表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/68

女々しさと割り切り 

拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。

 

【 クリスティオ視点 】




 ヤッパリコイツ等は魔物だよな。わかっていたけどさ……


 ”いろいろとグロ過ぎて、晩飯食えない。”


 食べた後でも、微妙だよな。どっちがいいんだか………

 コイツわかって飯前に見せたな。


「今日の晩御飯はハンバーグだ。」


 ニンマリと笑う次郎。


「それはどういう意味で、言っているんだ?」


「クリスが食べないなら、僕が食べる。」


「俺は三郎と友人だ。やるなら三郎だ。」


 ついでにハンバーグは俺の好物だ。

 食べるに決まってんだろう。


「……… 残念。」


 しょんぼりする次郎。

 意地でも食ってやるよ。好物だしな!


「それであいつらを使って、王都を嵌めていくのか?」


「そう、その方が楽。自滅するだけ。」


 今王都は王妃の所業で、めちゃくちゃだ。

 原因の王妃はわかっちゃいない。


「あの王妃、一体どうなってんだろう。」


 ホントよくわからん。何を思って生きているのか?


「花畑は面倒。ただ面白いことは考えた。これ三郎の為。」


「………なるほど。」


「今四郎が頑張っている。楽しみにしてくれ♪」


 フィルが教えたピースサインをして、ご満悦な次郎は楽し気だ。

 ただ三郎が出来るかどうか………、大丈夫か?


「やればできる子。大丈夫。」


 次郎は自信ありげだが、俺は今一つ信用できない。


「一応……… 代案も考えてくれ。お願いするよ。」


 首を傾げる次郎。一応返事はしてくれた。


 ”三郎が色仕掛けねぇ、無理だろう。絶対……… ”


 俺は次郎の自信がわからなかった。

 ハア……… 俺はため息をつき、魔付きの奴らを見る。


「まあ任せるよ、次郎。ただ…… なんでライオネスを魔付きにした?」


「必要だから。彼がブレると困る。防波堤代わりの魔付き。彼が悩めば、助ける。見張れる。アセリア領(ここ)はもう別の国。国の事はその国の者が解決する。当たり前だから。」


 もう別の国か………、王都組達(あいつら)が帰れば、本格的にそう動くのだろう。


「帰る前にドリアスに会わなきゃな。」


「何かあるのか?」


「王印だ……… 」


「なるほど。グラ爺と一緒に行く。」


 いろいろまだまだやる事がたくさんある。


「なあ、魔付きって寿命どうなるんだ?結婚できるのか?」


 俺はふと気になった。あいつ結婚してないけど、どうなんだ?


「人と同じ。ただ念話で連絡できる。後身体が丈夫になる。結婚は出来るけど、子供は無理。」


 そっか……… 、ドリアスに聞く事一つ増えたな。

 ライオネスは前世、結婚したのだろうか?



 三郎たちのいる方へ向かうと、ハンバーグの美味そうな匂いが漂う。


「この匂い美味しい。幸せの匂い♪」


 とても嬉しそうに、フンフンと匂いを嗅ぐ次郎。

 確かにこの匂いだけで、俺は飯が食えそうだ。


 ”やっぱり食べよう。美味しいは正義だ。”


 さっき食えないと思ったのは、錯覚だったようだ。


「クリス~、大好きなハンバーグだぞ~♪」


 手をブンブン振って、ニコニコ笑顔の三郎がいた。

 俺はそれにギョッして、次郎はうんうんと満足気に頷いていた。


「嬉しいよな♪今日はホント大変だったもん。労いのハンバーグだよな。」


 上手に表情筋が動かし、ニッコニコな表情の三郎。

「どうしたんだ?」と疑問の顔もちゃんと出来ている。


「お前すげーな!ホントやればできる子なんだな!」


 俺は三郎にそう言うと、嬉しそうに顔を輝かせ喜ぶ。


「そこまで手放しで褒められると、照れるよな~♪」


 そう言って、得意なニヤリと笑ったのだった。

 四郎はすっごく得意げな顔で、鼻高々にフフン♪と笑った。


「四郎、更に任務だ。三郎に色仕掛けを教える。」


「ラジャー!」


「エッ?!僕それはムリだよ!!」


「大丈夫、三郎はやればできる子だから。」


「で、でも僕それはホントムリだよ。合わないよ。」


「任務だ!がんばれ!!」


「ラ、ラジャ~…… 」


 俺は一連の流れを見て、三郎が可哀想で仕方がなかった。

 頑張って色仕掛けしないでいい様に、俺が頑張ろう。

 だって友人だもんな、うん。俺は密かに決意するのであった。



 魔道具をガチャガチャしていると、泉と一人の女性がやって来た。


「クリス様、酷いですよ。ワームの壁には驚きました。」


 プンプンと顔を膨らませやって来る。


「私はラッキーだったけどね。フィルちゃんのご飯美味しかった♪ありがとう、美味しい♪」


 うっとりとした顔で、喜んでいる水色の髪の女性。


「クリス様、彼女セイレーンで私のお友達です。」


「初めまして、クリス様。よろしく~。」


 ニコニコ笑顔のセイレーン。凄く無邪気に陽気だ。


「彼女は、姫様からお仕事頼まれたのです。物々交換なんですよ。」


 泉は俺が口を挟む前にドンドン、話を積み上げていく。

 俺はさっきから、ア~だのウ~だのしか言えてない。


「フィルちゃんのご飯と交換するのよ。ホント運がいいわ。」


 どうやら海産物と料理を、交換する話をフィルと決めてきたそうだ。


「ところで姫様から聞きましたよ。オスバルド様、まだまだ踏ん切りついていないようですね。」


 突然話が変わったので、今一つついて行けてない俺。


「姫様、王都へ渡すお土産の制作を頼まれたようです。」


 それを聞いて、親父の顔を思い浮かべる。


「何でも陛下に食べて貰いたいそうですよ。別に今生の別れでもないのに、変ですよね?」


「男って変に女々しくてダメよね。」


 オイオイ、ボロクソ言われているよ。


「ただ国を分けるだけでしょ?そんなに深刻な事なんですか?」


「人ってのは、難しく考え過ぎるのよ。狭くなったから、治め易くなってラッキーくらい思えばいいのにね。」


「と、姫様も言われていました。さすがです♪」


「スパッと割り切る事も必要だもんね♪」


 言いたいだけ言って、ニコニコ笑顔で笑っている泉とセイレーン。

 俺はただ一言、「そっか…… 」と言うに留めた。

 多分これが賢い選択だと思うんだ。うん………

 だって言葉で女性に勝てないだろう。男は………


 繊細な男の気持ちをわかってくれと思うのは、イケない事だろうか?


 ただ……… 彼女達の言い分も一理あると俺も思っている。

 治め易くて、ラッキーか。なるほど……



 ****************


 次の日………



 昨日俺は知らぬうちに、フラグ立てたんだろうな………


 母上とロバートが、王都組の出立に合わせていろいろと準備していた。

 俺とマリリンは、その横でのんびりとお茶を飲んでいたのだが………


「何でフィルに、ご馳走のお土産をお願いしたんだろうね?」


 父上が陛下と王太后のお土産に、フィルの料理を持たせる事にしたのだ。

 それに関して、マリリンの中でも、いろいろと複雑な感情を抱くのだろう。


 ”俺だっていろいろ思う所はあるさ。”


 俺はフイッと顔を逸らした。

 ホント、()()にはいろいろと嫌な思いしかない。


「マリリン、それはオスバルドがお願いした事なのよ。」


 母上も聞こえていた為、俺の代わりに返事を返す。

 陛下(おじ)に対しては気さくなイメージがある分複雑だ。


「またオスバルドの優柔不断かい。女々しい男だねぇ。」


 昨日に引き続き、父上は女々しいと言われた。

 割り切るのは、女性が上手いのかな?


 俺は一人悶々と考える。

 俺の周りの女性が、ただ単にドライなのか?


 とにかく俺も仕事をしなくてはならない。

 昨夜作り上げた魔道具二つ。部屋に設置して試してみる。


「しかしよく間に合ったね。よくやった。」


 マリリンが俺が設置している近くで、手放しで褒める。


「後で確認する時、私も見せておくれよ。楽しみだ♪」


 なにげに新し物好きなマリリン。

 最近母上やドリアスを担当している分、刺激が足りないのかもしれない。


「そういえば、父上はまだ寝ているの?」


 珍しく父上がおらず不思議に思っていると、苦笑交じりでロバートが言う。


「旦那様は、二日酔いでダウンしております。」


「ええそうね。今日はクリスに任せると言っていたわ。頑張って♪」


 二人はニッコリ俺を見て言った。どういう事?


「原因はグランドだよ。二人でいい気になってグデングデンさっ。今も医療特化地区で二日酔いの()()()だよ。」


「フフフ、ただの温泉三昧です。ですがそろそろクリスティオ様に、お願いしてもよろしいのでは思いました。」


「そういう事よ。オスバルドでは、どうしても()()()()なるんですもの。だからクリスに()()()そうよ。」


 オイオイ……… 父上の女々しさのせいで、仕事をするハメになるの?


「まずギルド経由で各国に通達済み。それを踏まえ手紙を送っている最中です。帝国と隣国は、早々に建国の承認が届きました。教国も枢機卿がお持ちでしたね。おかげで三国承認成立しました。」


 という事は、もう建国しちゃった状態に確定したという事だ。


「フフフ、クリスティオ王子って言わなきゃいけないね♪」


 マリリンは楽しそうに言っている。


「正確には、クリスティオ王太子ではないかと。」


 ロバートも笑いを含んだ顔で言っている。


「なら母上は、マリアナ王妃って言うんだね。」


 だから俺はそう言うと………


「アラアラそれなら、フィラメント王女になるのね。」


 と母上はとても嬉しそうに言った。

 ただそこを想像すると、何だろうか微妙だった。


「王女にしては、髪が微妙じゃないか?いや服装もだね。」


「正妃だったのだから、教育は必要ないのよ。でも何でかしら………」


 母上はとても不安そうに、皆を見る。

 ホントにフィルをあのままの状態で、王女にしていいのだろうか?


「まあ、そこら辺はちゃんと考えてると思うよ。たぶん……」


 フィルに話せば、何か面白い事を考え付くかもしれない。

 マリリンが言う様に、たぶん大丈夫だろう。


「それじゃあ、早めにお礼状を作成しないといけないね。何かわが国ならではを贈ろう。」


「そうね。作物もいいけど……… クリスの魔道具を贈りましょう。この国には、フィルだけじゃないの、アナタもいるの。天才魔道具師がね。よろしくお願いするわ。」


「確かにそれはいい案ですね。では次です。」


 今日はホント俺忙しそうだ………。



「クリスティオ様のご用はいくつか伺っておりますよ。ライオネス様宛のお手紙は、今朝カーラが届けに行きました。仕事も午前中だけです。」


 俺は心底ホッとした。

 まだまだ手伝う程度がちょうどいいよ。



 ****************



「ねぇ、泉とセイレーンばかり喋ってさ。ひどくない?」


「エェ~、だって別にどうでもいいと言ったじゃない。」


「そうそう。でもワームはアナタに気づいてたわね。」


 セイレーンの髪に隠れ、辺りを観察していたの。

 泉とセイレーンの、津波の様なおしゃべりに、アップアップ状態の青年。

 それから………


「凄く()()()()匂いがしたの。」


「食べ終わった後だったわね。残念………」


「ハンバーグだったのね。私も食べたかった。」


 つくづく興味が尽きない。それに魔道具……


「あの魔道具、あの青年が作ったの?」


「クリス?そうよ。領にはたくさんの作品があるわよ。」


「見たいわ。見せてちょうだい。」


 とっても興味が湧いて来る。面白いわ♪

 私役立つと思うのよ。


「「また始まった。ティックの妄想。」」


 泉とセイレーンはヤレヤレと肩をすくめた。






読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ