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少しずつ見える平穏

拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。


誤字脱字報告ありがとうございます。

 

【 クリスティオ視点 】



 麻薬売人は、これにて終了って所か………

 微かに聞こえる絶叫の声で、王宮への怒りが多少収まる。


「なんかあっけなかったね。お店の跡地どうするの?」


「フィルが避難場所が欲しいって、言ってただろう。普段は公園に使って、子供の遊び場にしよう。」


「そうだね♪後は皆に連絡だね。」


「だなー。差し当たり一部終了!」


 そう言って周りの店の扉を、ドンドン♪と次々叩いて行く。

 扉が開くと中からは、五郎と騎士達が出て来た。

 この店の周辺は密集している為、地面の下から壊す方が、何かと楽だし都合も良かった。

 だがそうすると店の周りの振動が、もの凄い事になる為、あの店以外の住民は、別の建物へ誘導避難したのだ。


「しかしスゴイ揺れだったな。机の下に避難しても恐ろしかったぞ。」


「俺も!いつ家が壊れないかと不安だった。」


 他の騎士達もワイワイと、楽しそうに感想を述べている。

 フム……… フィルが言う様にいつか、建築ガイドラインを作ろうかな……


「それでこの後どうするんだ?王都に伝わるなら早くて1週間後か?」


 騎士の一人が俺に聞いて来る。


「その頃ならちょうど、殿下達一行と合流するだろう。だからそのまま王都に、いったん引き返すんじゃないかな?」


 むしろそれどころじゃなくなるもんな♪王都は………


「それより証拠どうするんだ?食っちまって大丈夫か?」


「「「まぁ〜ね〜……。」」」


 俺と三郎、そして五郎が適当な返事を返すと、騎士達は胡乱気な様子で見ている。


「そこら辺考えていませんでした~。じゃないよな?!」


「クリスティオ様、大丈夫ですよね?俺達信じてますからね?!」


「それより、あの不気味な状態の穴、ちゃんと埋めて下さいよ!」


 騎士達は好き勝手言いながら、捕縛したヤツらを引きずって行く。


「オ、オイ……… どこに行くつもりだ?!や、やめろ!!」


 顔を蒼褪めさせて、キョトッキョトと目を動かす者。


「「「「ヒィイイイイイイ!!」」」」


 悲鳴を上げて、必死に抵抗する捕縛された者達。


 彼らを黒い蠢く穴へと、引きずって行く騎士達。


「オイオイ抵抗するなよ。面倒くせぇーなぁ…」


「お前ら麻薬取扱ってんだぞ。普通に牢屋な訳ねェだろうが……」


 そう言って、ズリズリ……… と引きずって行く。

 しかし奴らも必死だ。地面に爪を立て抵抗する。


「五郎、面倒だ。」


 早く終わらせ帰還したい騎士達。うんざり顔で五郎を見る。

 五郎は、「エ~~…」と、言いながら人化を解く。

 ついでに三郎も人化を解いた。

 それを見た罪人たちの、驚きと絶望に満ちた絶叫は笑える。

 おそるおそる俺達を見る疑心と疑惑に満ちた目に、騎士の一人が「ガウ!!」と言って脅した。

 三郎と五郎は手を使い、無造作にポイッ♪と穴へ投げ入れる。

 穴に落ちて行くヤツらの悲鳴と絶叫。

 自分達が『やってきた事の報い』だと、粛々と受け止めてほしい。


「しかし奇怪な姿だよな。この後どう進化するんだ?」


「こんな姿のワームは見た事ないな……… 」


 皆がしみじみと見つめるから、三郎と五郎は恥ずかしそうにグネグネしている。

 そんな姿を微笑ましそうに見る騎士達。ウンおかしい(笑)

 まあ……… とにかく1つは片付いたって訳だ。

 ため息をついていると、三郎が俺を掴み頭に乗せてた。

 それは五郎も同じで騎士達を身体に乗せている。


 ”それではそれぞれ帰還しよう。みんな待っているよ。”


 ”早く警戒解除の警報鳴らしてあげなきゃね♪”


 そう俺達はまだまだ折り返し地点、のんびりとはしていられないのだ。



 ****************



 三郎に乗って屋敷に着き、三郎は人化する。


「オイ……… 」


「なあに??」


「なあにじゃない!お前さ、俺が降りてから人化しろよ!」


「落とさなかったよ?」


「そういう問題じゃない!!」


「アラアラアラ♪」


「なかなか素敵な登場じゃないかw」


 クソ……… 最悪だ!!

 何でヤローに横抱きされなきゃならない!

 更にその姿を母親見られるとか……… 最悪だ。


「おかえり。無事終わった?」


 次郎ものんびりとやって来た。

 父上達は相変わらず書類と格闘中らしい。


「クリス、オスバルドから伝言。勝手にするのはいい。でも、()()()は必ずする事。それからやった事の後()()もキッチリする様にだって。」


 次郎が父上からの伝言を伝えてきたが、後の処理。


「面倒くさい……… 」


 俺は苦味潰した顔をして、うんざり気味に言った。

 三郎も珍しく眉間にシワが刻まれた。


「後片付け大事。頑張ろ!」


 次郎は淡々と言った。後片付けねぇ………

 まあ仕方ないか。父上達は建国で忙しいからな。


「それから、全て地下牢に届けられている。それに伴う処理も終了。書類も入手済み。会うか?」


 さてどうしようか………


 考えていると、警告音が鳴り響く。警戒解除の合図だ。

 これで領民も一応は、日常生活へ戻る事になる。


「それでクリス、あのワームちゃん達の壁いつまでなの?大丈夫かしら?疲れないの??」


 母上は心配そうにワーム達の事を心配している。

 それを感動した様に見ている次郎と三郎。

 そして呆れた様にため息をつく、マリリン。


「あの子らは大丈夫だよ。ちゃんとご飯も貰ってるし、適当に内部で休憩してるから。」


「表面は入れ代わり制。睡眠も取ってる。」


「あらそう!ちゃんとしてるのね。王宮よりもしっかりしてるのね。」


 母上は王宮を皮肉って言った。

 確かにいろいろと残念な王宮(ところ)だ。


「ご主人様が、三食昼寝付きはサイコーと言っていた。理想通りにしてる。」


 次郎はフンと鼻息荒く力説しているが、それはお前にとっても理想的だよね?


 俺は呆れた顔で次郎を見て、そんな俺を三郎はニヤリと笑った。


「母上…… 父上に報告して参ります。」


 俺は一度態度を改め、用件を伝える。

 母上もスッと態度を改めて、静かにほほ笑み父上の所へ向かった。

 ………どうやら一緒に聞くつもりらしい。



 扉の前に立つと、母上がノックをして声をかける。

 扉が開くと私をチラリと見て、先に中に入るよう促された。


「よく戻って来た、クリス。大事はないか?」


 心配そうに俺を見る父上に、ニッコリとほほ笑む。

 ロバートもホッとした表情をして、飲み物の準備に取り掛かる。


「ところで、あ~…『損して得取れ』作戦は上手く行ったのか?」


 父上は作戦ネームを、恥ずかしそうに上目遣いで言う。

 それがとても滑稽可愛らしい。(父上が可愛いw)

 母上のツボを押した様で、とても微笑ましそうに見ている母上。


「バッチリ出来ている。」


 俺が返事する前に、次郎が意気揚々と返事を返す。

 次郎は作戦ネームがお気に入りだからね。

 俺はそれが面白くて、ニヤニヤと笑った。


「仲間も出来たし、情報と証拠も手に入れた。バッチリだね♪」


 三郎も上機嫌で返事をする。


「建物の場所も更地にし、公園とかにする予定です。職人ギルドへ依頼をかけておきます。」


 とりあえず俺も報告をする。


「国の外へは輸出していない。悪意ある達も全員捕縛。皆、地下道。領内は平和。」


「四郎もオッケーのようだよ。多少の人数は王都へ逃げ帰ったって♪それからクリスには、砦に来て欲しいという伝言。」


「俺?わかった。」


 何の用だろう?まあ労いを込めて、差し入れを持って行こう。


 トントントン………


「失礼します。海流様がお越しになりました。枢機卿をお連れでございます。」


 ハロルドの言葉を聞いた瞬間、気がついた。

 それは俺だけじゃない。次郎も三郎も顔を歪めている。

(少しずつ表情筋が発達してきたな、三郎。)


「海流はフィルと一緒にいるんじゃないのか?」


 父上が首を捻って不思議そうにしている。

 母上は気がついたのか、俺の顔を目を細めて見ている。


 ”後でお小言確定だな。うっかり忘れていた。ごめん泉。”


 ワームの壁で領に入れず、空を飛べる海流と変わったのだ。

 テーブルの上にコーヒーを置かれる。


「少し濃いめに淹れております。まだまだ働いて貰わなければなりません。」


 澄まし顔で言うと、次郎と三郎には甘めのカフェオレを渡す。

 それを幸せそうに飲む次郎と、味わう様に飲む三郎。

 俺も、香りのいいコーヒーを飲んでホッと一息つく。


 トントントン………


 いよいよ枢機卿のお出ましの様だ。

 これでホントの折り返し地点になる。


 全てが終わったら、フィルに何か美味しいご飯作って貰おう♪



 ****************




 さてと、問題は……


 枢機卿と話し合いをしていると、ドリアスとライオネスの来訪が告げられる。

 まあ警告音の事があるから、いつか来るだろうと思っていた。

 ただなぁ…… 俺はジトリとライオネスを見ている。

 コイツは、ドリアスを子供だとわかっているのか?

 ドリアスもどうなんだ?動いて大丈夫な状態なのか?

 マリリンは首を振って、眉間にシワを寄せている。

 ただでさえ子供の身体なのに……

 俺はいよいよもってライオネスを、怒鳴りつけたい心境になった。

 大人と同じ様に扱ってどうする!

 まだ子供の()()だと、言わないとわからないのか!

 ドリアスは顔色が悪い。それでも謝罪し、また来客中の訪問を詫びる。

 枢機卿はそんなドリアスを優しく微笑み慰めていた。


「海流、お前は泉みたいに見えるのか?」


 俺は小声で確認する。海流はドリアスを見たまま頷いた。


「後で教えてくれ。」


 俺は眉間にシワを寄せて、これから先の事を考えるのだった。

 枢機卿も何か思う事があったのか、ドリアスに癒しの魔法をかけていた。

 どこまで効くか判らないがな……


「それでは王国教会は麻薬を製造し販売までしていたという事ですね。」


「ハイこれが証拠になります、また証人も数名確保しています。」


 枢機卿に書類を渡し確認して貰う。

 顔はにこやかなのだが相当怒り心頭のようで、青筋が立っているのが見える。

 書類なんかグシャッと握り締め…… いつブチ切れてもおかしくない。

 それなのに……更に王印偽造の件も伝える。

 はっきり言おう。王国教会は消される。

 枢機卿は殺気の帯びた目をしながら、更に微笑んでいた。

 王印に関しては、教会も関係するそうだ。

 王位継承者が契約する際、その国の大司教が行うからだ。

 それと大司教の交代。

 必ず大司教が行う事なので、コチラも登録を変更する。


「可能性とされる半年前は、ちょうど代替わりと当てはまります。」


 半年前の大司教が変わった時、王印を偽造出来た可能性があるという。




読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)

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