王都から離れる序曲
拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。
遅くなり申し訳ございません。
最近子供とPCの取り合い。
ゲームイベント満載で、負け続けています。
【 クリスティオ視点 】
昨日はホントに、いろいろと疲れる一日だった。
かといって、今日ものんびりとは出来ない。
ホント王都組が来てから、碌な目に合わない。
まったく…… ため息をついて、土いじりをフィルに代わってやっている。
生ごみを一輪君に乗せ、えっちらおっちら運ぶ。
”おはよう~~♪クリス、おひさ~♪”
デカいワーム(ただし四つ足)が無邪気に声をかけながら、コチラに向かって大喜びでやって来た。
視覚で状況を伝えるなら、デカいワームが突然躍りかかる様に現れ、目の前で大きな口を開き出迎えた。ギザギザ………
身が竦む様な、グロくて恐ろしい光景が拡がる。
ついでに身体中はベッチョリと液が、降り注いだ。
それを見た三郎は、慌て土の中から飛び出した。
”四郎ダメだよ。お口開けて挨拶したら、液体が飛び散るってご主人様から禁止されたでしょ!”
”ごめ~ん、忘れてた。クリスもごめんね~。”
デカいワームがウニョウニョと、身体を寄せて謝っている。
その光景もはっきり言ってシュールだ。
コイツ等もワザとした訳じゃない。
素直に喜んだ後の大惨事、どうせ近くに風呂だってある。
俺はベチョベチョに濡れ、ブチ切れそうになる感情を抑えた。
そんな俺の心情が解るのだろう。
大きなワームが、2匹でごめんなさい、と身体を折り曲げた。
もちろん作業を止め、すぐに風呂に入ったのは言うまでもない。
ザック、ザック………
鍬を振り上げ、ふんわりとした土を均一に掘っていく。
俺が作業を開始すると、お詫びのつもりか手伝いをする、三郎と四郎。
ザック、ザック、ザック
掘った箇所に後ろから、四郎がゴミを穴に手で入れる。
三郎は入った箇所の土を、ササっと手で混ぜ込んで行く。
ホント奇怪な姿になったもんだ。
本人達は「手サイコー♪」と喜んでいたが……
”チビのご飯♪しっかりお食べ♪”
ポンポン♪土に優しく叩いて、三郎は俺を見る。
”そう言えばあのお店、今日あたりやっちゃう?ちょうど4匹いるし?”
”やっちゃうって何を?”
四郎は美味しいを全世界に広める為、諸外国を放浪している。
「土の御社ではダメだろう。秘密基地で話そう。」
俺は用心の為、他の場所へ移動する事を提案する。
もちろん秘密基地という言葉に、嬉し気に反応する2匹。
”それじゃあ地下道へ行こう♪”
”そうしよう♪そうしよう♪”
「それじゃあ、早く終わらせないとな。」
急ピッチで作業を進めて行く。
ザック、ザック、と土いじりを頑張る、俺達。
同じ体勢でする作業は、なかなか大変だ。
腕と腰の鍛錬にはなりそうだな、ウン………
****************
地下道はなかなかの広さと、明るさがあった。
「ココってダンジョン?!」
”ダンジョンと同じ理屈で作ったんだよ。凄いでしょ♪”
”構造も一緒だよ。ついでにココの魔石は上質。”
至る所に突き出している魔石を、無造作に折って俺に渡した。
表面は琥珀色で、純度高い魔石。
色合いといい質といい、確かに上質だ。
この石を使うなら、どんな魔道具がいいだろう。
「ありがとう。大切に使うよ。」
素直に嬉しくて、笑顔で言うと、
”また欲しくなったら言ってね。クリスの作る魔道具好きだよ。”
”ウン、好きだよ。出来れば僕らのおもちゃも作ってね。”
と、むちゃ振りを仕掛けるワームら。
「君らが楽しむおもちゃって何?想像がつかないよ。」
俺が胡乱気な様子で聞くと、悩んだ風な動きをする。
”そうだね。僕らは一体、どんなおもちゃがいいんだろ?”
”おもちゃが欲しいと漠然と思うけど、想像出来ないね。”
2匹は互いに顔を見合わせ、考え込む。
なら俺がわかる訳ないよと、呆れる俺だった。
”所で、やっちゃうって何を?”
スッと人化して、話し出す四郎。
顔の作りは同じだが、若干幼い感じがする。
髪は耳元で切りそろえたソバージュで、柔和な印象だった。
ついでに、髪が短くツンツンヘアーは、騎士タイプの五郎だ。
「やるって言うのは、麻薬を売っていたお店を無くすんだよ。」
「そうキャセル!綺麗さっぱり消滅!」
三郎も人化し、イスとテーブルを作り出す。
立ったまま喋るには、話が長くなりそうだ。
「次郎と五郎も来るよ。連絡した。」
「一郎は頑張れって。早く解決しなきゃね。」
皆が集まったら、細かい事は話し合おう。
「ところでさ。僕は周辺諸国をウロウロしていたから、詳しく教えてくれる?」
だから世界各国の動きは、四郎が得意とするところだ。
「そうだね。戻って来ても、またすぐ出て行くもんね。」
「だってどこもかしこも、情報欲しがって忙しいんだよ。サンプル品がないと、伝わらないでしょ。説得力があるサンプル品。後は魔石もね。ワーム達大忙しだよ。」
「フ~~ン…… どれぐらいまで達したの?」
俺は頭に地図を浮かべながら言うと……
「砂漠地帯と氷河地帯まで達しているよ。半分は回ったかな。僕は偉い♪味方がいっぱいだよ♪」
ウ~~ン、かなりむちゃぶりしても大丈夫かな。
もう一気に潰してしまおう。
領内にいる悪意ある者、というか王都民の度肝抜く方向……………
認識の差異を正す必要があるだろう。
「でさ… 教えてくれないの?」
無視した感じになり、四郎が淋しそうにしている。
俺はごめんと謝り、アセリア領を取り巻いている、今の状況を大まかに伝えた。
三郎は飲み物と食べ物を入手する為、いつの間にか消えていた。
「ヘエ……… 王都がねぇ。欲しいは解るけど、なんでそこで自分達で頑張ろうと思わないのかな?」
欲しい……… これがキーワードな言葉だろう。
王妃・教会・貴族・王都民は、アセリア領が欲しいらしい。
港・土地・収益・技術・交易・魔物・ネームバリュー、そしてフィル。
他にもいろいろとあるだろうが、とにかく欲しい。
欲しいばかりで、自分達がその後どうするのかを考えない。
奪おうと思うばかりで、自分達で作ろうとはしない。
そして、教えを乞う事もない。
そこに見え隠れするのが、自尊心。
自分達より下位と思っていた領に、教えを乞うのは自尊心が許さないのだろう。
それはライオネスにも言える事。
頭を下げるその姿は、腰がとても低そうに見える。
だが自分から動く事はなく、待ちの姿勢が基本だ。
ドリアスが倒れ、自分が責任ある立場の時もそうだ。
そして自分からは乞わないが、教えてくれるなら聞きましょう。
「やって貰おう」、「してくれるだろう」という感情が見え隠れする。
あれだけ王都の国の現状を話しているのに、わかっているのかいないのか。
自分達の能力を過信し過ぎている。
だからこそ過信した能力を、超えたと認識した時彼は気絶する。
”自分本来の能力を全然わかっていない。”
全く王都はいろいろと残念過ぎる。
「………来た。」
何故か次郎は人化し、五郎に乗ってやって来た。
「人の姿だと、スピード感があって楽しい。」
なるほどよかったな、次郎。
「僕もすげー飛ばしまくりで来たんだぜ♪」
そう言って人化する五郎。
人の姿になると話し方が若干変わる。
「それであの店消すの?」
次郎は淡々と聞いて来る。
「マジか♪」と楽しそうな顔をする五郎。
「…………… あのさ、三郎。」
カゴいっぱいに飲み物と食べ物を、入れて戻って来た三郎に、俺はいつも思っていた事を言う決意をした。
「クリス、改まった顔してどうしたの?」
「俺は常々思っていた事なんだが、お前はなぜ表情がない?」
コイツは言葉だけ聞けば、感情豊かで理解できる。
だが表情が、人形の様に全く動かない。
「「「ア~~~……… 」」」
他の三人は思い当たるのか、様々な感情を乗せて顔で表現している。
だが何故かコイツは、顔は無表情で動作で表現をする。
無表情で、両手で頭を鷲掴みしても、伝わんねーよ?!
マジでコイツなんなの!!
「それはソイツの怠慢。」
「うん、ただの面倒くさがりね。」
「ホントそう。」
「………………」
首を傾げて、両手を合わせている。
ごめんねっと言う意味か……… 俺は折れた。
もういいや………
「話逸らしてごめん。」
「気にするな、それよりどうする?」
次郎が聞くので、大まかに考えていた事を話す。
「大胆不敵な感じ?」と次郎が聞く。
「と見せかけて、ずる賢いがいいな。」
「なるほどねぇ」と小声で呟き、次郎はうっそりと嗤った。
そんな次郎の顔を見て、他の三人も残虐な本性を現す。
魔物だって今回は、人以上にちゃんと道理を弁えて行動をしている。
なのに王都の者達は、その道理を弁えず行動に移そうとする。
それがどれほど全世界に顰蹙を買うのか、全くというほどわかっていない。
そろそろわからせる必要があるだろう。
相手にしているのがどんな様か、世界がどの様に思っているかを………
「まずは盛大に花火を上げるとしよう♪」
どう料理をしようか?
心をボロボロにへし折るには、どうしたらいい?
微妙な匙加減をしながら、大胆に仕上げていく。
外では領民たちが笑い合い、収穫を楽しんでいる。
だが地下は、着々と魔宴の準備をしていた。
****************
その日初めて、領内に警告音が鳴り響いた。
その音が聞こえたら、すぐに建物に入り戸締りをする事。
外に出る事を禁ずる報せ。
領民は早急に行動を開始する。
四半刻もすれば、領内は人の気配が消え去る。
何処からともなく、地鳴りの音が聞こえる。
ドドドドドドドドド………
地面から振動が伝わり、領内に重低音の音が鳴り響く。
グワーーン!! ー……! ドドドドドドド………
一層の大きな音が駆け巡り、また先程の重低音が鳴り響く。
一体外で何が起こっているのだろうか?
だが領民たちは知っていた。これは土の御社様達の仕業だと………
そして大丈夫という事も解っていた。
だから家でのんびりと、「今日は休みだなぁ。」と考えていた。
読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)
寒くなってきました。
体調崩さないように、ご自愛ください。




