表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/68

王都から離れる序曲

拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。


遅くなり申し訳ございません。

最近子供とPCの取り合い。

ゲームイベント満載で、負け続けています。



【 クリスティオ視点 】



昨日はホントに、いろいろと疲れる一日だった。

かといって、今日ものんびりとは出来ない。

ホント王都組が来てから、碌な目に合わない。

まったく…… ため息をついて、土いじりをフィルに代わってやっている。

生ごみを一輪君に乗せ、えっちらおっちら運ぶ。


”おはよう~~♪クリス、おひさ~♪”


デカいワーム(ただし四つ足)が無邪気に声をかけながら、コチラに向かって大喜びでやって来た。

視覚で状況を伝えるなら、デカいワームが突然躍りかかる様に現れ、目の前で大きな口を開き出迎えた。ギザギザ………

身が竦む様な、グロくて恐ろしい光景が拡がる。

ついでに身体中はベッチョリと(よだれ)が、降り注いだ。

それを見た三郎は、慌て土の中から飛び出した。


”四郎ダメだよ。お口開けて挨拶したら、液体が飛び散るってご主人様から禁止されたでしょ!”


”ごめ~ん、忘れてた。クリスもごめんね~。”


デカいワームがウニョウニョと、身体を寄せて謝っている。

その光景もはっきり言ってシュールだ。

コイツ等もワザとした訳じゃない。

素直に喜んだ後の大惨事、どうせ近くに風呂だってある。

俺はベチョベチョに濡れ、ブチ切れそうになる感情を抑えた。

そんな俺の心情が解るのだろう。

大きなワームが、2匹(ふたり)でごめんなさい、と身体を折り曲げた。


もちろん作業を止め、すぐに風呂に入ったのは言うまでもない。


ザック、ザック………


鍬を振り上げ、ふんわりとした土を均一に掘っていく。

俺が作業を開始すると、お詫びのつもりか手伝いをする、三郎と四郎。


ザック、ザック、ザック


掘った箇所に後ろから、四郎がゴミを穴に()で入れる。

三郎は入った箇所の土を、ササっと()で混ぜ込んで行く。

ホント奇怪な姿になったもんだ。

本人達は「手サイコー♪」と喜んでいたが……


”チビのご飯♪しっかりお食べ♪”


ポンポン♪土に優しく叩いて、三郎は俺を見る。


”そう言えばあのお店、今日あたりやっちゃう?ちょうど4匹いるし?”


”やっちゃうって何を?”


四郎は美味しいを全世界に広める為、諸外国を放浪している。


土の御社(ここ)ではダメだろう。()()()()で話そう。」


俺は用心の為、他の場所へ移動する事を提案する。

もちろん()()()()という言葉に、嬉し気に反応する2匹(ふたり)


”それじゃあ地下道へ行こう♪”


”そうしよう♪そうしよう♪”


「それじゃあ、早く終わらせないとな。」


急ピッチで作業を進めて行く。

ザック、ザック、と土いじりを頑張る、俺達。

同じ体勢でする作業は、なかなか大変だ。

腕と腰の鍛錬にはなりそうだな、ウン………



****************



地下道はなかなかの広さと、明るさがあった。


()()ってダンジョン?!」


”ダンジョンと同じ理屈で作ったんだよ。凄いでしょ♪”


”構造も一緒だよ。ついでに()()の魔石は上質。”


至る所に突き出している魔石を、無造作に折って俺に渡した。

表面は琥珀色で、純度高い魔石。

色合いといい質といい、確かに上質だ。

この石を使うなら、どんな魔道具がいいだろう。


「ありがとう。大切に使うよ。」


素直に嬉しくて、笑顔で言うと、


”また欲しくなったら言ってね。クリスの作る魔道具好きだよ。”


”ウン、好きだよ。出来れば僕らのおもちゃも作ってね。”


と、むちゃ振りを仕掛けるワームら(こいつら)


「君らが楽しむおもちゃって何?想像がつかないよ。」


俺が胡乱気な様子で聞くと、悩んだ風な動きをする。


”そうだね。僕らは一体、どんなおもちゃがいいんだろ?”


”おもちゃが欲しいと漠然と思うけど、想像出来ないね。”


2匹は互いに顔を見合わせ、考え込む。

なら俺がわかる訳ないよと、呆れる俺だった。




”所で、やっちゃうって何を?”


スッと人化して、話し出す四郎。

顔の作りは同じだが、若干幼い感じがする。

髪は耳元で切りそろえたソバージュで、柔和な印象だった。

ついでに、髪が短くツンツンヘアーは、騎士タイプの五郎だ。


「やるって言うのは、麻薬を売っていたお店を無くすんだよ。」


「そうキャセル!綺麗さっぱり消滅!」


三郎も人化し、イスとテーブルを作り出す。

立ったまま喋るには、話が長くなりそうだ。


「次郎と五郎も来るよ。連絡した。」


「一郎は頑張れって。早く解決しなきゃね。」


皆が集まったら、細かい事は話し合おう。


「ところでさ。僕は周辺諸国をウロウロしていたから、詳しく教えてくれる?」



だから世界各国の動きは、四郎が得意とするところだ。


「そうだね。戻って来ても、またすぐ出て行くもんね。」


「だってどこもかしこも、情報欲しがって忙しいんだよ。サンプル品がないと、伝わらないでしょ。説得力があるサンプル品(やさい)。後は魔石もね。ワーム達大忙しだよ。」


「フ~~ン…… どれぐらいまで達したの?」


俺は頭に地図を浮かべながら言うと……


「砂漠地帯と氷河地帯まで達しているよ。半分は回ったかな。僕は偉い♪味方がいっぱいだよ♪」


ウ~~ン、かなりむちゃぶりしても大丈夫かな。

もう一気に潰してしまおう。

領内にいる悪意ある者、というか王都民の度肝抜く方向……………

認識の差異を正す必要があるだろう。


「でさ… 教えてくれないの?」


無視した感じになり、四郎が淋しそうにしている。

俺はごめんと謝り、アセリア領を取り巻いている、今の状況を大まかに伝えた。

三郎は飲み物と食べ物を入手する為、いつの間にか消えていた。


「ヘエ……… 王都がねぇ。欲しいは解るけど、なんでそこで自分達で頑張ろうと思わないのかな?」


欲しい……… これがキーワードな言葉だろう。

王妃・教会・貴族・王都民は、アセリア領が欲しいらしい。

港・土地・収益・技術・交易・魔物・ネームバリュー、そしてフィル。

他にもいろいろとあるだろうが、とにかく欲しい。

欲しいばかりで、自分達が()()()()()()()()()を考えない。

奪おうと思うばかりで、自分達で()()()とはしない。

そして、()()()()()事もない。

そこに見え隠れするのが、自尊心(プライド)

自分達より下位(した)と思っていた(もの)に、教えを乞うのは自尊心(プライド)が許さないのだろう。

それは()()()()()にも言える事。

頭を下げるその姿は、腰がとても低そうに見える。

だが自分から動く事はなく、待ちの姿勢が基本だ。

ドリアスが倒れ、自分が責任ある立場の時もそうだ。

そして自分からは乞わないが、教えてくれるなら聞きましょう。

「やって貰おう」、「してくれるだろう」という感情が見え隠れする。

あれだけ王都の国の現状を話しているのに、わかっているのかいないのか。

自分達の能力を過信し過ぎている。

だからこそ過信した能力を、超えたと認識した時彼は気絶する。


”自分本来の能力を全然わかっていない。”


全く王都はいろいろと残念過ぎる。




「………来た。」


何故か次郎は人化し、五郎に乗ってやって来た。


「人の姿だと、スピード感があって楽しい。」


なるほどよかったな、次郎。


「僕もすげー飛ばしまくりで来たんだぜ♪」


そう言って人化する五郎。

人の姿になると話し方が若干変わる。


「それであの店消すの?」


次郎は淡々と聞いて来る。

「マジか♪」と楽しそうな顔をする五郎。


「…………… あのさ、三郎。」


カゴいっぱいに飲み物と食べ物を、入れて戻って来た三郎に、俺はいつも思っていた事を言う決意をした。


「クリス、改まった顔してどうしたの?」


「俺は常々思っていた事なんだが、お前はなぜ表情がない?」


コイツは言葉だけ聞けば、感情豊かで理解できる。

だが表情が、人形の様に全く動かない。


「「「ア~~~……… 」」」


他の三人は思い当たるのか、様々な感情を乗せて顔で表現している。

だが何故かコイツは、顔は無表情で動作で表現をする。

無表情で、両手で頭を鷲掴みしても、伝わんねーよ?!

マジでコイツなんなの!!


「それはソイツの怠慢。」


「うん、ただの面倒くさがりね。」


「ホントそう。」


「………………」


首を傾げて、両手を合わせている。

ごめんねっと言う意味か……… 俺は折れた。

もういいや………



「話逸らしてごめん。」


「気にするな、それよりどうする?」


次郎が聞くので、大まかに考えていた事を話す。


「大胆不敵な感じ?」と次郎が聞く。


「と見せかけて、ずる賢いがいいな。」


「なるほどねぇ」と小声で呟き、次郎はうっそりと嗤った。


そんな次郎の顔を見て、他の三人も残虐な本性を現す。

魔物だって今回は、人以上にちゃんと道理を弁えて行動をしている。

なのに王都の者達は、その道理を弁えず行動に移そうとする。

それがどれほど全世界に顰蹙を買うのか、全くというほどわかっていない。

そろそろわからせる必要があるだろう。

相手にしているのがどんな()か、世界がどの様に思っているかを………


「まずは盛大に花火を上げるとしよう♪」


どう料理をしようか?

心をボロボロにへし折るには、どうしたらいい?

微妙な匙加減をしながら、大胆に仕上げていく。


外では領民たちが笑い合い、収穫を楽しんでいる。

だが地下は、着々と魔宴(まつり)の準備をしていた。



****************



その日初めて、領内に警告音が鳴り響いた。

その音が聞こえたら、すぐに建物に入り戸締りをする事。

外に出る事を禁ずる報せ。

領民は早急に行動を開始する。

四半刻もすれば、領内は人の気配が消え去る。


何処からともなく、地鳴りの音が聞こえる。


ドドドドドドドドド………


地面から振動が伝わり、領内に重低音の音が鳴り響く。


グワーーン!! ー……! ドドドドドドド………


一層の大きな音が駆け巡り、また先程の重低音が鳴り響く。

一体外で何が起こっているのだろうか?


だが領民たちは知っていた。これは土の御社様達の仕業だと………

そして大丈夫という事も解っていた。


だから家でのんびりと、「今日は休みだなぁ。」と考えていた。





読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)


寒くなってきました。

体調崩さないように、ご自愛ください。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ