女々しさと割り切り
拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。
【 クリスティオ視点 】
ヤッパリコイツ等は魔物だよな。わかっていたけどさ……
”いろいろとグロ過ぎて、晩飯食えない。”
食べた後でも、微妙だよな。どっちがいいんだか………
コイツわかって飯前に見せたな。
「今日の晩御飯はハンバーグだ。」
ニンマリと笑う次郎。
「それはどういう意味で、言っているんだ?」
「クリスが食べないなら、僕が食べる。」
「俺は三郎と友人だ。やるなら三郎だ。」
ついでにハンバーグは俺の好物だ。
食べるに決まってんだろう。
「……… 残念。」
しょんぼりする次郎。
意地でも食ってやるよ。好物だしな!
「それであいつらを使って、王都を嵌めていくのか?」
「そう、その方が楽。自滅するだけ。」
今王都は王妃の所業で、めちゃくちゃだ。
原因の王妃はわかっちゃいない。
「あの王妃、一体どうなってんだろう。」
ホントよくわからん。何を思って生きているのか?
「花畑は面倒。ただ面白いことは考えた。これ三郎の為。」
「………なるほど。」
「今四郎が頑張っている。楽しみにしてくれ♪」
フィルが教えたピースサインをして、ご満悦な次郎は楽し気だ。
ただ三郎が出来るかどうか………、大丈夫か?
「やればできる子。大丈夫。」
次郎は自信ありげだが、俺は今一つ信用できない。
「一応……… 代案も考えてくれ。お願いするよ。」
首を傾げる次郎。一応返事はしてくれた。
”三郎が色仕掛けねぇ、無理だろう。絶対……… ”
俺は次郎の自信がわからなかった。
ハア……… 俺はため息をつき、魔付きの奴らを見る。
「まあ任せるよ、次郎。ただ…… なんでライオネスを魔付きにした?」
「必要だから。彼がブレると困る。防波堤代わりの魔付き。彼が悩めば、助ける。見張れる。アセリア領はもう別の国。国の事はその国の者が解決する。当たり前だから。」
もう別の国か………、王都組達が帰れば、本格的にそう動くのだろう。
「帰る前にドリアスに会わなきゃな。」
「何かあるのか?」
「王印だ……… 」
「なるほど。グラ爺と一緒に行く。」
いろいろまだまだやる事がたくさんある。
「なあ、魔付きって寿命どうなるんだ?結婚できるのか?」
俺はふと気になった。あいつ結婚してないけど、どうなんだ?
「人と同じ。ただ念話で連絡できる。後身体が丈夫になる。結婚は出来るけど、子供は無理。」
そっか……… 、ドリアスに聞く事一つ増えたな。
ライオネスは前世、結婚したのだろうか?
三郎たちのいる方へ向かうと、ハンバーグの美味そうな匂いが漂う。
「この匂い美味しい。幸せの匂い♪」
とても嬉しそうに、フンフンと匂いを嗅ぐ次郎。
確かにこの匂いだけで、俺は飯が食えそうだ。
”やっぱり食べよう。美味しいは正義だ。”
さっき食えないと思ったのは、錯覚だったようだ。
「クリス~、大好きなハンバーグだぞ~♪」
手をブンブン振って、ニコニコ笑顔の三郎がいた。
俺はそれにギョッして、次郎はうんうんと満足気に頷いていた。
「嬉しいよな♪今日はホント大変だったもん。労いのハンバーグだよな。」
上手に表情筋が動かし、ニッコニコな表情の三郎。
「どうしたんだ?」と疑問の顔もちゃんと出来ている。
「お前すげーな!ホントやればできる子なんだな!」
俺は三郎にそう言うと、嬉しそうに顔を輝かせ喜ぶ。
「そこまで手放しで褒められると、照れるよな~♪」
そう言って、得意なニヤリと笑ったのだった。
四郎はすっごく得意げな顔で、鼻高々にフフン♪と笑った。
「四郎、更に任務だ。三郎に色仕掛けを教える。」
「ラジャー!」
「エッ?!僕それはムリだよ!!」
「大丈夫、三郎はやればできる子だから。」
「で、でも僕それはホントムリだよ。合わないよ。」
「任務だ!がんばれ!!」
「ラ、ラジャ~…… 」
俺は一連の流れを見て、三郎が可哀想で仕方がなかった。
頑張って色仕掛けしないでいい様に、俺が頑張ろう。
だって友人だもんな、うん。俺は密かに決意するのであった。
魔道具をガチャガチャしていると、泉と一人の女性がやって来た。
「クリス様、酷いですよ。ワームの壁には驚きました。」
プンプンと顔を膨らませやって来る。
「私はラッキーだったけどね。フィルちゃんのご飯美味しかった♪ありがとう、美味しい♪」
うっとりとした顔で、喜んでいる水色の髪の女性。
「クリス様、彼女セイレーンで私のお友達です。」
「初めまして、クリス様。よろしく~。」
ニコニコ笑顔のセイレーン。凄く無邪気に陽気だ。
「彼女は、姫様からお仕事頼まれたのです。物々交換なんですよ。」
泉は俺が口を挟む前にドンドン、話を積み上げていく。
俺はさっきから、ア~だのウ~だのしか言えてない。
「フィルちゃんのご飯と交換するのよ。ホント運がいいわ。」
どうやら海産物と料理を、交換する話をフィルと決めてきたそうだ。
「ところで姫様から聞きましたよ。オスバルド様、まだまだ踏ん切りついていないようですね。」
突然話が変わったので、今一つついて行けてない俺。
「姫様、王都へ渡すお土産の制作を頼まれたようです。」
それを聞いて、親父の顔を思い浮かべる。
「何でも陛下に食べて貰いたいそうですよ。別に今生の別れでもないのに、変ですよね?」
「男って変に女々しくてダメよね。」
オイオイ、ボロクソ言われているよ。
「ただ国を分けるだけでしょ?そんなに深刻な事なんですか?」
「人ってのは、難しく考え過ぎるのよ。狭くなったから、治め易くなってラッキーくらい思えばいいのにね。」
「と、姫様も言われていました。さすがです♪」
「スパッと割り切る事も必要だもんね♪」
言いたいだけ言って、ニコニコ笑顔で笑っている泉とセイレーン。
俺はただ一言、「そっか…… 」と言うに留めた。
多分これが賢い選択だと思うんだ。うん………
だって言葉で女性に勝てないだろう。男は………
繊細な男の気持ちをわかってくれと思うのは、イケない事だろうか?
ただ……… 彼女達の言い分も一理あると俺も思っている。
治め易くて、ラッキーか。なるほど……
****************
次の日………
昨日俺は知らぬうちに、フラグ立てたんだろうな………
母上とロバートが、王都組の出立に合わせていろいろと準備していた。
俺とマリリンは、その横でのんびりとお茶を飲んでいたのだが………
「何でフィルに、ご馳走のお土産をお願いしたんだろうね?」
父上が陛下と王太后のお土産に、フィルの料理を持たせる事にしたのだ。
それに関して、マリリンの中でも、いろいろと複雑な感情を抱くのだろう。
”俺だっていろいろ思う所はあるさ。”
俺はフイッと顔を逸らした。
ホント、王宮にはいろいろと嫌な思いしかない。
「マリリン、それはオスバルドがお願いした事なのよ。」
母上も聞こえていた為、俺の代わりに返事を返す。
陛下に対しては気さくなイメージがある分複雑だ。
「またオスバルドの優柔不断かい。女々しい男だねぇ。」
昨日に引き続き、父上は女々しいと言われた。
割り切るのは、女性が上手いのかな?
俺は一人悶々と考える。
俺の周りの女性が、ただ単にドライなのか?
とにかく俺も仕事をしなくてはならない。
昨夜作り上げた魔道具二つ。部屋に設置して試してみる。
「しかしよく間に合ったね。よくやった。」
マリリンが俺が設置している近くで、手放しで褒める。
「後で確認する時、私も見せておくれよ。楽しみだ♪」
なにげに新し物好きなマリリン。
最近母上やドリアスを担当している分、刺激が足りないのかもしれない。
「そういえば、父上はまだ寝ているの?」
珍しく父上がおらず不思議に思っていると、苦笑交じりでロバートが言う。
「旦那様は、二日酔いでダウンしております。」
「ええそうね。今日はクリスに任せると言っていたわ。頑張って♪」
二人はニッコリ俺を見て言った。どういう事?
「原因はグランドだよ。二人でいい気になってグデングデンさっ。今も医療特化地区で二日酔いの治療中だよ。」
「フフフ、ただの温泉三昧です。ですがそろそろクリスティオ様に、お願いしてもよろしいのでは思いました。」
「そういう事よ。オスバルドでは、どうしても女々しくなるんですもの。だからクリスに任せるそうよ。」
オイオイ……… 父上の女々しさのせいで、仕事をするハメになるの?
「まずギルド経由で各国に通達済み。それを踏まえ手紙を送っている最中です。帝国と隣国は、早々に建国の承認が届きました。教国も枢機卿がお持ちでしたね。おかげで三国承認成立しました。」
という事は、もう建国しちゃった状態に確定したという事だ。
「フフフ、クリスティオ王子って言わなきゃいけないね♪」
マリリンは楽しそうに言っている。
「正確には、クリスティオ王太子ではないかと。」
ロバートも笑いを含んだ顔で言っている。
「なら母上は、マリアナ王妃って言うんだね。」
だから俺はそう言うと………
「アラアラそれなら、フィラメント王女になるのね。」
と母上はとても嬉しそうに言った。
ただそこを想像すると、何だろうか微妙だった。
「王女にしては、髪が微妙じゃないか?いや服装もだね。」
「正妃だったのだから、教育は必要ないのよ。でも何でかしら………」
母上はとても不安そうに、皆を見る。
ホントにフィルをあのままの状態で、王女にしていいのだろうか?
「まあ、そこら辺はちゃんと考えてると思うよ。たぶん……」
フィルに話せば、何か面白い事を考え付くかもしれない。
マリリンが言う様に、たぶん大丈夫だろう。
「それじゃあ、早めにお礼状を作成しないといけないね。何かわが国ならではを贈ろう。」
「そうね。作物もいいけど……… クリスの魔道具を贈りましょう。この国には、フィルだけじゃないの、アナタもいるの。天才魔道具師がね。よろしくお願いするわ。」
「確かにそれはいい案ですね。では次です。」
今日はホント俺忙しそうだ………。
「クリスティオ様のご用はいくつか伺っておりますよ。ライオネス様宛のお手紙は、今朝カーラが届けに行きました。仕事も午前中だけです。」
俺は心底ホッとした。
まだまだ手伝う程度がちょうどいいよ。
****************
「ねぇ、泉とセイレーンばかり喋ってさ。ひどくない?」
「エェ~、だって別にどうでもいいと言ったじゃない。」
「そうそう。でもワームはアナタに気づいてたわね。」
セイレーンの髪に隠れ、辺りを観察していたの。
泉とセイレーンの、津波の様なおしゃべりに、アップアップ状態の青年。
それから………
「凄く美味しい匂いがしたの。」
「食べ終わった後だったわね。残念………」
「ハンバーグだったのね。私も食べたかった。」
つくづく興味が尽きない。それに魔道具……
「あの魔道具、あの青年が作ったの?」
「クリス?そうよ。領にはたくさんの作品があるわよ。」
「見たいわ。見せてちょうだい。」
とっても興味が湧いて来る。面白いわ♪
私役立つと思うのよ。
「「また始まった。ティックの妄想。」」
泉とセイレーンはヤレヤレと肩をすくめた。
読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)




