズンと聖堂の方向かう綺麗な二人の女性。
脇目にそれを見た男性達は、とっても残念そうに思った。
しかし歩けど歩けどよね。
「二本足は効率悪いわよね。進まないわ。」
「イヤ二本足関係ないわよ。ただ坂道が面倒なだけだわ。」
息が切れる事はないが、精神的な疲れはやって来る。
とにかく面倒ただ一点。
「魔法でショートしたらダメかしら?」
「ダメに決まっているでしょう。お使いよ。そんな事したら、警戒して大変よ。」
「こういう事を、「急がば回れ」ね。なるほど……」
「なんか貴女から、高尚な言葉を聞いたような気がするわ。」
失礼な事に、セイレーンは心底びっくりした顔で、私の額に手を置いている。
「何よこの手は?」
「イヤ……… 頭大丈夫かなと思って?」
「熱があるかじゃないのね……… 」
ホント失礼しちゃうわよね。
頬をプウと膨らませ、不機嫌な顔をする泉。
でも足の歩調は変わらず、ズンズンと坂を上って目的地を目指す。
「ホント面倒だわ……」
「あの近くの水源までなら、ショートしてもいいんじゃない?私も飽きたわ。」
二人顔を見合わせて、ニンマリと笑い即実行する。
目の前には大きな木が一本あり、辺りをなぜか白いレリーフの壁で囲われている。
いったいここはどこなんだろう?
「セイレーン?何だかここ変じゃない?」
「ごめん、間違えたわ。ここって禊の泉みたい。」
二人でコソコソと移動しながら、如何にかばれない様に辺りを見回す。
今は幸い誰もいない。だから今のうちに少しずつ移動すれば大丈夫なはず、
「貴女に任せたのが間違いだった。」
「貴女も早く目的を済ませたいと思ったんじゃないの?私は坂道もう嫌しか思ってないもの。」
そう水を渡る時思った感情で、魔法が左右される事がある。
今回見事にそれがでて、なぜか聖堂の泉に移動したのだった。
もちろん戻ればいいのだが、そこはやっぱり面倒で戻るという選択が二人に存在しなかった。
「ところでここは、建物のどの辺りかしら?」
「わかる訳ないわよ。どこかに地図なんてないのかしら?」
「それこそある訳ないじゃない。賊がホイホイ入って来ちゃうわよ。」
「ねぇ…… その賊って今の私達よね?」
「そうともいうわね。」
二人はまた顔を見合わせて、ため息をついて前に進むのだった。
「だいたい禊の泉ってわかるなら、ここがどの辺かわからないの?」
「わかった理由はレリーフの絵よ。それを見たから分かったのであって、場所はわからないわよ。」
ブツブツ言いながら、階段を上っていく二人。
せっかく坂を回避したつもりが、今度は階段地獄が待ち受けていた。
「何でこういう事になるのかしら?」
「知らないわよ。こっちが聞きたいわよ。」
二人はブツブツ文句を言いながら、とりあえず進んでいくのであった。
最終的には、二人は無事に教皇の前へと着く事が出来た。
もちろん怪しいヤツと捕まりそうになったけど、どうやら神託で救済されたという事だ。
「しかしこんなしょうもない事で神託って、何でかしら?すっごく自分が情けなく思えてくるわ。」
「それを言わないでよ。私だって落ち込んでいるのよ……… 」
二人は教皇の前で身を縮こませ、ブツブツといい合うのだ。
それを教皇と枢機卿らは、ほのぼのと眺めほほ笑んだ。
「神様より神託は頂いておりました。建国の承認は認めております。」
ニコニコとほほ笑み、飲み物とお菓子を進める。
「しかし禊の泉に行かれるとは………」
クスクス笑われている二人。
どうやら神はその理由まで、しっかり説明している様だ。
「何でそんなどうでもいい事を言うのかしら?」
「ああそれはですね。どうやらお笑い系がお好きな様です。」
枢機卿が理由を教えてたけれど。
「そんな情報知りたくなかったわ。」
セイレーンの言う通りだと私も思った。
とにかくこちらから説明しなくても、いろいろ事情を知っている様だ。
「今すぐ出立出来るように準備します。王国教会もいろいろと、やりたい放題の様ですからね。」
何故今まで放置状態だったのだろう?私の顔に疑問が浮かんだからだろう。
枢機卿が言うには、神にもいろいろ理由があり、手が出せない事もあるそうだ。
「ところでセイレーン様にお伺いしたいのですが?」
改めて教皇が、セイレーンを見つめて聞いて来た。
「その首の後ろにいらっしゃるのは、妖精ではございませんか?」
なんですって?私はギョッとし、セイレーンの首の後ろを確認する。
すると………
「何で言うのよ!ほっとけばいいじゃない!!」
小っちゃい女の子がギャイギャイと喚いて飛び出した。
どうしてこんなに小さいのに、声がこんなに聞こえるのかしら?
とっても不思議で疑問だわ。そして何故セイレーンについてるの?
「そうは参りませんよ。盗み聞きなど淑女がする事じゃないですよ。」
淑女?このちみっこが??
訝しげな顔で教皇を見る私に、ニッコリとほほ笑む。
「見た目は小さく可愛らしいですが、この世界最古とも言えるようなお方ですよ。」
噓でしょ?!私は驚き、マジマジとちみっこな妖精を見る。
フワフワと緑の髪に、金色の瞳。
髪にどんぐりの髪飾りをして、小さな赤い鞄をかけている。
「その小さい鞄に何が入るの?」
とても素朴な疑問だった。だって米粒が1つ入ればいいくらいだもの。
しかしそれが失敗の素だった。
「貴女知りたい?この小さな鞄に、どんなモノが入るか知りたいのね!」
セイレーンがあちゃ~… という顔をして、顔を背けた。
それを疑問に思いながら、私は思わず頷くと……
怒涛の様な説明の嵐に、巻き込まれる事になる。
”なるほど…… セイレーンの態度の意味がわかったわ…… ”
「ちょっと、貴女!人が説明している時に、意識を他に向けるなんて失礼だわ。とにかくに…」
私はとっても遠い目をしていた。
そして、私と一緒に巻き込まれた教皇と枢機卿らに、心の底から詫びた。
とにかくこの妖精が、無類の魔道具好きという事はわかった。
ほとほと疲れるわね。ホントに………
教皇と枢機卿らと、更に私とセイレーンは、約半日分の魔道具の説明を受けたのだった。
「泉殿、ぜひこの妖精を連れて行きましょう。必ず必要になりますからね。」
「アセリアって料理だけじゃなくて、魔道具もたくさん存在するのね。それも参考にしているのが異世界だなんて!!行く!行くわよ。更に更に!生臭い事件に対戦前の魔道具が関係するだなんて♪世界が私を呼んでいるわ!キャハ~~♪♪」
前途多難だわ。まったく………
読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)




